Suzuki Media / Horai Tsushin
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No.4 -2000.2.8


 MP3関係の音楽に関する記事や、3号でもふれたパウエルズ・シティ・オブ・ブックスについて書いていたら、いろいろと調べることが出てきて、思わぬ時間がかかってしまいました。
 というわけで、全然別のデータベースに関する記事をお届けします。
 ミリセントの朝日新聞記事の検索は、企業や大学でインターネットに無料で接続している人は、お金もかかかりませんから、ぜひお試しください。


////////////ミリセント島で朝日新聞記事を検索する////////////


 僕が最初に自分の名前を出して書いた本は、『ニフティサーブ・データベース徹底活用マニュアル』という。ニフティサーブという当時はパソコン通信(今は拡大してアットニフティというインターネットサービスになっている)で利用できたオンラインのデータベースについて使い方をわかりやすく解説した本だ。
 91年8月に初版を出して、94年6月に改訂版、97年5月にはタイトルに「オンライン」を加えた再改訂版を出した。パソコン通信も下火で、現在は出版社がパソコン関係から撤退したこともあって、絶版となっているが、今でも十分通用する内容だ。僕の書いた本の中では、今のところ一番の部数になった本だ。

 オンラインデータベースというのは、新聞記事や雑誌記事、人名録、企業情報などが、パソコン通信(今ならインターネット)を、キーワードを入れて検索できるものをいう。
 キーワード検索というのは、今は、ヤフー(http://www.yahoo.co.jp/)やグー(http://www.goo.ne.jp/)などの検索サーバーでお馴染みだ。キーワードを入力して「検索」ボタンを押せば、そのキーワードの含まれる、サイトが一覧表示される。

 インターネットの検索サーバーは無料だが、パソコン通信のオンラインデータベースはお金がかかる。これはインターネットの普及と技術の進歩に影響している。
 昔は、データベースを作るのは、手間と時間が膨大にかかった。新聞記事のデータベースなら、記事自体は電子化されているが、それだけではデータベースにならない。今はキーワード検索の場合、データ全体を高速に検索することができる。以前のコンピューターは能力が低かったから、各データに検索のためのキーワードを付けておいて、それを検索することで時間をかせいでいた。また、雑誌記事のデータベースなどは、電子化されていないものは、目次をいちいち人手で入力してデータベースを作っていたデータベース会社もあった。
 そのために人手と時間がかかるから、当然利用は有料になる。しかも仕事でないと使えないようなかなり高い料金だ。

 それが、パソコンの高性能化とインターネットの普及で状況が変わった。データベース検索といっても、データさえ集めるだけでいい。インターネットの全部のサイトの情報を集めるといっても、ロボットと呼ばれるコンピュータープログラムで簡単にできる。。ヤフーでもグーでも、インターネットのサイト検索のために、たくさんの人が利用すれば、広告収入で十分ペイする計算だ。

 『ニフティサーブ・データベース徹底活用マニュアル』を出した当時は、利用料金が高かったので、安く使うためにどんなテクニックを使えばいいかというのが重要だった。また、オンラインデータベース自体の使い勝手も悪かった。そこで分厚い解説書が必要になったのだが、インターネットの時代になって状況はどんどん変わっていった。
 今のヤフーやグーの使い方は、ごく簡単だ。キーワードを入れてボタンを押すだけで、リストが表示される。オプション検索で、キーワードを掛け合わせたりと、細かいテクニックも使えるが、実際に使っている人はそれほどいないだろう。

 ヤフーやグーのようなインターネットの検索サーバーが登場して、今まで僕が新聞記事や雑誌記事のデータベースを調べていたものは、かなりの程度まで検索サーバーですむようになった。僕のデータベースの使い方というのは、雑誌の特集記事や単行本の取材を始める前に、参考になりそうな記事を集めたり、そこから取材できそうな人をピックアップしたりすることが多い。
 検索サーバーでは、インターネットのほとんどすべてのサーバーのデータが検索できるから、新聞や雑誌記事のデータベースと切り口は違うが、それなりのデータが集められる。

 データベース検索のもうひとつの使い方として、映画のタイトル、監督の名前、本のタイトル、著者の名前など、わからないことを調べるというのがある。これはインターネット以前は、パソコン通信のデータベースが強い見方だったが、検索サーバーができて、たいていの用事はそこですんでしまうようになった。
 新聞記事のデータベースは、パソコン通信のニフティサーブでは今でも提供されているが、全体としては、パソコン通信からインターネットにシフトして、例えば、asahi.com perfect(アサヒコム・パーフェクト)のように、毎月基本料金を払って利用しなければならないサービスが増えてきた。

 以前から何度も書いているのだけれど、個人がデータベースを使う場合、毎月の基本料金というのは大きな負担になる。もちろんその人の使い方によるだろうが、2、3か月に一度くらいの割で使いたいという場合には、基本料金システムが大きなネックになるのだ。
 インターネットでは、課金が難しいから、会員になって登録してもらって基本料金を払ってもらうのが、データベース提供側としては楽なのだろうが、このあと書くミリセントなどの、電子キャッシュを使えば、スポットでの利用もできないことはないだろう。各新聞社は、ぜひ検討をお願いしたい。

