「桑名・防災支援ネット」で防災まちづくりに取り組む

かわせみちよ
川瀬 みち代さん

 一生懸命防災まちづくりに取り組む理由は「台風が怖いから(笑)」だそうです。緊急時に備え、日常の会員同士の連絡に緊急連絡網を導入するなど、きめ細かい工夫をしながら活動されています。 この日は川瀬さんと同じ七和地区にお住まいの佐藤さんも同席してお話を聞かせて頂きました。

 


川瀬みち代さん
「桑名フォーラム」においてのパネル展示会場にて

● 防災ボランティアの活動をはじめられたきっかけは?
  「私は被災経験はなく、台風・地震など天災に関しては他の人とは比べられないほど恐がりなので、防災に関するボランティアに携わらせて頂くことになるとは思ってもみなかったんですが、以前地区の婦人会で、災害時に使用するための毛布をたくさん管理していることを知った時に『災害時の物品がここにあることを何人かの方が把握してみえるのであろう?』と思ったんです。自分自身も防災に関しての知識を深め、人任せではなく地域全体で防災というものを見つめ直し、身近なものとして住民の方達に感じていただきたいと考えたことが活動の始まりです。 ある時災害ボランティアに関する講演会があり、講演会後に水谷慎吾さんが『桑名で災害ボランティア団体をつくりませんか』という呼びかけをしたんです。私の他に数名の人達が集まり、桑名・防災支援ネットをたちあげました。現在私は副会長をしています。防災ボランティアというのは、災害が起こった時に他地域からボランティアに来てくれた人をとりまとめ、コーディネートするボランティアです。」

● 桑名・防災支援ネットはどんな活動をしているんですか?
  「月1度定例会を開き、地域住民の方達に防災ボランティアの活動を理解して頂き、自分達の住んでいる地域が、いざという時どのように援助しあえばよいのかを啓発・支援する方法を話し合っています。また、アマチュア無線での情報伝達に熟達しているスタッフもおり、桑名市近郊とのネットワークも出来つつあります。それから、三重県には一匹しかいない災害救助犬(行方不明者を捜し出すことの出来る犬のこと)を飼ってみえる方がいて、昨年この救助犬が熊野市での県総合防災訓練にも参加して大きな成果をあげました。また、災害時などに障害者の方がパソコンを利用して情報を得たり、コミュニケーションをとったりすることができるように、 障害者のためのパソコン教室を開催しています。 防災への備えは日頃からしておくことが重要です。緊急連絡網も災害時になって急に使えるものではありませんので、日常の連絡を緊急連絡網で行って練習しています。
  防災支援ネットには災害時に被災情報が入るようになっています。最近は、東海豪雨の時に枇杷島で支援活動をしました。その時、名古屋での支援が終わったと思ったら、桑名でも水に浸かっているところがあることがわかったんです。知るのが遅くなったのは、被害者達が誰に連絡すればよいのかがわからなかったためでした。日頃から体制づくりをしておくことが大切です。東海豪雨では、普段シミュレーションしていることを実際に試すことができたので貴重な体験でした。」



 

 

 

 

 


有珠山の義捐金の街頭募金活動
中央の犬は防災支援ネットの会員さんの災害救助犬

 

 

 

 



障害者のためのパソコンセミナー

 

● お住まいになっている七和地区について教えてください。
  「七和に住んで30年になりますが、とてもいいところです。くろがねもちの大木、河童がいたという沼やお宮などがあります。桑名市は、東海道などの観光名所だけでなく、七和などの周辺部にも目を向けてほしいと思います。七和には祭りもないですが、『何かをやりたい』と思っている人が多いので、何かをやれば必ず人が集まってきます。私が婦人会長をしていた時に盆踊りを開催したんですが、学校の運動場がいっぱいになるくらい人が集まりました。 最近気になるのは、七和地区で手押し車を押すお年寄りを見かけなくなったことです。大型スーパーの開店で、近所の小売店が潰れてしまうので、歩いて行ける店がなくなってしまっているんです。バリアフリーと言っても道の凸凹をなくすだけではなくて、そういった『車を運転できなくても暮らせる町』であることも重要だと思います。そのようなまちづくりをしていくためには行政の努力だけではだめで、住民がきちんと考えることが必要です。」

(2001年4月27日/七和市民センターにて)
 

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