ロンドンの夜景(9月26日)

 雲の下のどんよりしたロンドン・ヒースローは、滑走路にずらりとランプがと
もっていた。私にとっては1年半ぶり、昨年春に来た町だ。ローカル線扱いなの
か端っこのゲートに着いたので、重荷を転がして長路を歩く。荷物待ち(なぜか
私のは最初に、夫のは最後に出て来た)の間に今夜の宿「ストランド・パレス」
に電話して、チェックインが6時を過ぎることを連絡。懐かしい地下鉄駅のマー
クを捜し当て乗り込むが、行き先のコヴェントガーデンまで15も駅があった。
 (「マイ・フェア・レディ」の)コヴェントガーデン・マーケットは霧がちの
夕暮れで、店は閉まりかけていたが、大道芸人に人々が群れているのは以前見た
のと変わらない。石畳のでこぼこ道で荷物を倒したりしながら南下して、銀行や
ブティックの入ったマンモスホテル(1フロアに100室あるようだ)に到着した。
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 もう暗いので急いでテムズ川に出る。昨年春に来た時は、最終日にウォール街
爆破事件で地下鉄が止まったため、ビッグ・ベンの夜景を見損なった。その分を
取り返そうと、カメラマン(夫)に頼んで遠くからまず数枚。ウエストミンスタ
ー橋まで歩いて数枚。この橋のたもとの銅像は、1世紀にロンドンに攻め入った
ケルト・イケニ族の女王ボーディシア、昨年の旅の最大目的だった。二輪戦車に
乗った彼女の勇姿をもう一度拝み、チャリングクロスまで戻ってパブに入る。
 アイリッシュ海を越えて来た我々は、アイリッシュ海を越えて来たギネスを飲
んでみた。特別苦い…とも思わなかったが、やはりここはイギリスだ。パブでも
たっぷり料理が食べられる。明日の朝は早いので、早々にホテルに帰った。夫に
とって初めてのロンドンは、名にし負う霧の夜だった。

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