はじめに
なぜ陰陽師になることを薦めるのか
生きることにはいつも問題が出てくる。そんな時、人はどうするか?
@一生懸命考えて、自分だけで解決する。(自決型) A親、兄弟姉妹、友人、同僚、上司、先輩、先生、宗教家に、相談して解決する。(相談型) B占いに頼る。(占い型) C成り行きに任せる。(時間解決型) D問題を屁理屈で消し去る。(屁理屈型) Eお金で解決する。 F人に頼んで解決してもらう。 Gその他 |
陰陽師は@の自分で解決することを選ぶ。
さらに、陰陽師になると、
@問題の解決が格段に早くなる。人の10倍は確実。 A同時に、解答に間違いが殆どなくなる。 Bさらに、問題を見つけることもできるし、問題が時間とともに変化して行く事も予測できる。 C卓越した陰陽師は、問題の発生も予測できる。 D生活コストが劇的に下がる。創意工夫が面白くなり、モノを買わなくなる。 E健康になる。病気予防ノウハウが身に付く。 F自己の性格改造が出来る。 G料理が上手になる。 H仕事が面白くなる。仕事が速く、確実になるので、信頼される。 I正直に生きるようになる。ウソがつけなくなる。 |
となれば、誰でも陰陽師になりたいと思うだろう。
ところが、どうやってなるのかが判らない。
学校では教えてくれない。塾もない。
・才能が必要か、
・それとも厳しい修行をやらなくてはならないか、
・膨大な書物を読まなくてはならないのか。
・簡単ではなさそう。
・お金もかかりそう。
・若すぎては駄目かもしれない。
・勘が悪いからできそうもない。
・霊的能力はさっぱりない。
・物事が長続きしない。
やっぱり駄目か。
そんなことはない。
「陰陽師になる」のテキストを読んで、あとは自習すればよい。自習は実践を伴うことが当然である。
質問歓迎。
先生:古野操。 陰陽師。
自己紹介:
湯河原(JR線湯河原駅から車で約15分の山里)に住んでいます。
私の世界観:
@伝統的世界観(デカルト=ニュートン世界観)が揺らいでいる中で、人々は新しい世界観を模索している。
Aキリスト教信仰を基礎においた近代西欧思想に対抗できる、機械論的でない、世界の認知法を捜し求めている。
B男性上位の価値観を葬って、フェミニスト視点から生まれるエコロジカルな生き方を築き上げようと努力している。
会社経営を引退して10年になります。今は、年金と僅かなコンピュータの仕事で暮らしています。
物理学者F・カプラが『新ターニングポイント』の中で書いています。
1920年代の物理学の危機(科学者が持っている基本的概念、言語、ものの考え方が原子の世界の現象を説明するのに不適当であること-筆者注)と同じく、今日の危機もまた、時代遅れの世界観-デカルト=ニュートン科学という機械論的な世界観-ではもはや理解できないリアリティに対して、そうした概念(デカルト=ニュートン的世界観-筆者注)を適用しようとするところから生まれている。 今日われわれは地球規模で相互に結ばれた世界に住んでいるから、生物学的、心理学的、社会学的、環境的現象はすべて相互に依存している。このような世界を正しく記述するには、デカルト的世界観にはないエコロジカルな視点が必要である。 |
ホーリスティックで、エコロジカルな、フェミニスト的視点をもつ人にぴったりの方法です。
だが、陰陽道を使えば、だれでも人生を楽に生きることができるようになります。
肩の力が抜ける生き方を得ることができます。」
準備:陰陽を表現するための道具「算木」
具体的なものによる表現は直感的判断を助ける。
6本の木片。縦横各1.5センチ、長さ7センチ。各木片には、4面のうち2面に、幅約1センチ、深さ2ミリの切込みが入っていて、赤く塗られている。
この木片は陰陽を示す記号を表す。切り込みがないものが陽。あるものが陰を示す。対象を観察し、その対象の陰陽を直感的に、この木片6個で表現する。
木でも、紙でもなんでもよい。自作すること。
陰陽判断をするときの注意
陰陽判断は各人が自己の尺度で決める。従って、各人各様。
「陰陽道を学ぶ会」テキストと報告
目次とポイント
第1章:陰陽判断
@陰陽の説明。判断事例。陰陽表のこと。
A人間観察。声、体形、人相、髪、雰囲気、癖、行動、動作、匂い、味、履物、出生地、誕生日
B観察の対象を6つの陰陽を示す木片(算木)で表現する。
第2章:陰陽道実践
陰陽判断が出来るようになったら、次は実践。
1)対象の変化を予測する。
2)変化を導き出す。
事例
@花粉症対策は?
A恋人との相性?
B作陶に陰陽道は使えますか?
C優柔不断な内向的な性格を変えることは出来ますか?
陰陽問題に挑戦!
