桑名の市民活動のパワー源

ごうじふさお
郷司 房夫さん

 郷司さんは、桑名のまちづくり活動の重要なキーパーソンの一人です。商業者の集まりである"東部商研"や平成の町割会などの市民組織のリーダー的存在であり、様々なイベントを仕掛けることで桑名に新しい動きをつくりだしています。これまでの多様な取り組みについてお話を伺いました。

 


郷司房夫さん

● "東部商研"って何ですか?
 「以前は正式名を東部地区商業近代化実施計画推進研究会と言いましたが、現在は『東部商研』が正式名です。『桑名地域商業近代化実施計画策定』を行った時に東部地域でつくった50歳までの若手(!)商業者の集まりで、これまでに20回以上のイベントを行って人の輪を広げています。最初にやったのが1989年4月1日の『桑名は地球の真ン中です』というイベントで、この時に『へそ美人コンテスト』を行いました。それから、柿安さんの前でビアガーデンをしたり、寄席や音楽会を開催したこともあります。毎週月曜日の定例会を欠かさないのが東部商研の大きな力です。」

 

 

 

 

 




「へそ美人コンテスト」


● "桑名の殿様御台所祭 "について教えてください。
 「
もともとは、市役所の若手職員による『クラム』という勉強会が提案した祭りで、実行するにあたり、1989年に商業者に話があったんです。それが盆過ぎで、第1回の祭りが同年10月だったので、準備期間は1ヶ月余りしかありませんでした。でも、無茶して1ヶ月で準備を終えました。 最近の御台所祭の傾向としては、色々な団体が祭の中でそれぞれの活動をPRしたり、物を売って資金調達したりという形で参加するようになってきています。このように、みんなが参加できる場所を提供するというのがこれからの御台所祭のあり方なのかもしれないですね。 御台所祭と石取祭の実行委員はかなり重複していますから、石取祭が終わってすぐに御台所祭となるので大変です。でも、御台所祭のような新しいイベントができるのも、石取祭により育まれてきた気質があるからでしょう。課題としては、人材不足なので新しいスタッフがもっと入ってきてくれるといいんですが。 今後は、旧市街だけでなく桑名市民の祭りとして脱皮できるといいと思います。」

 

 

 




御台所祭最後を飾るイベント、ファイヤーセレモニー。 千羽鶴を炎とともに天に飛び立たせる瞬間

● "市民活動ネットワーク平成の町割会"について教えてください。

 「町割会ができたきっかけは、三重県主催で、各分野の代表者が参加する市民活動交流会でした。最初はみんな嫌々の出席だったんですが、回を重ねるにつれ意気投合し、このまま解散してしまうのはもったいないということになり、ネットワークを継続していこうと言って作ったのが平成の町割会です。 色々な組織が集まってできている『アメーバ的組織』なので、会全体で何かをするということはありません。各組織はそれぞれ独自の活動をしており、町割会としては、事務所代行の役割を引き受けたり、メーリングリストを作って活発な情報交換などをしています。活動資金は、色々な委託業務を受けたり、"宴会"をしてみんなから集めたりもします。サロンに業務用ビールサーバーが置いてあるのは町割会ぐらいでしょう。 実は、町割会の活動は2001年12月でいったん終わることになっています。それは、短い期間で会を終わらせることによって、次の新しい活動に新しい人が関われるようにしたいからなんです。町割会で借りていた建物は閉鎖し、会議室・事務所機能は駐車場の確保できる場所に、ショップ機能は商店街の中に移したいと思っています。『行けば誰かいる』という場所は必要だし、イベントなどの準備の拠点になりますから。」



 

 

 




平成の町割会の活動拠点である市民活動センターの1階に「プラザわたし」があります。火曜日プラザは毎週催事を企画しています。この写真は手芸教室ではまぐりを使った干支づくり

 

祭りやイベントの成功の秘訣は何でしょうか?
 「私は商売をやっているんですが、イベントなどを自分の商売に結びつけて考えないということがよい結果を生んでいるのではないでしょうか。それから、商業者っていうのは、お客を楽しませる能力があってね、例えばイベントの抽選会の時に順番の列が長くなってしまっても、会話や楽しい雰囲気づくりがうまいからお客さんは待たされたという気にならないんですよ。そういう仲間がたくさんいるから、色々なイベントもうまくいったんでしょうね。 それから、何事も単独で取り組むよりも集まってやった方が力になります。マップづくりでも、東部商研として作成すれば、市の施設に置いてもらえたりしますから。」


(2001年4月25日/市民活動センターにて)

 

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