カナダ旅行(2003年8月)


8月の上旬、カナダを訪れました。
「バンクーバーは世界一美しい都市」というのは本当で、感動的な美しさでした。 空は抜けるように蒼く晴れ渡り、海は見渡す限り青く穏やかで、光りは明るく輝いて、空気は清々しく澄み、吹く風は湿度のないさらりとしたさわやかさで、絵に描いたように美しい所でした。街は色とりどりの花々で飾られていました。こんなに美しい空や海を見たのはいったいどれくらい前だっただろうと思うほど、東京にはない蒼い青い色だったのが印象的でした。

 近代的なガラス張りの高層ビルが空にそびえ立っているかと思うと、古い煉瓦作りや石造りの家々や開拓時代のような趣の木造の家もあり、それらが融合して調和していました。

美術館も多く、ファーストネーション(先住民)の作品を扱ったものがほとんどでした。 人種も様々で、レストランも中華、ベトナム料理、ギリシャ料理、日本料理など、多種に渡っていました。さすがグルメの街、です。

 歩道は広くて、コーヒーショップやレストランのイスとテーブルが並べられていても、まだ充分な道幅があるので、電動イスの方達も楽に移動されていました。あちこちにベンチも置かれているので、歩き疲れたらゆっくり休むこともできて、お年寄りにも優しい街でした。実際、多くの高齢なご夫婦がのんびりと散策されていました。

 気温は最高気温23度、最低気温12度。日中の陽射しは眩しくてまさに夏の陽射しで、7時半頃ようやく陽が沈み始めるとジャケットを羽織らないと寒いほどでした。レストランは通りに面した店外の席が人気で、夜になると冷えるので掛け毛布を貸してくれたり、通路の上部にヒーターを入れていました。

1日目−バンクーバー
バンクーバー1日目は、なんと年1回の花火大会の日でした。
開始は10時からというのに、3時頃から大勢の人たちが人並みがとぎれることなくイングリッシュベイに向かって行くので、どんなに盛大な花火だろうと期待しました。花火は日本とはちがって間断なく次から次へと打ち上げられて圧巻でした。花火も大きく派手なものばかりでした。しかし、なんと30分で終わってしまったのには驚きました。しかも、花火が上がっている間中大騒ぎをしていた数千人もの見物人が、最後の花火が終わるやいなや余韻を楽しむ様子などみじんもなくサッと身を翻して帰路についたことにもこんなにあっさり?!と驚きも2重でした。

2日目−バンクーバー

バンクーバーに到着すると、さっそく街を散策に出かけました。明るい陽の中、 町中に色とりどりのハンギングバスケットが飾られています。 海沿いの公園前の彫刻です。この前には芝生が広く植えられていて、その前の階段を下りていくと海岸線に沿って長い遊歩道があり、市民の憩いの場になっていました。
彫刻の前につながる公園です。子どもたちが噴水の水しぶきを浴びて遊んでいました。海には水上飛行機も飛び交い、海上に給油所もあります。 ガスタウンに向かうウオーターフロント駅前です。古い石造りの建物が雰囲気を醸しだしています。戦没兵士の記念像もありました。この少し手前にバンクーバー港が広がっていて、バンクーバーのシンボル、カナダプレイスがありました。カナダプレイスの眼前に広がる海の美しさは格別でした。

バンクーバーは1867年にイギリスから来たジョン・ディトンと先住民の妻が、広い原野に1軒の家を建てたことが町の始まりといわれています。彼が始めた製材所と宿屋と酒場を中心に、バンクーバーは次第に大きな集落になっていったそうです。ディトンは饒舌で雄弁家で、製材所を中心に町作りをする実行力のある人で、ガスタウンの由来も彼のあだ名;Gassy;(騒々しい)から「ギャシイタウン」とか「ガスタウン」となったということです。

