Suzuki Media / Horai Tsushin
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No.12 -2001.7.19


 前回の新パソコン購入の話の続きです。もうしばらくお付き合いください。
 現在発売中の『インターネット白書2001』(インプレス)の編集をしました。4800円と高いのですが、それなりの内容なので、買っても損はないと思います。関心のある方は、書店で手にとってご覧ください。巻末に僕の名前も載っています。

////////////////////家庭内LAN/////////////////////////////////////////


 PCG-R505R/AKを買うときに、ふーんと思ったのは、モジュラージャック(モデムポート)のほかに、ネットワークコネクター(LANポート)が付いていることだった。企業向けのノートPCならネットワークコネクターがあるのは当然だが、PCG-R505R/AKはあくまで個人向けのパソコンだ。にもかかわらず、ネットワークコネクターがあるのは、家庭内LANあるいは、ADSLへの接続(いま話題の高速常時接続のADSLは、通常LANポートに接続する。USBポートに接続するタイプもある)を意識しているということだろう。
 そういう時代になっているんだなと思いつつ、今回買ったPCG-R505R/AKでは、どんなふうにインターネットに接続しようかちょっと考えた。前回書いたようにUSBドックをつないでいて、そこにシリアルポート(US-232Cポート)があるから、そこにつなげばISDNでインターネット接続はできる。今自宅ではフレッツIDSNを使っていて、デスクトップPCは、シリアルポート(US-232Cポート)からTA(ターミナルアダプター)を介してインターネットに接続している。

 でも、USB経由でシリアルポートを使うと回線速度が遅くなりそうだ。せっかくネットワークコネクター(LANポート)があるのに、使わないのはもったいない(IDSNは64kbpsだとしても、LAN自体は1Mbpsと速い。シリアルポートは、最速でも約115kbps)。
 今TA(ターミナルアダプター)でISDNにつないでいると書いたが、実は、使っているのはTAではなくてダイヤルアップルーターだ。ダイヤルアップルーターは、TAとしても使えるが、LANポートを備えていて(僕が使っている「MN128-SOHO」はLANポートが3つある)、ダイヤルアップでインターネットに接続して、ルーターとしても使えるというもの(ルーターというのは、LANで接続するときに、枝分かれのポイントになる機器。これがあれば、数台のパソコンを常時接続して、ファイルやプリンターの共有がができる)。
 以前からいつか、パソコンを全部つないで家庭内LANを組みたいと思っていたので、数年前に電話回線をアナログからISDNに変えたときに、1万円高かったけど、TAではなくダイヤルアップルーターを購入していた。でも、そのときはデスクトップパソコン1台を主に使っていたし、パソコンにはLANボードもなかったので、これまで1万円高いダイヤルアップルーターは、残念ながらTAとしてしか使われていなかった。

 LANケーブルを買ってきて、PCG-R505R/AKのネットワークコネクターとダイヤルアップルーターをつなげば、インターネット接続ができそうだ。ダイヤルアップルーターの「MN128-SOHO」のマニュアルを探してきて調べると、設定は、ブラウザでダイヤルアップルーターのホームページを開けば、簡単にできるらしい。
 そのとおり、LANケーブルをつないでブラウザでホームページを開いたら、実に簡単にインターネットに接続できた。インプレスの『できるWindows2000 Professionalネットワーク編』を買ってあったが、あまり見ることもなく、うまくいった。これは、OSがネットワークを意識した「Windows2000 Professional」だったからかもしれない。

 TAからインターネットに接続する場合は、アナログのモデムと同じでパソコンからダイヤルする。しかし、今回は、パソコンからではなく、ダイヤルアップルーターからダイヤルして接続しているから、パソコンを終了しても、インターネットにはつながったままだ。これだと本当に常時接続という感じになってくる。
 Windowsは、新しい周辺機器やソフトウェアをインストールすると再起動する必要がある。しばらく使っていると調子が悪くなって、再起動することもあるけど、ダイヤルアップルーターからの接続なら、そのたびにインターネットに接続し直す必要はない。

 新しく買ったノートパソコンPCG-R505R/AKがダイヤルアップルーターで簡単にインターネット接続できたら、他のパソコンともLANで接続したくなってきた。ダイヤルアップルーターには、あと2つLANポートが余っている。自宅にあるパソコンは、あと、前回にも紹介したデスクトップPCと、うちの奥さんが大学から持ってくる、VAIOのC1だ。この3台をLANで接続すれば、ファイルやプリンターの共有が自在にできる。ISDNは64kbpsのスピードしか出ないから同時につないだらかなり遅くなるが、3台のパソコンから同時にインターネット接続もできる。ついに家庭内LANが実現するのだ。
 家庭内LANをしようと思ったのは、LAN関係の機器がめちゃくちゃ安くなっていることも大きい。企業などで広く使われているから、LANケーブルは、5メートル、10メートルでも1000円以下と安いし、パソコンのスロットに入れるLANボードやLANカードも、1000円以下のものもある。