第3章:陰陽判断を磨く:芸術鑑賞と自然観察
芸術鑑賞−モア美術館にて
自然観察
第4章:料理が上手になる:
@食する人の陰陽
A食材の陰陽
B処理の陰陽
C料理の陰陽
D器・環境の陰陽
第5章:健康になる
@自己の陰陽
A病気(症状・部位)の陰陽
B処方の陰陽
おわりに:
F・カプラの『タオ自然学』、『新ターニングポイント』紹介
なぜ陰陽道か。
人生のリセットとミニマルライフ
私の陰陽表
陽 | 集中 | 求心 | 赤 | 小 | 重 | 固体 | 太い | 厚い | 短い | 降下 | 音低 | 苦い |
陰 | 拡散 | 遠心 | 紫 | 大 | 軽 | 気体 | 細い | 薄い | 長い | 上昇 | 音高 | 辛い |
量子物理学者で、『タオ自然学』の著者のフリッチョフ・カプラの陰陽表
陽 | 男性的 | 膨張的 | 先鋭的 | 積極的 | 競合的 | 合理的 | 分析的 |
陰 | 女性的 | 収縮的 | 保守的 | 反応的 | 協力的 | 直感的 | 統合的 |
『新ターニングポイント』(工作舎1995)より。
彼は、この陰陽表を文化的価値や姿勢を考えるときの論理の枠組みとしていると言っている。
陰陽判断とは:観察の対象を陰陽判断すること。
対象の性質がどんな風かを見ればよい。
直感でよい。
この世の価値は相対的なものであるから、科学の言う絶対的事実はない。
大まかで良い。人間には細かいことは判断できない。
・観察の対象を見て、その性質が拡散・遠心力が働いていると見れば、「陰」。
・基本的に、陰は拡散するもの。陽は集中するもの。集中・求心力が働いているときは「陽」。
・直感的判断でかまわない。
・陰でも陽でもないとか、陰陽判断できないと言わずに、必ず、陰か陽かを決める。中間はない。
・大小の判断も、見る人が大きいと思うか小さいと思うかでかまわない。論理的に考えないこと。
・「陰陽」は、なぜ「陽」なのか、なぜ「陰」なのかは問わない。
・直感だから、人さまざま。
質問:
古野操の陰陽表とF・カプラの陰陽表の違いは?
古野操:陽が求心、陰が遠心
カプラ:陽が膨張的、陰が収縮的
参加者Aの意見:
「直感的に言って、女性は膨張的と思いますが。女性同士でおしゃべりしていると、話題がどんどん広がることがよくあります。話題があちらこちらに飛んで、収拾がつかなくなることもあります。」
参加者Cの意見:
「男性の膨張的本能は、成長願望と同じとも言えませんか?だから、わたしはカプラと同じ考えです。」
参加者Bの意見:
「私の好みで言えば、女性は物事を整理統合することが上手だから、カプラと同じように考えます。」
古野操の答え:
「あくまで各人の陰陽表が在ってかまわないのです。
いろいろな物を観ながら、感じながら、自分の陰陽判断力を充実して行けば良い訳です。」
事例:お茶の陰陽?
例えば、
@お茶は熱い、だから陽だ、として陽6。
Aお茶は甘い、甘いと言うことは組織が広がっている感じ。だから陰だが、熱いという陽もかなり入っている。だから、陰半分、陽半分の感じで陽3陰3
Bだが、熱さは冷めるから、陽が少ないはず。すると、4本は切り込みのある陰、2本は切り込みのない陽。
私(古野操)の陰陽は?:
参加者Aの答え:
陽気な顔つきであるから陽。声が低いから少々陰が入っている。動作は機敏だから、陽、髪が薄いから陽、血色が良く顔色が赤いから陽、結論として、陽が4、陰が2だと思います。
参加者Bの答え:
全体のイメージが下降というか、重心が低い。声も低いし、積極的で、行動的なところがある。陽6とします。
参加者Cの答え:
背は高くないから陽、お話が集約的だから陰(参加者Cはカプラと同じ集約的は陰と見る)、雰囲気が陽気だから陽、体つきが固そうだから陽、陽5陰1とします。
古野操の答え:
「どうやら、私は3人とも陽と観ているわけですか。
私はあなた方の見方のほかに、
文字が大きい、
体が塩辛い、
便通が良い、
塩気が好きだし良く摂る、
決断が早い、
出生地、育ったところは内陸(陰)
などを見ると、陽5陰1だと思っています。
さらに、
履物の前が減るのは陽、踵が減るのは陰。
肉食者は陽だが、えてして肉食者は野菜も大量に摂取していることが多い。
菜食者は陰だが、塩気の勝った料理で野菜を摂っていれば陽など、
陰陽の判断はあくまで個別の対象を良く観察し、直感的に判断してほしい。」
質問:参加者各人による自己の陰陽?
参加者Aの答え:
・体つきは締まって陽。
・色白で陰。
・動作はゆっくりで陰。
・髪が多くて陰。
・外交的性格で陽。
・菜食で陰。
結論として、陰(陽2、陰4)。
参加者Bの答え:
・思考が常に懐疑的で陰。
・優柔不断で陰。
・肉食好きで陽。
・音楽好きで陰。(音楽は陰)
・固太りで陽。
・酒好きで陰。
結論として、陰(陽2、陰4)。
参加者Cの答え:
・髪が多いから陰。
・果物好きで陰。
・優柔不断で陰。
・内向的で陰。
・体つきは痩せ型で陽。
・魚好きで陽。
結論として、陰(陽2、陰4)。
「陰陽道を学ぶ会」に参加した人たちの動機
参加者A
「外国育ちで、日本文化、さらには東洋文化のことが判らず、会社でも苦労しています。異文化理解がここにきた理由。」
参加者B
「私は両親の仕事の関係で、外国育ちです。歳は25才。1年間会社勤務をしましたが、勉強不足を感じて、外国の大学院への留学を考えています。
ここにきた理由は、古野さんに薦められて、もうひとつの道、もうひとつの考え方がどんなものかを知りたくて参りました。
長いヨーロッパ暮らしで、西欧的発想とか、価値観に自分自身が振りまわされているのではないか?
