ラジコン模型

ラジコンの歴史は大変古く、当初は押しボタンが1つ付いた送信機で1チャンネル制御で飛行機を飛ばす時代もありました。当時の飛行機には、動力としてグローエンジンと制御用受信機とソレノイドという構成で、電波を発射するとソレノイドが動作し、ラダー(垂直尾翼の舵)が動いて旋回飛行する。という単純な物でしたが現代と比べれば圧倒的に広い敷地があり、安全に楽しめた物と思います。
時代は進み、多チャンネル化してプロポーショナル方式が登場し、飛躍的に進化しました。プロポーショナル方式は送信機側のレバー操作に比例してサーボの回転角度が制御されるため、本格的な飛行機の操縦が可能となりました。現在の飛行機やヘリコプター、ボート、ラジコンカーは全て、プロポーショナル方式で制御されています。一方、玩具としてのラジコンも技術の向上により室内ヘリコプターが販売されるほど飛躍的に進化してきました。ラジコン模型には周波数の割り当てがあります。元々市民無線バンド27MHz帯に6チャンネルが割り当てられていましたが、トランシーバーなどの市民無線と共用のため、混信による事故も多く独立した周波数帯域の割り当てが熱望されていました。業界団体の活動とモデラーの努力により40MHz帯、74MHz帯が割り当てられ、現在は更に2.4GHz帯が割り当てられて普及を始めたところです。そこで8ビットマイコンでこのプロポーショナル方式ラジコン送信機(プロポ)を製作します。

ラジコン送信機の概要

【送信機の役割】
プロポの役割は操縦者の操作を電気信号に変えて、電波に変調して受信機へ送信する事になります。操作は左右のスティックをX方向とY方向に倒す事です。スティックの中心軸にはボリュームが取り付けてありますので、スティックの傾きは抵抗値の変化となります。ボリュームの両端には直流電圧がかけられているため電圧の変化として取り出す事が出来ます。この電圧の変化をAD変換してデジタルデータ化します。4つの操作データはシリアル信号に変換してRFモジュールから2.4GHzに変調されて、受信機に向けて発射されます。以上が送信機の役割ですがポートが余っている事とスティックのZ軸がPushスイッチになっているのでSWデータを更に追加して4チャンネルプロポ+6チャンネルSWがコントロールできるプロポとします。

【仕様】

【RFモジュールの選定】

微弱電波の規格は日本国内の電波法と海外とでは出力に大きな差があり、海外の315MHz RFモジュールは日本国内では電波を発射する事ができません。日本国内で電波法の認証を受けているモジュールを探す事になりますが、最近ZigBeeネットワーク用として2.4GHz帯のRFモジュールが販売されているので、デジインターナショナル社のXBeeを使用します。XBeeにはXBee 802.15.4とXBee Digi Mesh、XBee ZBの3種類があり、更に高出力タイプXBee PROがあります。

今回はストロベリーリナックスでXBee 1mWタイプを2個用意し、1個は受信機用RFモジュールとします。
RFモジュールとしては双方向通信が可能ですが、ラジコン用として使用する場合は送信機側からのみ送信しなければなりません。またラジコン専用の電波ではなく、通信方式も専用ではないため航空用としては使用できません。室内で楽しむ物としてください。

【回路構成】
XBeeはRS-232Cのような8ビットシリアル転送で通信を行うので、通信方式としてはPCM(パルスコードモジュレーション)となります。
ブロック図を以下に示します。ジョイスティックのX軸、Y軸のポテンションメータはマイコンでAD変換します。電源はレギュレータで3.3Vとし、バッテリーの電圧監視を実施します。電源電圧が4V以下になるとPOWER SWのLEDが点滅します。ジョイスティックにはPush SWも付いているので、ポートとしてマイコンに入力します。他にもトグルスイッチを付けてポート入力します。RFモジュールXBeeとの通信は8ビットシリアルでスタートビットとストップビットは1ビットでパリティーなしですから、マイコンのSCI(シリアルコミュニケーションインターフェース)で接続します。カスタムコード1バイト、4chのADデータ(10ビット)が8バイト、スイッチデータが1バイトで合計10バイトを繰り返し送信し続ける構成となります。

【ジョイスティック】

サムホイール・ジョイスティックはストロベリーリナックスで見つけたTVゲーム機用のコントローラの様なジョイスティックです。X軸とY軸には10kΩのボリュームが付いています。Z軸はPush SWになっています。専用基板も販売されていますので合わせて利用すると便利でしょう。今回は2個使用します。サムホイールとは指で回す操作デバイスで携帯電話やゲーム機のコントローラで頻繁に使われています。

【通信方式】
RFモジュールとの通信方式を下図に示します。RS-232Cとタイミング的には同じでが、電圧は3.3Vです。無信号時はHiでデータを出力する時はスタートビット1ビット、データは8ビット、最後にストップビットが1ビットで1フレームになります。HCS08マイコンではSCIでこの通信方法をサポートしています。XBeeはイニシャル設定で9600ボーです。電源投入直後からシリアルデータを入力すると10秒間程度通信が止まってしまう事があるので、起動時は10mS以上のWAITをかけてからシリアルデータを入力すると良いでしょう。

送信データを以下に示します。カスタムコードは送信機固有のコードで受信機はカスタムコードが一致しないと反応しません。CH1からCH4は10ビットAD変換値を2回に分けて上位バイト、下位バイトの順にデータを送信します。SW DATAは対応するポートのHi/Lowを送信します。10バイトで1フレーになります。次のフレームまで5mSの休止期間を設けています。

1byte 2byte 2byte 2byte 2byte 1byte
カスタムコード CH1 CH2 CH3 CH4 SW DATA

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