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ここでは、音楽に関連するワークショップを紹介します。  
ワークショップの趣旨

音の高さの違いは周波数の違いであることを説明し、スピーカーから特定の周波数の音を鳴らし、参加者に「人間の耳はどのくらいの音の違いまで判別できるか?」ということを体験してもらいます。
また、人間はどのくらい高い音、低い音まで聞こえるか、ということについても実験をしてみます。
 
仕組み
ノートパソコン、USBのサウンドインターフェイス、アンプ、スピーカーを用意します。ノートパソコンに内蔵のサウンド機能では、2万Hzなどの高周波を正しく発生させることができません。ちなみに私はサンプリングレート9万6千HzのUSBサウンドインターフェイスを使用しています。このインターフェイスでは4万3千Hzの周波数まで出せます。また、スピーカーも同様で、ある程度、ちゃんとしたものでないと、高周波を再生したときに雑音が入って使い物にならないという状況が発生します。
 
進め方
指定した周波数の正弦波を再生するプログラムを用意します。まず、440Hzの音と880Hzの音を続けて鳴らし、これら2つの音がどのように違うのかを説明します。2つとも音の波形としては、正弦波という非常にシンプルなもので、違いは周波数だけです。低い音のほうは440Hz,高い音の方は880Hzの音です。周波数が大きいほど人間の耳には高い音として聞こえます。
440Hzの音は、楽器で言うと、ラの音です。880Hzのほうは上のラです。
ドレミの音は、周波数によって決まります。
たとえば、ドの音は、523Hz,レの音は587Hz、ミの音は659Hzです。
ドとレの音の違いを聞き分けられない人はいませんが、ドの音とドから少しだけ高い音は聞き分けられるでしょうか?
523Hzの音と587Hzの音は、ほとんどの人が聞き分けられますが、523Hzと524Hzの音の違いを聞き分けられる人はいません。
実際に、523Hzと524Hzの音を続けて鳴らし、参加者にどちらの音が高く聞こえたかを尋ねてみても、自信をもって答えられる人はいないはずです。
523Hzと554Hzはそれぞれ、ドとドの#の音です。これらの音は全員が聞き分けられるはずです。
523Hzと538Hzは、ドの音と、ドとドの#のちょうど中間の音で、15Hzの差です。まだほとんどの人が聞き分けられるはずです。
523Hzと530Hzは、ドの音と、ドからドの#に向かって4分の1だけ高い音で、7Hzの差です。聞き分けられなかった人もちらほらいるはずです。
523Hzと527Hzは、ドの音と、ドからレに向かって8分の1だけ高い音で、4Hzの差です。聞き分けられる人はわずかなはずです。聞き分けられる人がいた場合は、さらに周波数をせばめて続けます。
この能力に年齢的な差はあまりないように思います。また必ずしも楽器経験のある人のほうが、聞き分ける能力が高いともいえないようです。もちろん、どの音域で聴き比べを行うかによっても結果は違ってきます。
 
つづけて、人間はどのくらいの音の高さまで聞こえるか、という実験をしてみます。たいていの人は、1万5千Hzぐらいの音までは聞くことができますが、2万Hzの音を聞くことができる人は稀です。音が聞こえる範囲を可聴域と言いますが、動物は可聴域が広くもっと高い音まで聴くことができます。
そのため、動物にしか聞こえない高いを出して、ネズミなどの動物を近づけないようにするような機械があり、スーパーの食品売り場などに設置されています。
1万Hzの音からはじめて、1000Hzづつあげて音を出していきます。1万5千Hzを超えたあたりから、ぼちぼち聞こえない人がでてきます。高齢の人ほど聞こえない人が多く、小学生以下の子供はほとんどの人が聞こえるようです。商業施設で行ったイベントでは、2万Hz付近の音を聞くことができたのは、6〜7歳の子供だけでした。
一般に、年をとるほど高い音が聞こえにくくなります。20歳を超えると、1万7千Hz以上の音が聞こえにくくなるため、若者がたむろする公園に、この周波数を発生するスピーカーをつけていた自治体がありました。このような高い音はモスキートトーンと呼ばれています。逆に若者は、携帯電話でこのモスキートトーンを発生させて、授業中に先生に分からないように合図を送りあったりしているそうです。
低いほうの音も実験してみましょう。50Hzからはじめて、10Hzづつ下げていきます。
 
デモンストレーション、ワークショップ開催記録
2013/05/18 ZEST御池 記録動画 
 
   
 
   
 
書籍とCDの紹介


上記の実験の機材は、EDIROL USB Audio Interface UA-1G を使用しています。最大96kHz/24ビットのオーディオ・フォーマットに対応しています。