エコロジカルな発想をより深めるにはどうしたら良いのか?など、
アメリカ的民主主義あるいは近代主義と違う道を探りたいと思っています。
ヨーロッパ暮らしに加えて、大学でフランス文化の研究をしましたので、デカルトから始まった近代科学思想にどっぷり浸かっていると思います。というわけで、合理的議論をついやってしまう点、気を付けるつもりです。」
参加者C
「失恋ほやほやの独身女性です。
いま陶芸に熱中しています。
ここにきたのは、陶芸制作をするうちに、日本文化についての勉強がまったく足りないと感じていました。そんな時に、友人から、日本文化の根底にはこの陰陽の考え方が根をおろしているから、と強く参加することを薦められました。」
第1章のポイント:
@ 陰陽判断は直感的で良い。
A 西欧的合理主義を忘れること。
B 機械論的自然観を排除すること。
C 陰陽判断は、形式論理学とは矛盾することを理解する。(陰でもあり、陽でもある。陰と陽の中間である。陰でなければ陽とは限らない。刻々に変化するので、確定できない。各人の陰陽表がある。)
D 私の陰陽表
E F・カプラの陰陽表
陰陽判断をしたら次に何をするか。
陰陽道を実践すること。
陰陽道の使い方を手順ごとに書けば次のようになる。
@ 問題の現象・物事を「陰陽」で判断する。
A 次に、その傾向と程度を見る。
基本的な流れは極陰、極陽のどちらに向かっている?
一時的に、極陰・極陽に向かっているのか?
基本的な流れから反転しようとしているのか?
反転は一時的なものか、など
そして、それら変化の程度は?
極陰・極陽に近いのか?
流れは始まったばかりか?
前半か、後半か?
今どの辺にいる、など
B陰陽法則(自然法則)にかなっているかどうかを見る。
一見したとき、陰陽法則にかなっていないことが多い。
例えば、
空威張りはいずれ終わる。
化粧ではごまかせない。
お世辞で保たれた関係、無理した関係はいずれ崩れる。
陰気な人と思っていたら、突然陽気になることがある。極陰、極陽にはご注意を!
・内剛外柔すなわち内陽外陰が自然の姿。内柔外剛は破綻する。
・陰陽は互いに引き合う。
・陰と陰、陽と陽は互いに反発する。
・極陰は極陽に、極陽は極陰に転ずる。あるいは極陰は陽の始まり、極陽は陰の始まり。
Cそして、追加あるいは減少される条件/状態などの陰陽を判断する。
Dさらに、環境の変化を陰陽判断する。
環境が陰になれば、
対象は生体維持機能が働いて、陽になる。
陽になれば、陰となる。
暑くなれば飲み物がほしくなる。
寒くなれば暖がほしくなる。
環境が陰になったとき、
生体維持機能がなければ、陰が増える。(無生物の場合)
水が冷たくなり(陰)、やがて凍る。(極陰で陽になる)
Eこれまでの考察の後で、解答の「陰陽」を予測・判断する。
F最後に、解答の「陰陽」を現象・物事に戻す。
事例1:
花粉症対策は?
参加者Bがしきりにくしゃみをするので、身近な問題を取り上げる。
花粉症の原因を求めるのではなく、彼のくしゃみを止める方法は?と問うのが陰陽道の考え方。
花粉症の症状として、鼻詰まり、くしゃみ、目が痒い、鼻水が出ることが上げられます。
鼻詰まりは鼻の組織が狭くなり(収縮)詰まってしまう。
くしゃみは詰まった気血を一気に通じさせようとする生体の反応。
目が痒いことは、血液循環が過度になっている。
鼻水が出ることは、やはり体の組織が収縮している証拠。
結論として、陽(体を収縮させる力)が過多になっている。
陽が過多になったのは、異物(花粉)が外部から浸入したために、生体が緊張(陽)。
あるいは、環境が陰になったため(寒い)。だから、生体が陽になる。
従って、
@陽を取り除くか(汗をかく、運動をする)
A陰を補うか(ジュースを飲む、ビールを飲む、お菓子を食べる、果物を食べる、ETC)
B環境を変えるか(暖かくする)
いずれかの対応が考えられる。
参加者B君はセーターをもう一枚着て、コタツに入ると答えた。
事例2:恋人との相性?
