弊著「インターネット教育で授業が変わる」(1997年4月15日旬報社発行)より

 実践によって、子供達が学習した例をあと二件ばかりあげてみたい。
 ホームページ上の実名記載の問題については、子供達と何度となく話し合ったが、ある時、一人の子がネットスケープ・ナビゲーターのエディタの使い方を教わりながら、自分のページをなおしてアップロードを申し出た。見た所何も変わっていないので、聞いてみると、四人の友達の実名を消したという。その中には他のクラスの友達もいて許可を得てないので、四人とも消すことにしたというのである。自分自身については実名でやりたいという。当たり前のことであるが、自他の情報の区別と責任の問題をきちんと学習した例として他の子供達の前で褒めたものである。以後、このことは暗黙のルールとして定着し、他の子供達も同様の行動をとった。
 また、このようなことがあった。前述の「漫画コーナー」設置に当たり、三人の担当が時間をかけて何枚かの四コマ漫画をかきあげた。いざアップロードとなりみんなで見たところ、どうもどこかで見たキャラクターが出ているというのである。あまり有名ではないらしいが、やはりどこかの雑誌に登場しているのと同じキャラクターが描かれているらしい。これはヤバイのではないか。以前、予告なく読売新聞に自分たちのホームページの写真が載ったとき、著作権とかいうものを先生が話した。どうもそれにひっかかる可能性がある。結局、担当の子供の方で、自らアップロードをあきらめ、オリジナルのキャラクターだけで描き直すことにした。ここで、全員が自分たちの実例の中から、「著作権」という問題を学習したのである。