老舗志ぐれ屋からコミュニティFMまで多方面で活躍中の

みずたにしんご
水谷 慎吾さん

 代々続く志ぐれ屋の経営、桑名防災支援ネットの立ち上げ、コミュニティFMの番組づくりなど、多種多様な場面で手腕を発揮する水谷さん。今回は多彩な取り組みのいくつかを語って頂きましたが、この様子ではまだまだ知られざる"顔"がありそう!?


水谷慎吾さん


● (株)総本家新之助貝新について教えてください

 「私の家は、代々しぐれ屋を営む(株)総本家新之助貝新です。貝新の屋号の由来は、初代が貝屋新之助という名だったからと言われており、現在は貝新の中でも「新之助」他4つの屋号があります。もともとは伊勢の二見浦から来た一族と言われており、はじめは専正寺の門前に住みました。そこが貝新発祥の地と言われており、今でも掘ると貝殻がたくさんでてくるんですよ。」

 

● しぐれ蛤はいつ頃からつくられるようになったのですか?ネーミングの由来は?
  「江戸時代からです。昔は東海道は海沿いで、獲れた蛤を焼いて旅人に食べさせる店が七里の渡しからずっと並んでいました。そのうちに、土産用に考えられたのが"しぐれ蛤"で、これは桑名が発祥です。もともとは"煮はまぐり"などと言われていたようですが、芭蕉の弟子の名務支考(ななみしこう)にネーミングを相談したところ、蛤の美味しい季節にちなんで『しぐれ』という名がつけられました。俳句の心や粋がもてはやされた時代、その語感は大ヒットしました。今では一般的になって『牛肉のしぐれ煮』などと使われますが、しぐれ蛤がもともとの語源です。」

 

● しぐれ蛤と佃煮はどう違うんですか?
  「しぐれ蛤の方が、佃煮よりも古い歴史を持っています。佃煮は麦を発酵させた醤油を用いますが、しぐれは大豆の溜まり醤油を使います。『香味双絶(こうみそうぜつ)』といって溜まり醤油は味も香も絶品であると言われています。また、佃煮は液がなくなるまで煮詰めるのに対し、しぐれは『浮かし炊き』と言って、ある程度炊きあがったら蛤を鍋から上げ、残った液に新しい液を注ぎ足して次に使います。他に一切手を加えない為、賞味期限は短めです。液は代々伝承されています。」

 

● 桑名・防災支援ネットの会長をされていますね。設立のきっかけや活動内容を教えてください
  「3年程前に鈴鹿で防災ボランティアをしている人から『地震が起きたら四日市が大災害になる。その時やってくるボランティアを受け入れる窓口として、桑名に防災ボランティア組織が必要だ』と言われ、つくろうと思いました。桑名で災害ボランティアに関する講演会があった時、講演後に会場にいた人に呼びかけを行い、集まった5人程で防災支援ネットをたちあげました。 活動内容としては、災害時などにパソコンを利用して、様々な人とコミュニケーションがとれるように、パソコン教室を開催しました。その他、県や市の防災訓練にも参加しています。」

 


防災訓練の様子

 

● コミュニティFMの番組づくりをされているそうですが、はじめられたきっかけは何ですか?
  「視覚障害を持つ知人が、東海豪雨の時にラジオから流れるのが名古屋の情報ばかりで桑名の情報がなかったと言っていたんです。それを聞いて、地域に密着したコミュニティFMを作ろうと思いました。しかし、設立には莫大な費用が必要であるため、四日市の"FMポートウェイブ"と一緒にやることになりました。"FMポートウェイブ"では、災害情報を四日市市から提供してもらう契約をしており、東海豪雨の時も翌日の午前中までずっと災害情報を流していました。2001年4月から、毎週金曜日午後6時から"What's up in KUWANA?!"という5分番組を放送します。」

(2001年3月7日/市民活動センターにて)
 

まちづくりブックとは  「くわな」まちづくりブックの制作にむけて  インタビュー調査  財産目録