参加者Aが問うた。「恋人との相性は?」
先ず、「恋人の陰陽を教えてください。」
恋人の陰陽
・背が高く(180cm)
・色が黒く
・運動好きで
・お酒が強い
・声は低い
・仕事は営業
・機転が利くし、気をそらせない
・結論として、陽5陰1の感じ。
参加者Aの陰陽(自己判断)
・体つきは締まって陽。
・色白で陰。
・動作はゆっくりで陰。
・髪が多くて陰。
・外交的性格で陽。
・菜食で陰。
結論として、陰(陽2、陰4)。
古野操の判断
相性は良い。だが、あなたも陽、彼も陽になったときはケンカするかもしれません。
あなたが陽になったときに気をつけていれば、問題は起こらないでしょう。
彼が陰陽道を学べば、あなたが気を使う必要はなくなります。
彼が、陰になるときはどんなときだろうかを理解することが肝心でしょう。
あなたが陽になっている日には、彼に「今日はわがままを言いそうだ」とか、あらかじめ予防線を張っておくことですね。
それに加えて、彼がもう少し、陰が増えると申し分ないですね。陰陽の比率があなたと丁度正反対くらいが心地よい関係を保てるものです。
極陽にならないうちに何とかしてください。極陽は極陰に変わり易いものです。極陽変じて陰始まるというのも陰陽法則です。
音楽を聴いたり、精神的な雰囲気作りを積極的にやってはどうですか。芸術活動とか、鑑賞でもかまいません。料理は菜食系を心掛けると良いでしょう。
愛のあるセックスも陰陽交合の最高の方法です。本来、陰陽は相補的なものですから、互いに、陰陽を与え合うというセックスは愛するもの同士にとって、その愛をより深めることになります。
参加者Aの感想:
面白いですね。さっそく試してみます。結局、しっかりした陰陽判断が肝心ですね。
事例3:作陶に陰陽道は使えますか?
参加者Cが問うた。「作陶に陰陽道は使えますか?」
勿論、使えます。
本来、創作活動はすべて極陰か極陽を人間が作り出すことだと思っています。
陰陽のバランスが取れている、陰陽が調和しているという賛辞はありえない筈です。
そんなものは人間が必ず陰か陽である以上、陰陽バランスが取れているものは毒にも薬にもなりません。あってなきが如きもので、感動を与えることは出来ません。
あなたが、作陶をするとき、何を考えて作っているのですか?
何も考えないとしたら、あなたの作品はあなたの陰陽が生み出したもの、すなわち、あなたが陽ならば、陰な作品、陰ならば陽な作品となります。極陰でもないし、極陽でもない、当り障りのないものとなります。もし作陶の時、あなたが陽ならば、作品は陰となって、陽の人からは素晴らしい、素敵だと誉められることになります。
あくまで、創作活動は、極陽か極陰を狙ってください。
色、形、コンセプト全て陽なら陽、陰なら陰であることに徹底してください。
色は赤の極陽から、紫の極陰まで、縦横に使いながら、全体のトーンを赤か紫に収斂していくように心掛けてください。
形ならば、上昇指向の陰、下降を導く陽を上手に組み合わせることです。
コンセプトならば、時間(陽)、空間(陰)がイメージされるような作品です。
作陶には焼成という人間の技を超えた部分もあります。だが、陰陽道を学んでいる以上、陶土の陰陽はもとより、釉薬の陰陽は研究すべきだし、酸化、還元の陰陽、なども同じく判断すべきと思います。
参加者Cの感想:
これまで考えてもなかったことです。創作とは極陰、極陽を人間が作り出し、鑑賞者に投げかける、インパクトを与えることという私の芸術観には賛同します。
さっき参加者Aさんが言っていましたけれど、結局、陰陽判断を磨くことが大切なことなのですね。
事例4:優柔不断な内向的な性格を変えることは出来ますか?
参加者Bが問うた。「優柔不断な内向的な性格を変えることは出来ますか?」
「簡単ではありませんが、出来ます。
簡単でない理由は、生活習慣をかえることは時間が掛かるからです。」
自己の陰陽を常に判断して、望むべき陰陽の状態に導けばよいのです。
ある日の自分の陰陽が、例えば、陽2陰4ならば、
陽の食べ物を積極的に摂取して、
厳しい環境に進んで飛び込んだり、
陽の知人のそばで仕事をしたり、遊んだりと
陽の取り込みを積極的に行うこと、
そして、その取り込みを陽4陰2になるまで、持続することです。
あなたには、食べ物での陽の取り込みが向いていると思います。
武士が、戦場に出るとき、何をやったか、何を食べたか
それがヒントになるはずです。
例えば、ある武将は、神社を訪れ、戦勝を祈願し、お茶漬けを食べたとか聞きます。
塩おにぎりも、昔から日本にある陽の食べ物です。
もうひとつ、心掛けることがあります。
西洋の発想法(陰)にとらわれている自己を解放することです。
陽の行為(例えば、一点集中)を、常日頃、心掛けること。
陰陽問題に挑戦!
あなたの解答をメールで送ってください:furuno@asahi.email.ne.jp
採点します。
@友達、恋人を得る方法。
ヒント:自己改造、自己チェック
Aお金儲けできる方法。
ヒント:消費者の陰陽、世代によって陰陽が違う
B適職を見つける方法。
ヒント:自己チェックと職業の陰陽
C大学受験に成功する方法。
ヒント:大学選択、集中力の増強、勉強方法の改善
D幸せに暮らす方法。
ヒント:言うまでもなく、陰陽道を使うことだが、もっと大切なこともある。
E健康に暮らす方法。
ヒント:病気の陰陽、体・臓器の陰陽、食物の陰陽判断
F病気になったらどうする。
ヒント:対症療法が漢方のやり方。
G料理が上手になるためには?