バンクーバー発祥の地のガスタウン。19世紀の煉瓦作りの建物や石畳の道、ガス灯などが再現されていて美しい街並みです。 写真は観光名物の蒸気時計です。15分ごとに蒸気で汽笛のようなチャイムをならします。

私たちはちょうど12時にこの時計を見ましたが、文字盤の上の4本の柱が1本ずつ蒸気を出して上下しながら汽笛のようなチャイムを鳴り響かせ、最後に頂点の柱から蒸気が出てチャイムという、手の込んだ趣向で大変楽しい時計でした。12時前には観光客が時計の前で2重にも3重にもカメラを抱えて取り囲み、チャイムが鳴り始めるとどっと歓声が上がり、鳴り終わるとみんな一斉に拍手していました。

バンクーバーアート美術館とその前に置かれていた不思議な作品。

3日目−バンクーバー〜ヴィクトリア
3日目、バンクーバーからビクトリアに移動しました。コーチバスで3時間半かかりました。まず、フェリー乗り場に向かい、フェリーの旅は1時間30分ほど、再びバスに乗りこんでビクトリアに到着しました。この日船上は風が冷たくて震えるほどでしたが、青い海原が悠然とたゆたい、その上をカモメが飛び交ったり、白い船が進んでいくのを眺めていると気持ちがゆったりとしてきました。

ビクトリアはブリティッシュコロンビア州の州都で、バンクーバーが近代的な都市なのに比べ、ビクトリアは古いヨーロッパを偲ばせる美しい庭園都市です。「カナダで一番人に優しい町」と言われ、カナダの人は年老いたらビクトリアで暮らすのが夢の一つだそうです。今ではイギリス本国でも廃れてしまったアフタヌーンティーを楽しむ習慣も、庭園を花で美しく飾る英国気質も残っています。

20ヘクタールにも及ぶ世界的名庭園のブッチャートガーデンや常時500〜600匹の蝶が飛ぶバタフライガーデン、花の名所ガバメントハウスなど、「花の街」の名にふさわしい見所がいっぱいです。

街は観光客を乗せた白い馬車が行き交い、心からバカンスを楽しむ人たちでいっぱいでした。夕方になるとガバメントストリートで夕日を浴びて潮風に吹かれながら、マリンバ4台とパーカッションでの演奏を聞く人だかりができていました。

ここでも美術館にはネイティブアートが多く、ロイヤル・ブリティッシュ・コロンビア博物館ではちょうどファーストネーションの方達の作品作りを紹介していました。写真は美術館のトーテムポールです。ショップには天然石や金属で造ったアクセサリー、石造りのアート、押し花で細工した装飾品、木彫りの彫刻、鳥の羽で作った「良い夢が見られる」という壁掛けなど珍しいものがいっぱいでした。

フェリーから望む蒼い海原 フェリー乗り場を往復するバスターミナル前。ビクトリアは花、花、花で観光客をなごませてくれます。正面に見えるのはオ−ルドスパゲティファクトリーです。(ここのスパゲッティはおいしかった!)車が往来を通っていてもちっとも排気ガスの匂いがしないというのが欧米の良さです。日本はかなり立ち遅れています。

ロマネスク様式を応用した州議事堂です。1916年完成です。正面にはビクトリア女王の銅像があり、青銅のドームの頂の像はジョージ・バンクーバー(バンクーバー島の発見者)です。 夜になると、3000個のイルミネーションがともり、荘厳な雰囲気になります。
州議事堂の前にある高級ホテル、エンプレスホテルです。創業は1908年です。インナーハーバーを見下ろすように立っていて、格式高い煉瓦造りの建物に蔦が絡まり、広く手入れの行き届いた美しい庭園を持った古城のような趣です。

このゴージャスな雰囲気の中で本格的な英国伝統のアフタヌーンティが楽しめます。ただし、かなりの人気で要予約です。お値段もゴージャスで46ドルから。
ホテル前には白いヨットが多数並び、まるでニースのような雰囲気です。


