寺町商店街で商店街振興組合理事長を務める

みずたにけん
水谷 健さん

  名物朝市"三八市"でお馴染みの寺町商店街。実は、大正時代以前からの古い歴史を持っていて、桑名のまちの変化とともに今日まで歩んできました。大型スーパーの相次ぐ開店でピンチとなるも、イベントなどを次々と繰り出して対抗しています。商店街の振興組合理事長を務める水谷さんに、寺町の今までとこれからについて語って頂きました。

 


水谷健さん

● 寺町商店街はどんな風にしてできたんですか?
  「このあたりには桑名別院を中心に12の社寺仏閣があり、寺町商店街はもともと、参拝客を相手にした門前町商店街として発展しました。はじめは通りの東側だけに店が並んでおり、両側に並び始めたのは大正時代からです。大正4年には商店街の南側に北勢鉄道の桑名町駅(のち京橋駅)ができ、北側の八間通には昭和2年から昭和19年にかけて市電が走っていました。寺町通りの北端には映画館や飲食店の入った4階建の『旭ビル』が昭和2年にでき、桑名の商業繁華街の中心的な存在となりました。戦災によって一帯が焼け野原となりましたが、その後急速に近代化しました。昭和28年には『三八市』がはじまり、昭和32年にはアーケードが完成しました。 しかし、昭和30年の一番街を皮切りに、ショッピングシティパル、サンシティ、アピタ、マイカル桑名などが次々にオープンして、寺町は大きな打撃を受けています。そこで今は、大型スーパーに負けない寺町ならではの個性を出すために、寺町堀の再生計画や六華苑から続く遊歩道の計画が、行政との連携のもとに進行中です。」


毎月3と8がつく日は三八市

● 『三八市』って何ですか?
  「3日、8日、13日、18日、23日、28日の月6回行う朝市で、朝9時頃から午後1時くらいまでやっています。大好評で、15,000人もの人出があるんですよ。だから、他の町の商店街の人が見学に来たりします。南濃町や立田村の農家と提携して野菜の販売をしたり、露天商と提携した海産物の販売などを行っています。人気の秘密は、やはり店主との対話やふれあいがあることでしょうね。調理法のアドバイスまでするんですよ。三八市は、将来的には東海道の方まで広げていけたらいいと思っているんです。」


● その他商店街での取り組みについて教えてください
 「平成9年には商店街の若手とおかみさんによる『ザ・てらまちっく委員会』が発足しました。会の名前は、寺町を寺町らしくドラマチックに変えていこうという願いを込めて命名されました。成果としては、パンフレット・三八市垂れ幕・はっぴ・エプロン・買物袋などの三八市グッズ、また寺町寺院歴史散歩、桑名別院報恩講セールなどのイベントを開催しました。 その他のイベントとしては、平成11年に県振興公社の助成金で実施した『大道芸パフォーマンスin寺町』があります。大道芸と各店舗での体験コーナーの企画で、多くのニューファミリーで賑わいました。 また、買い物しやすい環境づくりのために、平成12年に商店街全体で使える買い物カートを15台導入しました。これなら、重い荷物があっても楽に買い物できます。」


「ストリートパフォーマンスin寺町」(1999年7月)



「踊る商店街」(2000年9月)
● 最近の動向などを教えてください
 「最近、携帯電話の店がオープンしました。また、近々空き店舗対策事業によってパソコン教室も開店予定です。ただし、空き店舗はほとんどありません。病院や学校が近く立地がいいので、売り物件もあまりないです。 問題と言えば、商店街全体が高齢化していることですね。私は54歳でも若手と言われるんですよ。でも、"人と人とのふれあい"のある商店街は社会にとっては絶対に必要だと思っていますので、今の寺町のパワーを子々孫々まで受け継いでいってほしいと思います。」

(2001年3月6日/水谷さん宅にて)


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