ヒント:食する人の陰陽、食材の陰陽、調理の陰陽、季節の陰陽
H仕事が面白くなる方法。
ヒント:仕事の陰陽、上司の陰陽、問題の陰陽
I人真似をしない方法。
ヒント:他人の陰陽、提出された企画の陰陽
陰陽道実践事例:
ブドー酒を酸っぱくさせない方法は?
@ ブドー酒が酸っぱくなるのは(陰)になることだから
A (陽)を加えればよい。
B 温めることは(陽)を与えることのひとつだが、具体的にどのような(陽)を与えれば良いかは、陰陽道は判らぬ。試行錯誤しかない。
渋柿(極陽)を甘柿(陰)にする方法は?
@渋柿を天日(陽)に干せば、陽極まって甘柿となる
A渋柿を陰なもの(例えば焼酎)につける
質問:あなた方が陰な食べ物を摂取するとどうなる?
参加者A(現在は陰(陽2、陰4))の答え:
・パーティに行きたくなる。
・一部のおとなしい友人が遠のいてゆく。
・温泉に行きたくなる。
摂取したものを減少させるように行動する。すなわち、陽な食べ物を取ろうとする。
参加者B(現在は陰(陽2、陰4))の答え:
・肉食好きで陽。
・音楽好きで陰。(音楽は陰)
・固太りで陽。
・酒好きで陰。
結論として、陰(陽1、陰5)になる。
参加者C(現在は陰(陽2、陰4))の答え:
・刺身がおいしくてたまらなくなる。
・ふっくらと太ってくる。
・陽を浴びたくなる。
結論として、陰(陽、陰)になる。
第2章のポイント
陰陽道のステップ
@ 問題の現象・物事を「陰陽」で判断する。
A 次に、その傾向と程度を見る。
B陰陽法則(自然法則)にかなっているかどうかを見る。
Cそして、追加あるいは減少される条件/状態などの陰陽を判断する。
Dさらに、環境の変化を陰陽判断する。
環境が陰になれば、
Eこれまでの考察の後で、解答の「陰陽」を予測・判断する。
F最後に、解答の「陰陽」を現象・物事に戻す。
モア美術館訪問
陰陽判断を磨くには何をするか。
芸術鑑賞と自然観察がよい。
食べ物の陰陽判断も実益を兼ねてお薦めである。
芸術作品の陰陽を判断するには、作品の前に立って、作品の姿が、収縮か、拡散かの判断を直感的にやること。どうも直感が苦手と言うなら、色、形、構成、素材、タイトル、テーマ、作者の状況などを見ると良い。
自然物の陰陽判断では、環境を加えて判断することになるので、芸術作品に比べて、複雑になる。惑わされることが多くなるが、環境をとくに観察すれば、対象と対極にあるものが周辺で発見できることが多い。
食べ物の陰陽判断も面白い。舐めたり、食したりすることが出来るので、より陰陽のことが判ってくる。
第4章(料理)、第5章(健康)で詳しく説明する。
いずれの場合も観察者の陰陽が判断に影響しているのは言うまでもないが、無視してよい。西洋的論理からすれば、客観的判断を求めることになるが、陰陽道では、直感的、主観的で構わない。なぜなら、そもそも陰陽判断の目的は、主観的なもので、他者のための判断なら、勿論その他者の陰陽を考慮しなくてはならないことは言うまでもない。
「陰陽道を学ぶ会」の参加者3名と私は陰陽判断を磨くために、モア美術館を訪れた。
国宝の「尾形光琳の「紅白梅図屏風」を前にして、私が尋ねた。
質問:
「この2双の屏風の陰陽は?」
参加者Aの見方:
色を見れば、左の白梅が陰、右の紅梅が陽です。
参加者Cの見方:
構図を見ると、流水と紅梅が画面を大きく占めている点、充実度を感じます。
従って、左の白梅が陰、右の紅梅が陽です。
参加者Bの見方:
白梅の幹が画面の外に感ぜられます。作品全体が外に向かっている、拡散している印象です。
従って、左の白梅が陰、右の紅梅が陽です。
私の見方:
白梅の図で、枝が上がっているのもありますが、下がっている方が強く描かれています。流水も画面の下方への流れが強調されています。幹の根元だけを端的に描いています。
紅梅の図では、画面の充実感、端正な梅の描き方、流れの下方強調が表現のポイントに見えます。
従って、私は、両方が陽と思います。
蛇足ながら、この画面が2双に分かれていることは、離して置かれることを前提としています。隣同士に置くと、陽と陽が反発して、平板なものとなってしまいます。間を置いて、立てられていることを想像してください。光琳の意図から言ったら、離して展示したほうがより迫力が出ると思います。落款がそれぞれにあるように、最初から、離れて置かれることを光琳は計算している筈です。
野々村仁青の「色絵藤花文茶壷」の前での質問
「この国宝の陰陽は?」
参加者Aの見方:
下部につい目が行ってしまいます。下部の茶色と藤の花の垂れ下がりがそうさせているようです。形は上部が張っていて陰を感じます。結論は、陽(陽4陰2)です。
参加者Cの見方:
