「私、普通の女の子が知ってるような楽しいことって
ほとんど知りません。クラスの子たちの話題には半分
以上ついていけないし、友達からもよく葵はいろいろ
損をしてるって言われます…」
そう言うと葵ちゃんは再び顔を上げ、
「――だけど」
真っ直ぐにオレの目を見た。
「それでも私は、普通の女の子たちの知らない悲しみを
いくつも知ってるんです! 毎日少しずつ強くなって
いく孤独感や、その努力の果てに試合に負けたときの
悲しみって、普通の子には、決して味わえないことです
よね!?」
「…う、うん」
なんか、今日の葵ちゃん、ひどくネガティブだな。
「それでも私は、普通の女の子たちの知らない喜びを
いくつも知ってるんです! 毎日少しずつ強くなって
いく性欲や、その努力の成果で女王様を演じたときの
喜びって、普通の子には、決して味わえないことです
よね!?」
「…う、うん」
「だから、私、自分が変態だってことは解っていても、
間違っているとは思ってません! 私は気持ちよければ
いいって、そう思うんです!」
「…うん」
なんか、今日の葵ちゃん、ひどく開放的で刹那的だな。
「…オレ、好きだな」
「えっ!?」
その瞬間、葵ちゃんはびっくりした表情になる。
あっ、いや、そういう意味じゃなくって。
ちょっと誤解されそうな言い方しちまったか。
「つまり、その、オレが言いたいのは――」
慌てて次の言葉を探した。
A、その赤ブルマなところが好き。
B、割烹着を来ている姿が好き。
C、自分らしくHするという考え方が好き。
ろくな言葉は浮かばなかった。