東京混声合唱団第173回定期演奏会プログラム

2000年2月17日(木)19:00開演 東京オペラシティコンサートホール・タケミツメモリアル
指揮:松原千振、大谷研二

〔極めつき20世紀合唱名曲選−様々な技法にみる変遷その1〕
●ドビュッシー作曲
Claude Debussy (1862〜1918)
シャルル・ドルレアンの詩による「3つの歌」
Trois Chansons de Charles d'Orléans
●バルトーク作曲
Béla Bartók (1881〜1945)
4つのハンガリー民謡
Magyar Népdalok Sz.93
●シェーンベルク作曲
Arnold Schöberg (1874-1951)
詩編第130番「深き淵より」
De profundis op.50B
●メシアン作曲
Olivier Messiaen (1908-1992)
おお聖なる饗宴
O sacrum convivium!
●クシェネック作曲
Ernst Křenek (1900-1991)
エレミアの哀歌より
Lamentatio Jeremiae Prophetae op.93
●プーランク作曲
Francis Poulenc (1899〜1963)
小室内カンタータ「雪の夕暮れ」
Un soir de neige
●ラウタヴァーラ作曲
Einojuhani Rautavaara (1928-)
我らが時代の歌
Cancion de nuestro tiempo
●新実徳英作曲
混声合唱のためのグーラ −青い鳩の宴− [委嘱作品初演]

 20世紀最後の年を迎え、20世紀を回顧する(?)企画がきっといろいろなところで行われるでしょうね。これもその一つなんて言ってしまうと怒られてしまうかもしれませんが、楽しみな企画であります。
 ドビュッシーの「三つのシャンソン」は、20世紀の合唱曲というと、かならず最初に登場する名曲ですが、実演ではなかなか良い演奏に巡り会いません。mtakが聴いた演奏会では、グループ・ヴォカール・ドゥ・フランスが来日して、一度だけの演奏会を日仏会館ホールで行ったときのものが一番聴きごたえがありました。もっといいホールでやってもらいたかった。東混がフルメンバーで歌うとちょっと多いのではと思ってしまいますが、東京オペラシティのあのコンサートホールでやるので、ちょうどいいかもしれませんね。
 バルトークのこの曲も、無伴奏の合唱曲の中では一番バルトークの力が発揮されている曲だと思います。
 シェーンベルクの作品は、作品番号が付いている中で生前完成させた最後の作品ですが、シェーンベルクが発明したと自身が思っているシュプレッヒ・シュティンメの技法などが音楽に溶け込み、内容の濃い作品であると思います。シェーンベルクは結構無伴奏の合唱曲を書いており、その中でもこの曲は一番だと思っています。
 メシアンというと、どうしても五つのルシャンとなりますが、一晩の演奏会で取り上げる場合、他の曲目との釣り合いなども考えなければなりませんから、この曲になったのでしょう。五つのルシャンは20世紀に生まれた極めつけの名曲なので、どうしてもその影に隠れてしまいますが、味のある小品です。
 クシェネックのエレミア哀歌も難しい曲ですが、どう演奏されるでしょうか。全曲は長い曲なので、抜粋と言うことですが、どの曲が選択されるのかな?
 プーランクのこの曲は、ミサやモテット、シャンソンの合唱曲と比較して、一番演奏されない曲ですが、なかなかいい曲だと思っています。mtakも最初にこの曲を聴いたときは、たいした曲じゃないなと思ったんですが、何度か聴きこむ内に、雪の降り積もっている夕方から夜にかけての情景が目に浮かぶようになりました。
 ラウタバーラさんの曲は、実はmtakはもっと好きな曲があるのですが、この曲は東混の委嘱作品ということもありますしね。ラウタバーラさんは現在のフィンランドを代表する作曲家の一人で、合唱曲も小品から大曲まで多く作っている方です。東混の委嘱作曲家の中で初めての海外の作曲家ですね。その後、シェーファーさん、ウンさんに委嘱してますが、今後もぜひとも続けていただきたいと思います。できれば、欧米の作曲家でなく、アジアや中東、アフリカ、中南米の方なんかどうでしょう。合唱ではありませんが、クロノスカルテットも本当にいろいろな作曲家に曲を委嘱してまして、それぞれに特徴をもった面白い曲が出来上がっています。東混の一つの柱として、現在の日本の合唱曲の創造ということがあると思いますし、もちろんその方向も推し進めていただきたいですが、日本の枠にとらわれすぎないことも必要でしょう。
 あとは、新実さんの委嘱作品です。さて、どんな曲が出来上がってくるでしょうか?