スコーピオンの封印・6


 揺られて1時間。私たちは大きなディスカウントショップみたいな所で買い物を楽しんでい。私も口紅やらマニキュアを見ていた。中でもムームーというハワイで着る服があったので、私は試着してみた。上は白でスカート部分が茶色なんだけど、けっこう気に入ってしまった。そのかわり汚れが目立つけどね。
「すみません・・・じゃなかった。Excuse me?」
「いらっしゃいませ!!」
「ゲッ!日本人(日系人)だった・・・。これを試着してもいいですか?」
「はい。どうぞ。」
 試着してみると、サイズがぴったりだったので買うことにした。買ったらおまけがついて来た。髪にさすハイビスカスの造花だった。絵里奈も『欲しい』と言い出したので、絵里奈の分も見てあげることにした。絵里奈と私の服のサイズが同じなので、私と同じ白を買っていた。
「なんか、得した気分♪」
「そうですね。」
「ところでおまけは?」
「はい。ハイビスカスの造花です。」
 思わず2人でクスクスと笑ってしまった。バスは休憩を終え、今度はハワイの外れにあると言われているヴィクトリア宮殿へと入って行く。私たちのバスが入る前、私は不思議な現象を見てしまった。
 宮殿の大きな像が、私に微笑みかけたような気がしたのだ。『気のせいだ』と思っていたけど、今度は身体に反応が・・・。一瞬、鳥肌が立ってしまったのだ。えっ?適温にしているハズなのに、どうして私だけが?
「ねぇ絵里奈。冷房、効きすぎていない?」
「適温ですけど・・・。実は・・・私も寒気がするんです。」
「えっ?絵里奈も?」
「先輩もですか?さっき私、見たんですよ。像が私に微笑んだような気がして・・・。そこから寒気が走って来たんです。」
 えっ!?絵里奈も!?他の人を見ると、ワイワイ騒ぎながら写真を撮ったり、ロマンティクな顔をしている人が平気でいるのに、私たちだけ寒いのである。おかしい。どうして私たちだけが?誰かに狙われているとでも言うの?
 バスがヴィクトリア宮殿を後にすると、寒気も消えていた。どうして私たちだけにあの寒さが・・・。私たちは思わず考え込んでしまった。まぁいい。きっと冷房が効き過ぎていたんだろう。
 さてバスはホテルに着き、私たちは部屋のカギをもらった。私たちの部屋は7階なんだけど、ヒカルくんも同じ階なんだよね。他の人たちは別棟なんだよね。私たちの部屋はと言うと・・・。
「すごーい!これってスイートルームじゃん!」
「広い!ベッドもダブルベッドが2つも!」
「じゃあ、他の人たちの部屋はどうなってんの?」
「わかりません。」
 しばらくあっけにとられて、またキャーキャー騒ぎ始めた。絵里奈なんかベッドの上で泳いでいるし、部屋から海が見れてしかも窓が広い!まるで海のパノラマ写真を見てるみたい。おお!すごい部屋に泊まってしまうもんだなぁ。
 たまたまバスの中で知り合った女の子の部屋へ行ってみたけど・・・。なんと部屋は狭くて、窓から見えるのは隣りのホテル。こーゆーのいいけど、なんか暗いって感じ。
 自分たち部屋に帰れば、パノラマサイズの窓にダブルベッド。私たちだけがこんな贅沢していいのだろうか。
 私たちはホテルの前にあるABCストアー(コンビニ)へ行ってみた。コーラやオレンジュースのボトルタイプが、日本の缶ジュース約1本分のお金で買えるのが外国ならでは。私なんか2本も買ってしまい、絵里奈は冷や汗タラリ。あとはカップラーメンを明日の朝の分と今夜の分を買った。
「ずいぶんと買い込んだね。」
「あっ、ヒカルくん。」
「安いから、つい買い込んじゃって・・・。」
 たまたまABCストアーに来ていたヒカルくんが、私の買い物袋を見ながら言う。そう、私は袋いっぱいに食料(お酒もね)を抱えていたのだ。ドルの使い方もわかってきたし、カタコトだけど英語もしゃべれるようになったしね。
 と言うか、ハワイに滞在している60%が日本人。あとは外国人なんだよね。だから外人も日本語がわかってしまう人もいるらしいから、ヘタなこと言ったら何されるかわからない。
 絵里奈はと言うと、けっこうお土産物が多かった。あのね、免税店でお土産物が買えるのよ。今から買ってもしょうがないよ、私も1回、他の店でお土産物買って失敗したことがあるんだから・・・。
「そうだよね。けっこう外国のは安いもんね。ところで絵里奈ちゃんは、外国初めてなのかな?」
「はい。初めてです。」
「絵里奈ったら、ずっとハワイに憧れてたんですよ。『行きたい!行きたい!』って、ワーワーワーワー!」
「先輩!やめて下さいよ。」
「そうなんだ。そうだ。よかったら、これから車をレンタルして、ワイキキの海へ行こうと思ってるんだけど・・・。一緒に行く?」
 えっ!?ヒカルくんとデート!?ラッキー!!!ストアーでたまたまヒカルくんと会って、なおかつヒカルくんとデート!こんなに嬉しいことなんてナイじゃないのよ!その前に、部屋へ荷物を置いて来て・・・。

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