円形に近い感じです。絵柄の充実ぶりが際立って見えます。締め込んだ土が硬さを表しています。好きな色、形です。
陽(陽5陰1)です。
参加者Bの見方:
がっちりした感じを受けます。端正な感じも好きです。陰に傾いている私が好きですから、陽(陽5陰1)と見ます。
私の見方:
参加者Bさんの見方で、自分の状況から判断したのは面白いですね。
私は感銘を受けませんし、好きな作品ではありません。陽な私から見て、この壷は陽なのでしょう。
加藤唐九郎の芸術観についてお話します。
『唐九郎のやきもの教室』より
ものの在りように「向勢」と「背勢」というものがあると彼は言います。(P79)
書でいうと、「向勢」は円みのある書(日本の仮名書き)、「背勢」はピーと張った書(欧陽詢)です。顔真卿は背勢の中に向勢がある。
加藤氏の語るものをリストにすると、
向勢:
日本の仮名書き
女性的
柔らかい
曲線的
尼さんの丸みのある姿
利休の好んだ茶碗(窪んで角がない。楽焼の茶碗で代表される丸みのある包み込むような姿。
背勢:
武士のはかま姿
城
織部
志野(パリッとした力強い姿)
光悦の茶碗(傷がある-背勢)
私にとっては、この向勢が陰で、背勢が陽ということになります。
この本は面白く読みました。
生け花の免許皆伝書にも同じように、陰陽のことが語られていました。
日本文化の担い手たちがこの陰陽道を知らず知らずのうちに伝統としていたことに驚かされます。
「陰陽道を学ぶ会」の参加者3名と古野は自然観察のためにアトリエ周辺の散策に出掛けた。
「風の陰陽はどうですか?」
参加者Bの判断:
そよ風が陰で、強風が陽です。寒い北風、木枯らしが陰で、春一番、台風の南西風が陽です。
「この野草(スミレ)の陰陽は?」
参加者Aの判断:
小さいから陰、紫色で陰、葉っぱの広がり方は陰、私は陰とします。
「この桜の花(熱海桜)は?」
参加者Cの判断:
赤みを帯びた花だから陽、寒いうちから咲くのは陽が強い証拠。
「竹の陰陽は?」
参加者Bの判断:
上へ上への伸びてゆくところは、拡散の勢い(陰)があると見ます。
「この自然薯の弦は横に広がっていますね。では自然薯の陰陽は?」
参加者Cの判断:
芋掘りをやったことがあるのですけど、地中深く掘らないと採れないのです。地球の中心へ向かう求心力が強く働いていると思います。だから、陽です。
第4章のポイント
料理のステップ
@食する人の陰陽
A食材の陰陽
B処理の陰陽
C料理の陰陽
D器・環境の陰陽
料理が上手な人とは、素材の陰陽、処理の陰陽、器・環境の陰陽、食する人の陰陽を判断できる人。
NHKのあさドラ「ほんまもん」で、主人公がお客さんの食べたいものを提供することが料理プロの仕事だとして、お客さんに何が食べたいですかと聞くシーンがあった。お客さんのほうは、唐突な質問に戸惑い、怒り出す人もいた。
もし、主人公が陰陽の判る人なら、こんな質問は不要である。お客さんの動作、話し振り、持ち物、顔つき、さらに、天気/気象により、お客さんの食べたいものが判る。
食べたいものは、お客さんの陰陽の反対のものを出せばよい。
すなわち、陰の人なら、陽の食べ物を。陽の人なら、陰の食べ物を、手持ちの食材から調理して提供すればよい。
ポイントは、食する人の陰陽を判断して、手持ちの食材を見て、処理の陰陽(熱、冷、調味料)で、食べる人にとってのおいしい料理を作ること。そして、器の陰陽を考えて盛り付けること。勿論、食卓の環境も大事である。
食べる人の陰陽
昔の料亭の女将は、お客さんの履物をそろえるときに、底の具合をみて、この人は陰陽を判断した。すなわち、つま先が減っていれば、せっかちな人、すなわち、陽が強い人。踵が減っていれば、ゆったりと歩く人、陰な人と見た。その見立てを、板さんに伝えれば、板さんも心得たもの、食する人にあった料理、味付け、盛り付けで料理が運ばれてくる。お客さんは尋ねられることなしに、食べたいものが出てくるのだから、驚き、良い店と言うことになる。
食材の陰陽
形、色、成長の姿、味、求心か拡散か、などで判断する。
丸いものは求心力が働いているから陽。
赤いにんじんは陽。白い大根は陰。
空に向かってぐんぐん伸びてゆくものは陰(たけのこ、麦)。地下深く伸びてゆくもの(自然薯)は陽。
すっぱい果物は陰。シオ辛いものは陽。
ナトリウムが多いものは陽、カリウムが多いものは陰。ナトリウムはものを収縮させるし、カリウムはものを拡張する。
魚は陽。肉は陽。野菜は陰と大雑把に考えても良い。野菜のうちで、葉っぱは陰、根菜類は陽。甘いイモ類は陰。
調味料も、塩は陽、味噌は陽、しょうゆは陽。サトウは陰、みりんは陰、お酢は陰。
大根のしっぽと上のほうとどっちが甘いか?