湾内には白い船の水族館や、大道芸人のショーあり、電気ピアノの演奏やジャズのセッションあり、ファーストネーションの方達の手作り品の出店あり等々、多くの人が思い思いに楽しみながら賑わいを見せています。
大道芸人のパフォーマーが「誰か手伝ってくれない?」と言うと、ほとんど全員の子どもたちが少しも気後れすることなく、果たして自分にできるかどうかなどと迷うこともなく一斉に手を挙げて、是非自分がやりたいんだ!という積極的な態度を示したことに目を見張りました。実際、失敗しても臆することなく何度も挑戦していました。子どもらしい好奇心が旺盛で、それを大人達が上手にのばしている環境を見せられた気がしてしばし考えさせられました。親子の様子を見ていても、してはいけないことを(たとえどんなに小さな子どもにでも)きちんと教えていて、見渡すと公共道徳を乱すようなお子さんは一人もいない、ということにも驚かされました。

4日目〜5日目−ビクトリア

チャイナタウンの様子です。19世紀半ばカナダの大陸横断鉄道建設と石炭採掘のために渡ってきた中国人が築いた町です。かなり規模は小さくて、数百メートルの規模でした。ここで人気のバブルティーを飲みました。ミルクティーにタピオカが入っているような感じでした。 町の中には歴史を感じさせる教会がたくさんありました。
アンティーク街の一画です。ビクトリアはカナダ有数の骨董の街だそうです。英国の美しい絵皿や重厚な家具、銀食器、アンティークジュエリーなど見ているだけで満足でした。コインや切手、電化製品などもありました。 クレイダーロック城です。スコットランド移民だったロバート・ダンズミュア氏が「新大陸に渡ったら、きっと君のためにお城を建てる」と妻に約束して建てたお城です。彼は完成直前の1890年に亡くなってしまったそうです。

お城に入るとカナダらしく鹿の剥製がありました。
部屋数は多く、ゴージャスな家具、贅を尽くしたシャンデリア、ピアノ、オリエンタルな屏風や陶磁器などが数多くありました。
階段の各踊り場ごとにそれぞれステンドガラスがはめ込まれ、パイプオルガンが置いてある階もありました。最上階は天井がドームになっていて、その昔は遙か遠くまで森を見渡せたのでしょう。ロマンティックな作りになっていました。

お城の後ろ側です。この前には広い庭が広がっていました。

6日目−ヴィクトリア〜バンクーバー

6日目の朝、バンクーバーに戻るフェリーの中から。

ビクトリアを離れがたい思いを抱きながら・・・・。

バンクーバー、ロブソン通りの街並みです。 倉庫街が最先端のトレンドな街に生まれ変わったイエールタウンです。 ここでは客層もロブソン通りのカジュアルな感じではなくて、レストランも高級感の漂うお店が目につきました。
空港の彫刻です。ファーストネーションの間で亀や鷲など、幸福を運んでくると信じられていたそうです。

バンクーバーもビクトリアも気候の穏やかな都市で、冬でも木枯らしが吹かないそうです。 カナダ名産のメープルの木々が茂り、のんびりとした雰囲気は日本にはないものでした。 ビクトリアに移動するバスの道中、広大な平原にトウモロコシ畑や牧場が広がり、馬や牛が牧草を喰んでいる姿も見られました。
まだまだ行けなかったところがたくさんあり、また是非訪れたい都市の一つになりました。

それから、ブリティッシュ・コロンビア州で観光客が支払った7パーセントの税金は戻ってきます。
空港で行うことも可能ですが、帰国後にかかる手間と手数料のことを考えるとフェアモントホテルの地下にある両替サービス会社ですませた方がお得です。 そこでは2年前から買った商品は持って行かなくてもいいことになっていました。 親切な日本人スタッフがいて丁寧に教えてくれました。 私たちはそれを知らずに重い荷物を持って手続きにいったので大変でした。 50ドル以上の買い物をしたレシートとパスポート、航空券だけでよいので、お出かけになる方は参考になさってください。

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