 LAN接続には、10BASE-Tと100BASE-Tという2つの規格がある。10BASE-Tは速さが10Mbps、100BASE-Tは速さが100Mbpsと、100BASE-Tのほうがずっと高速になる。ダイヤルアップルーターは10BASE-Tしかサポートしていないから、パソコンのほうも10BASE-Tで十分なようだが、パソコン間のデータ転送を重視すれば、100BASE-TのLANボードやLANカードを使ったほうがいい。LANボードやLANカード自体は長持ちするのだから、将来の100BASE-Tでの接続を考えたら、そのほうがベストだ。
 ただ、今回は、パソコンショップで10BASE-Tと100BASE-TのLANボードの価格が3倍くらい違うのを見て、遅いほうの10BASE-Tを選択した。ちょっとセコかったかもしれないが、今後、パソコンを買い換えることを考えると、それには、LANポートは標準で付いている可能性が高い。取りあえず試しにLAN接続してみるのだから、安いほうにしようと考えた。

 デスクトップPCのスロットにLANボードを装着してインストールする。ノートパソコン(VAIOのC1)のPCカードスロットにLANカードを装着してインストールする。インターネット接続をダイヤルアップからLAN接続に変更する。それぞれのパソコンに名前を付ける(そうしないと区別ができない)。ファイルとプリンターの共有を設定する(共有に設定したファイルとプリンターだけ、他のパソコンからアクセスできる)。
 こうした一連の作業を『できるWindows2000 Professionalネットワーク編』を参考にしながら進めていったら、いとも簡単に3台のパソコンはLANでつながってしまった。

 Macintoshはもともとネットワークコンピューターとして作られているから、複数のパソコンを接続するのは比較的簡単だった。しかし、初期のWindowsはネットワークを組むのはほとんど不可能に近かった。Windows3.1は、インターネットに接続するのさえ、いろいろな追加ソフトを組み込んで大変だったのだ。僕も、インターネットの初期には、Macintoshを使っていた。
 Windows95、98の時代になっても、2台のパソコンの接続とデータの交換には苦労させられた。何しろ、マニュアルにはそのときに使う「ケーブル接続」についてなど何も書いていない。でも、それが、Windows2000になって、ようやくではあるが、それほど悩むこともなく簡単にできるようになった。ある意味、安いパソコンとして(しかたなく)Windowsに付き合ってきた部分もあるけれど、ちょっとは拍手を送りたい。

 夢にまで見た家庭内LANを作り上げたわけだけど、結果、やっぱり数段便利になった。これまでのケーブル接続は臨時的なものだから、その都度つなぐ必要がある。ケーブルをつないだあと、両方のパソコンのケーブル接続のプログラムを立ち上げて、ようやく接続が完了する。データ転送もそれほど早くない。転送中に双方のパソコンのCPUをけっこう使うらしく、他の作業ができない。パラレルケーブルでつなぐから、それほど長い線は使えない。パソコンとパソコンが離れている場合には、ケーブル接続は無理だ。
 しかし、LAN接続は一回設定してしまえばずっと有効だし、5メートル、10メートルといった長いケーブルでの接続もできる。前にも書いたが、世界中の至るところで使われているLANだから、ケーブルの価格もきわめて安い。
 我が家庭内LANでも、居間と仕事部屋を10メートルのケーブルでつないで、どちらの部屋でも、メールを読んだり、ホームページを見たりできるようにした。部屋の中にケーブルを引き回すのはみっともないから、無線LANにすればいいのだが、それには5万円以上かかるので、今回は導入を見送った。

 LANで接続して一番便利なのは、3台のパソコンのハードディスクがいつでものぞけることだ。ケーブル接続でも同じようにハードディスクの中身をのぞくことはできるが、それはあくまでつないでいる間だけのこと。しかし、LANでは接続しているのが常態になるから、他のパソコンのハードディスクを自分のハードディスクのように使うことができる。
 これまで、新しいパソコンを買ったときは、データをすべて新しいパソコンに移して、古いパソコンは(まだ使えれば)、人にあげたりしていたが、LANでつなげば、古いパソコンもデータの置き場として十分活用することができる。

 さらに、2台のパソコンを並べて使うことで仕事がやりやすくなった。僕の場合、ホームページとエディターを開いて、ホームページのデータを見ながらエディターで解説記事を書いたり、辞書ソフトを開いて辞書を引きながら、エディターで原稿を書いたりという仕事の仕方が多い。
 つまり、画面で2つのウィンドウを開いて作業をすることが多いのだけど、1台のディスプレイに2つのウィンドウを開くと、どうも小さくて使いづらい。しかし、2台パソコンがあればその問題は解決する。Windowsには1台のパソコンで複数のディスプレイを同時に使う機能もあるが、ボードを差したりといった作業が必要で、今使っているノートPCでは、ちょっと難しい。1台のパソコンで2台のディスプレイというのは、使ってみると便利な機能だと思うが、デスクトップPCでもそれほど普及していないようで、ボードの価格も高い。
 そんなわけで、2台のキーボードを操作する手間はあるけれど、2台のパソコンを同時に使うことで、仕事の効率は格段によくなった。

 さて、前回の話に戻れば、元々新しいノートPCを購入したのは、8月1日から12月20日までオレゴン州のポートランドに行くことになったからだった。その経緯については次回に詳しく書きます。パソコンの話からははずれますが、しばらくお付き合いください。
(2001.7.19)

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