「桑名マップの会」でバリアフリーのまちづくりに取り組む

おくだまゆみ               みずたにきみこ
奥田 眞由美さん 水谷 貴美子さん

 平成10年に桑名で行われた車いす集会をきっかけにバリアフリーのまちづくりを目指し精力的な活動を展開する奥田さんと水谷さん。現在は「桑名マップの会」でバリアフリーのまちづくりの勉強会などをされています。

 

● バリアフリーのまちづくりに取り組まれるようになったきっかけは何ですか?
  「朝日新聞文化厚生事業団が行っている『東海・北陸車いす市民交流集会』の第12回大会が名古屋で開催された時に参加したんです。その時『今度は桑名でやったら?』と言われ、最初は無理だと思ったんですが、『やれるだろうか』が『やろまいか』となり、準備に奔走しました。会場周辺の店を200軒程回り、利用できるトイレと二次会に使える店を探しました。集会開催にあたっては行政にもいろいろ協力・支援してもらいましたよ。 集会を準備する中で、行動することで桑名の街が変わっていくのだということを実感しました。例えば、集会の時期に桑名駅に仮設のスロープが設けられたんですが、これがきっかけでその後エレベータが設置されました。」

 


奥田眞由美さん
「通れないよう!はみ出ないように
自転車を止めてね!(マップづくり点検時)」

 






水谷貴美子さん
「車いすにとりつけ簡単買物カート。これは
便利、ついついたくさん買っちゃった!」

●どうして「桑名市福祉マップ」をつくることになったのですか?
  「車いす集会のために調査した資料を生かすことと、桑名には福祉マップがなかったこと、知り合った人の輪を繋げていくためにも、福祉マップづくりをしようという話になったんです。 嬉しかったのは、民生委員や医師会にマップづくりに協力してもらったことです。また、それまで全く関わりのなかった市役所との交流が生まれ、今では気軽に行けるようになりました。 初めてのマップづくりはひとまず終わりましたが、もっといいマップをつくりたいと思い、その時の仲間がそのまま残っています。それが『桑名マップの会』です。」

 

● マップづくり以降、桑名は変わりましたか?
  「マップづくりをきっかけに外に出る機会が多くなったんですが、行動すれば必ず誰かが声をかけて手助けしてくれます。『桑名も捨てたものではないな』と感じます。そういうことは外に出てみないとわかりません。 マップの中で『使いづらい』と指摘した箇所で、市で改善してくれたところもありますし、入り口にスロープをつけてくれた店もあります。JR桑名駅にもエレベーターやユニバーサルデザインのトイレができました。そのトイレには子供用のかわいい便器もついています。近鉄でもスロープや点字ブロックの設置を駅長さんと話し合いながら改善してもらっています。また、少し前に『星見ヶ丘小学校』が開校したんですが、桑名で初めて校舎内はバリアフリー化され、エレベーターや車いす用トイレなども完備の学校がつくられており、地域の人達に対して校内見学会が開かれました。このように、ハード面も着々と改善されてきており、ワクワクしています。 バリアフリーで難しいのは、視覚障害者と肢体不自由者では求めるハードが違うことです。例えば、視覚障害者は歩道と車道の間に段差があった方がわかりやすいけど、車いすの場合は段差がない方がいいんですね。桑名では、丸みをつけた段差にするなど形を工夫してもらったところもあります。お互いに理解しあうことが大切です。」

 


車いす集会終了後、参加者一人一人を見送る。
みんな涙々

 


要望が実現し設置された昇降機で参加者を迎え
る近鉄桑名駅駅員とボランティア

● これからのまちづくりの望むことは?
 「これからは「鉄板(スロープ)からトイレへ」というのがテーマです(笑)。車いすで使えるトイレがないと、その場所へは行けません。また、車いすで外出する時に、公的なガイドヘルパーが外出支援をしてくれるようになると有り難いです。コミュニティバスも低床のものがあるといいですね。それから、車いすで移動する場合は、八間通などは整備が進んできていますが、中心部以外でも障害者が安心して外出できるように整備されるといいと思います。 インターネットの利用が進んで、いろいろな情報を家庭にいながら知ることができますが、やはり外に出て人と会える機会が増える方が嬉しいです。そんなに遠くに行きたい訳ではないですから。」


(2001年4月25日/奥田さん宅にて)
 

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