研究テーマ->ジャンル研究->不思議な音楽->遺伝子の音楽
自然界にある色々なものを利用して音楽をつくることができます。たとえば、地形の起伏をメロディの起伏に置き換えることでも音楽を作ることができます。また、脳波を測定し、そこから音楽をつくるようなこともできます。 ここでは、遺伝子の情報から音楽を作ることについて考えます。  
遺伝子の音楽について
DNAはたった4つの構成物資からなっています。これらは、A、T、C、G(アデニン、チミン、シトシン、グアニン)で示されますが、DNAはこの4つが何億と連なることでできています。人間や猿など、種が違えば、この4つの構成要素の並び方が違っています。同じ人間同士でも、個人によって、少しずつ並び方が違うのです。

このA、T、C、Gの並びには、ある部分では、規則性があるような、ある部分ではランダムであるような並びになっているそうです。この並び方の法則を研究することにより、遺伝子治療で病気を治したり、クローンを作ったりといったことが可能になるわけですが、研究者の何人かが、この並びを音楽にして聴いてみると、何か法則をつかむのに役立つのではないかと考えたわけです。こうして始まったのが遺伝子の音楽らしいです。

A、T、C、Gが3つ集まると、I、V、L、M、F、W、Y、C、A、P、G、T、S、Q、N、E、D、H、K、Rで示されるアミノ酸を構成します。これらの並びを使用して音楽を作る試みも同様になされているようです。 たんぱく質の音楽については、こちらで紹介しています。
遺伝子音楽を作った人達
遺伝子音楽の有名な研究者は、「オオノ・ススム(大野乾)」という人です。1980年代から、幾つかの論文や作品を発表されています。 また、同時期に、「林健志」「宗像信生」という研究者が「塩基は基本的に音楽」という論文を発表しています。それ以外にも、多くの研究者が遺伝子の音楽を作りましたが(たとえば、Gene Music Studio)、2001年の初め(2〜3月頃?)、セレラ・ジェノミクス社というところが、ヒトゲノム(人間の遺伝子の配列)を一般に公開したため、その後にまた、いくつかの作品が発表されました。MP3.COMでも「ミュージック・オブ・ザ・ヒューマン・ジーノーム」(ヒュー教授)や「ゲノムミュージック」(トッド・バートン氏)といったものが発表されています。
記憶があやふやですが、DNAの配列を、データとして権利登録するより、音楽として権利登録するほうが、有効期間が長いので、わざわざMP3にして権利登録しているというような話を聞いたことがあります。
思うに。。。
遺伝子音楽というのは、現存する音楽のジャンル(手法?)でいえば、フラクタル・ミュージックに近いような気がします。フラクタル・ミュージックでも、パターンの繰り返しという点に重きを置いています。セリエとか12音音楽にも近いものがあるかもしれません。
遺伝子の音楽を作ってみる
DNAの情報は、セレラ・ジェノミクス社の他、米国の政府機関でも公開されています。私の試みは、これらを利用して、音楽をつくろうというものです。 英語でメールを書いて、データ使用の許可を求めたら、許可されました。下のリンク先のページからダウンロードできます。
(DTMマガジン vol102にも初期バージョンを掲載)
プログラム

大野博士のアイデアをもとにしたプログラムの仕組みは、こちらで説明しています。
プログラムのダウンロードは、
こちらから。
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