処理の陰陽
熱を加えると陽になる。冷やすと陰になる。
圧力をかけて煮ると陽。時間をかけてぐつぐつ煮れば陽を強くすることができる。蒸すことは水分を与えながらやることなので、焼くことに比べれば陰。焼くことより焦がすことのほうが陽。
電子レンジで処理すると陽。
時間をかけることは陽を与えること。
急激に冷やすことは、より陽にすること。
包丁の使い方も、細かく切れば陽。薄くきれば陰。同じ野菜でも、根元としっぽでは陰陽が違う。
料理の陰陽
結局、料理の陰陽は、食材と調理の陰陽で決まる。料理人は、つい自分の陰陽で味を決めてしまいがちであるが、あくまで食べる人の陰陽で食材・処理を決めること。
器・環境の陰陽
料理は盛り付けが大切。さらに、食卓の環境もおとらず大切。陽な料理を陰な器と環境で提供すると、食べる人にとっては、良くも悪くもない印象をもつ。陰な料理を陽な器と環境で提供しても、ダメ。
陰なお客さんにおいしく食べてもらうには、陽な料理(味付け)をような器と環境で提供することが手っ取り早いが、陽極まって陰ということにはくれぐれも気をつけてほしい。せっかくの料理ともてなしが仇になる。
料理の陽があるいは陰が勝ちすぎたら、器と環境で調整する。
質問:
次の食材の陰陽を判断してください。
1)牛乳
ヒント:牛乳は赤ちゃんが飲むもの。
2)ナッツ
ヒント:油っぽい。
3)ソバ
ヒント:基本的に寒冷地で栽培する。
4)大豆
ヒント:脂肪分が多い。
5)卵
ヒント:形は?
参加者の感想:
参加者A
食材を合理的に、栄養学的に処理することが、料理上手だと思っていました。考え方を変えてみます。
参加者B
料理は陰陽の勉強に有効と思うので、トライすることにします。
参加者C
おいしいと言って食べてくれると張り合いがあるものですが、これまで、おいしさは食材の良し悪しで決まると思っていました。食べる人の陰陽がポイントであるとはっきり理解できました。料理好きになりそうです。
私の陰陽表
陽 | 集中 | 求心 | 赤 | 小 | 重 | 固体 | 太い | 厚い | 短い | 降下 | 音低 | 苦い |
陰 | 拡散 | 遠心 | 紫 | 大 | 軽 | 気体 | 細い | 薄い | 長い | 上昇 | 音高 | 辛い |
第5章のポイント
@自己の陰陽
A病気(症状・部位)の陰陽
B処方の陰陽
陰陽道が納得できるのは、健康維持あるいは病気予防に、応用するときです。
その手順は、自己の陰陽を判断し、次に病気(症状・部位)の陰陽判断を加えて、処方すなわち、食箋(料理)を決めるという流れになります。
病気というのは、自己の陰陽バランスの崩れであるから、その崩れの予兆を感じた時には、陽過多ならば、陰の食事、陰過多ならば陽の食事とバランス回復の食事をとれば良い。
対症処置として、陽過多のときに、陽を減らすやり方もありうる。たとえば、運動したり、サウナに入って汗をかき、塩分を取り除くこと。
自己の陰陽判断が出来て、料理の陰陽がわかれば、病気予防lは誰にでも出来る。
自己の陰陽判断
第1章の陰陽判断を読んでほしい。
自己の陰陽判断とは自分の陰陽が日ごろの傾向からどのくらいずれているかを判断すること。そのためには、常日頃から自分の陰陽の傾向を捉える必要がある。
漢方の望診とは、患者の陰陽を見ることである。寒熱とか、虚実とか陰陽の呼び方は流派によって違う。
病気の陰陽
病気の陰陽は、先ず、症状が体のどこで発生しているか。その部位の陰陽は頭部ならば陰。下肢ならば陽という風に判断する。
次に、症状の陰陽判断である。吹き出物が出来たならば陰。色での判断も出来る。臓器の陰陽も大切である。大きな臓器は陰。小さな臓器は陽と見ればよい。
料理の陰陽
第4章の料理が上手になるを読んでほしい。
古野操の質問:
自己の陰陽を判断で、大小便の状態を見るのが一番判りやすい方法です。
では、つぎの陰陽を判断してください。
1)小便の回数がいつもより多い。
2)小便の色が黄色だった。
3)拭き取る必要もないくらいすっきり排便できた。
4)大便がいつもより黒色だった。
5)便秘気味である。
参加者の感想:
参加者A
医食同源という言葉を聞いたことがありますが、食事の大切さを痛感しました。
参加者B
自己の陰陽判断を大小便でやるのは簡単な方法ですね。
参加者C
結局、自分の体との対話ができていないと、健康にはなれないのですね。体とのコミュニケーションをより大切にします。
私の陰陽表
陽 | 集中 | 求心 | 赤 | 小 | 重 | 固体 | 太い | 厚い | 短い | 降下 | 音低 | 苦い |
陰 | 拡散 | 遠心 | 紫 | 大 | 軽 | 気体 | 細い | 薄い | 長い | 上昇 | 音高 | 辛い |
F・カプラの『タオ自然学』
米国留学中に、数学の先生から薦められて、この本を読む気になった。
すでに易経を読んでいたので、カプラのいう東洋的思想は問題なく受け入れることができた。