 前置きが長くなってしまったが、データベースに関するごたくを並べてきたのは、インターネットで久しぶりに新聞記事のオンラインデータベース検索をする機会があったからだ。
 前述したように、アサヒコム・パーフェクトは会員にならなければ使えないし、毎月の基本料金も高い。月3000円の基本料金を払った上で、1件の本文表示について80円の追加料金がかかる。比較の対象として適切かどうかわからないが、CS放送のスカパーとかディレクTVを考えても、かなり高額だ。

 ぜひとも新聞記事から検索したいという依頼があって、ちょっと考えた。アットニフティのパソコン通信でも昔のように検索できるが、このインターネット全盛の時代、ホームページから簡単に使える新聞記事の検索システムはないだろうか。
 探してみると、ミリセント島というサイトで朝日新聞とAREAの記事が検索できるのを見つけた。

 「ミリセント島」というのは、KDDの運営するネットコインで買い物のできるサイトだ。ミリセントは米コンパック社の開発した電子キャッシュのテクノロジーで、ウォレット(財布)というソフトをダウンロード(無料)してインストールし、ホームページでネットコインを購入すると、それがウォレットの中に入る。
 ネットコインは、100円、300円、500円、1000円の5種類で、クレジットカードで購入する。商品やサービスを購入すると、その分だけウォレットの残高が減っていく仕組みだ。

 「ミリセント島」(http://www.millicent.gr.jp/)には、朝日新聞・AERA記事検索のほかにも、音楽ではMP3のダウンロードが可能だしし、台湾地震救済基金に募金もできる。鉄道ルートやおいしいお店の検索、一般の人によるフリーマーケット、オンラインゲーム、オンライン辞書、画像ライブラリーなどもある。

 「朝日新聞・AERA記事検索」(http://www.millicent.gr.jp/islands/index.html)が便利なのは、検索して見出しの一覧までは無料で見られるところだ。最近1年間の記事に限られるが、新聞記事の場合、1年以上前の記事は最新情報としては役に立たないことが多い。僕のように、インターネットやパソコンなど、最新の話題を追いかけている場合には特にそうだ。
 キーワードを検索して、見出しのリストが出てきて、読みたい記事があれば、近くの図書館に行って新聞の縮刷版を見ればいい。特に、外部の人が書いた署名記事は、著作権の問題でデータベースでは読めないことが多いから、手間はかかるが、図書館に当たるほうが確実だ。
 検索も、3語の掛け合わせ(AND、OR、NOT検索)ができるし、期間の指定もできる(といっても1年の中でだが)。

 記事の本文を見るには、1件について100円かかる。これは、かなり高額の設定だ。アサヒコム・パーフェクトの1件80円も高いが、それよりさらに高い。見出し表示を無料にしている分高いのだろうが、新聞1部を110円や120円で売っているのに、1記事100円はあまりに高額と言わざるをえない。

 僕が知り合いに頼まれて利用したときは、至急本文がほしいというので、児童虐待に関する記事を50件ダウンロードしたが、それだけで、5000円かかった。これを高いと捉えるかどうかは、緊急性、必要性によるが、この価格設定は、それなら図書館の縮刷版でというユーザーを増やして、かえって利用を減らしているような気がする。
 「朝日新聞・AERA記事検索」では、そのとき土日に限り1件20円でダウンロードできるというサービスをしていた。今は終了したようだが、1件20円程度の料金にしたほうが、ユーザーの利用は確実に増えると思うがどうだろう。

 久しぶりに新聞記事検索をして(今までは、お金のかからない、ヤフーやグーの検索ですませることが多かった)、やはり、新聞記事検索は情報収集の手段としては、役に立つことが実感できた。
 新聞記事は、記者が目的に追って有用な情報を集めてまとめているから、情報の凝縮度が、一般のホームページとは違う。インターネットのホームページは、有用な情報があふれているけれど、その中から必要な情報を取り出してくるのは大変だ。その点、新聞記事は情報が選択されシェイプアップされて収められている。

 新聞記事や雑誌記事の検索できるインターネットのサイトは他にもありそうだ。無料や安い料金で検索できるところもあるだろう。これから探してみて、ここで紹介したいと思う。そして、できれば、『オンラインデータベース徹底活用マニュアル』のインターネット版を上梓したい。


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新聞でも紹介されたので、ご存じの方もいると思いますが、インターネットで本を注文して、近所のセブンイレブンで受け取れる「イーショッピング」が、2月中は販売キャンペーン期間で、手数料無料で利用できます。
つまり、2月中なら定価だけで近所のセンブンイレブンで買えるわけで、これはお得で便利。取り次ぎに在庫のある本なら、2、3日で届きます。
http://www.esbooks.co.jp/

少しずつですが、ホームページの更新をしています。
・ニコレット・ラーソンのバックボーカルリストを大幅に更新しました。
http://www.asahi-net.or.jp/~hh5y-szk/nicolette/nicolette0.htm
・ビージーズのドイツ盤シングルジャケットを掲載しました。
http://www.asahi-net.or.jp/~hh5y-szk/beegees.htm

諸般の事情で、持田美津子さんのサイトの更新が遅れていますが、そろそろ更新されるようです、お楽しみに。
蓬莱通信でも、更新され次第ご紹介します。
http://www.mmochida.mn/


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編集と発行:鈴木康之/SUZUKI Yasuyuki
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http://www.asahi-net.or.jp/~hh5y-szk/