東洋の神秘思想と現代の物理学との類似性について書かれたものだった。
「本書の目的は現代物理学の概念と、東洋の哲学や宗教の基本思想との関係を明らかにすることにある」 |
「20世紀の原子と素粒子の世界の研究によって、古典的な考え方の限界が明らかなり、数多くの基本概念の根本的修正が必要になってきた。」 |
「東洋神秘思想に対する関心を、思考や感覚、価値観や姿勢、社会と政治の構造など、われわれの文化の中の深い調和の乱れを正そうとするより大きな潮流の一部と見ている。この文化的な調和の乱れを表すには陰陽という中国語が適切であることに私は気づいた。われわれの文化は陽、すなわち男性的な価値観と姿勢を寵愛し、それと一対をなす相補的な陰、すなわち女性的なものを蔑ろにしてきた。統合より自己主張、総合より分析、直感的知恵より論理的知識、宗教より科学、協調より競合、保護より拡大を好んできたのである。この一面的な発展はいまやきわめて危険な段階に到達し、社会的、生態的、倫理的、精神的次元の危険を招いている。」 |
『新ターニングポイント』
文化的変容が世界中のいたるところで起こっている。
その変容のありさまと行方について語っている。
「本書の目的は、一貫性のある概念の枠組みを提示し、それぞれの運動がその目的の共通性を認識できるようにすることである。もしそうした認識が生まれれば、様々な運動が手を携えて進み、社会変革に対する強力な力を形成するにちがいない。今日の危機のゆゆしさとその地球的広がり。それは、こうした変革が先例を見ないほどの変化を世にもたらすことを暗示していよう。地球全体のターニングポイントなのである。」 |
「今日の危機は本質的に認識の危機である。」 |
「1920年代の物理学に危機と同じく、今日の危機もまた,時代遅れの世界観−デカルト=ニュートン科学という機械論的な世界観-ではもはや理解的ないリアリティに対して、そうした概念を適用しようとするところから生まれている。今日われわれは地球規模で相互に結ばれた世界に住んでいるから、生物学的、心理学的、社会学的、環境的現象はすべて相互に依存している。このような世界を正しく記述するには、デカルト的世界観にはないエコロジカルな視点が必要である。」 |
なぜ陰陽道か。
今日の危機に対する解決策は確実に存在すると思う。
解決策はカプラが言うように「われわれの認識、思考、価値観を根本的に変える必要がある」。
その根本的に変える方法が陰陽道である。
陰陽道は、一言で言えば、認識の方法である。
人生のリセットとミニマリスト
熟年留学から帰って、5年経つ。
帰国後すぐに書き留めたものを読むと、5年間の米国熟年留学は人生の仮決算をするためだったと記している。
そして、その仮決算で得たものは、ミニマルライフ選択の決心だった。ミニマリストになろうと決心した。
次の誕生日で65才になる。
これまでの人生で、今が最も楽しくて、最も自由になったと思っている。生きることが面白くてしょうがない。
私の生活は、今になって、やっとミニマルライフが板に付いてきた。
ミニマルライフとは、簡単な生活である。お金が掛からない生活である。お金を掛けない生活である。それは自由な生き方である。執着のない生き方である。面倒のない生活である。退屈しない生活である。沈黙を怖れない生活である。
何がミニマルかといえば、生活者の思考がミニマルであることで、質素な節約生活ではない。思考がミニマルとは、論理的であることは二の次にして、直感的であることを大切にすること。ミニマルでないとは、微細な水も漏らさぬ分析の結果、日常生活の時々での決断が複雑になってしまう生き方ではないもの。
そのミニマルな思考を可能にしているのが陰陽道である。
日本でシンプルライフというと質素で節約ずくめの生活というイメージを持つ人が多いようだ。シンプルライフは素晴らしいと言おうものなら、お金がないから仕方なく、あるいは無理してシンプルライフと言っているに違いないという非難が聞こえてくる。私自身、米国に行く前は、そうだった。悪く言えば、社会的脱落者の生活、ヒッピーライフ。良く言えば、簡易生活、節約生活。
だが、5年間の米国生活で、シンプルライフのイメージはすっかり変わった。
ミニマルライフとシンプルライフは違うことに気が付いた。
私の求めているのは思考がミニマルなライフスタイルであって、結果として、生活パターンがシンプルになるもの。生活パターンをシンプルにすることを目的として、生活コストをカットするライフスタイルではない。
私が陰陽道をもっと勉強しようと思ったのは、ボストン郊外でKushi Instituteを主催している久司道夫氏のお陰である。
先生を訪ねて世界中からやってきた人たちのミニマルライフへの熱意に動かされて、私の陰陽道は磨きが掛かったといえる。
今、私は陰陽道を使いながら、ミニマリストとして生きることを選択している。
おわり
2002年4月25日 木曜日 推敲