最終更新日: 99年4月10日

冒険者養成論第一

講義要項
1.戦闘のルール
2.魔法
3.キャラクターの成長
4.パーティの編成
5.装備品
まとめ
最後に
成績評価



講義要項


担当

Y.Tori(The Queen Maker)(医学部キャラクター育成学科)


目的

日本を代表するPCでのRPGである「英雄伝説」シリーズを題材として取り上げ、冒険者を育てる方法論を説明する。また、RPGを遊び、解析する際の基礎となる考え方を身につける。

この講義では、特に、最新作である「英雄伝説IV」を主な題材として扱う。シリーズの中でもこの作品を大きく取り上げる理由は、このゲームが、キャラクターを育てることに関して非常に考えなくてはならないゲームになっているからである。具体的な理由は今後の講義で説明していくが、最近の多くのRPGと違い、このゲームでは、非常に長い目でみて方針をはっきりと決めてキャラクターを育てていかなくては、エンディングに到達するまでに行き詰まることは確実である。本講義は、そのような態度を養うことも大きな目標としている。

教科書は用いない。参考書を用意する計画はあるけれども、現在執筆中なので、当分参考書も使わずに講義を行うことにする。

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1.戦闘のルール

1.1 行動の順番
1.2 命中判定
1.3 ダメージの決定
1.4 移動と狭路戦闘

英雄伝説シリーズは、第2作まではコンピューターRPG始まって以来の戦闘形式を踏襲していた。つまり、戦闘に位置関係の概念がなく、「どのキャラクターがどの敵(あるいは味方)に対して何をするか」だけを指定するものである。しかし、第3作以降は平面シミュレーションの要素が導入されると同時に、非常にユニークな戦闘になった。この講義で取り上げる第4作もその流れにしたがったものである。


1.1 行動の順番

平面シミュレーション型の戦闘を行うRPGには、主に二通りの戦闘の方式がある。そのひとつは、「移動+行動型」とでも呼ぶべきものである。旧来の戦闘方式と同じく、1ターンの間に攻撃、魔法、アイテムの使用などの行動が一度だけできるが、その行動をする前に目的の場所まで移動することができるという方法である。もちろん、1ターンの間に移動できる距離には制限がある。もう一つは、行動力方式と(今後の講義では)呼ばれるものである。各キャラクターに「行動力」という能力値があり、移動・攻撃・魔法・アイテムの使用などの行動は、行動力を定められた値だけ消費することによって行う。そして、行動力が残っている限り、1ターンの間にこれらの行動を何度でもできるという方式である。日本における「平面シミュレーション型・自動戦闘」の先駆である「エメラルドドラゴン」は、この方式の代表作である。

さて、「英雄伝説IV」は、この両方式のハイブリッドと言える。「移動+行動型」と同じく、各キャラクターは、自分の順番がくるたびに、移動を行った後何かの行動を一度だけできる。しかし、このゲームの戦闘には「ターン」の概念がない。各キャラクターには「行動力」という値があり、行動力が大きいキャラクターほど、次の自分の順番が早く回ってくる。つまり、同じ時間に多数回の行動ができるのである。そのため、行動力は非常に重要な能力値である。行動力が低いと、回復がかかる前に2回も3回も連続して攻撃を受けるなど、攻撃力・防御力が高くても非常に戦闘が不利になる。


1.2 命中判定

このゲームにおいては、攻撃が必ず命中するとは限らない。武器攻撃・魔法攻撃を問わず、攻撃を行う場合には、まず攻撃が命中したかどうかが判定される。

武器攻撃の場合、命中・回避の判定は「技能力」という能力値によって行われる。攻撃側と防御側の技能力が同じの場合、命中する確率は2分の1になるわけではない。これは私の感覚によるもので正確かどうかは保証できないが、8割程度と思われる。当然ながら、攻撃は命中しなければ単なる時間の無駄遣いである。したがって、技能力を上昇させることは非常に重要である。特に、主人公側と敵の技能力が接近している場合、技能力が2、3点上がるだけで、キャラクターが攻撃を外す確率、敵の攻撃をかわす確率が目に見えて違ってくる。技能力がさらに上昇すれば、相手の攻撃を回避できる確率が高くなり、防御力や生命力が多少低くても十分に戦えるようになる。

技能力を上昇させるもう一つの重大な理由は、このゲームでは、攻撃を行って相手のHPが0とならなかった場合、即座に相手が反撃する可能性があることである。この反撃が起こるかどうかも、技能力によって決定される。その反撃では相手が行動したことにはならず、相手は自分の順番で再度攻撃を行うことができる。したがって、技能力が相手に比べて低いのに攻撃を行うと、攻撃は当たらない上反撃を受け、余分にダメージを受けるだけとなりかねない。魔法攻撃を受けた場合も、魔法をかけた相手が武器攻撃の可能な範囲内にいれば、反撃できる可能性がある。この確率も技能力によって決まってくると思われる。

このゲームにも、ほかの多くのRPGと同じく、会心の一撃・痛恨の一撃の制度がある。これが起こった場合、通常通りダメージを計算した後それを2倍する。したがって、技能力が低いのに武器攻撃を行うことは、痛恨の一撃を受ける可能性が高いという観点からも非常に危険である。

純粋な攻撃魔法(英雄伝説4ではこの系列の魔法を黒魔法と呼ぶ)の場合、命中・回避の判定は「精神力」という能力値によって行われる。召喚された精獣(精獣を召喚する魔法を召喚魔法と呼ぶ)の攻撃を回避する場合も精神力によって判定される。ゲームのマニュアルを見る限り、精獣の攻撃の命中率に術者の精神力が影響するとは記されていない。技能力と同様の理由で、特に黒魔法使いにとっては、精神力は極めて重要な能力値である。しかし、魔法攻撃には会心の一撃・痛恨の一撃がないことと、魔法で反撃することはできないことから、技能力ほど重要性は高くない。精神力が相手に比べて高ければ、相手の魔法攻撃を回避できる確率はそれだけ高くなる。しかし、相手の魔法攻撃を頻繁に(半分程度)回避するためには極めて高い精神力が要求される。


1.3 ダメージの決定

武器攻撃のダメージの判定は、ほかのほとんどのRPGと同じく、攻撃側の攻撃力と防御側の防御力によって行う。しかし、単純に攻撃側の攻撃力と防御側の防御力の差がダメージとなっているわけではなく、同じ条件での攻撃でもかなりダメージに変動がある。これはあくまでも推測だが、攻撃側の攻撃力に乱数をかけて攻撃の威力を決め、防御側の防御力にまた乱数をかけて防御できる点数を決めて、その差をダメージとしていると思われる。攻撃力・防御力は、特に終盤には、技能力・行動力と違って、1、2点の差はそれほど重要ではない。特に攻撃力の場合は、キャラクターそのものの能力値に加えて、武器の威力も大きくなるからである。

このゲームには、魔法攻撃に対する防御力を表す「魔防御」という能力値がある。攻撃力・防御力・技能力、魔力・魔防御・精神力は、武器攻撃と魔法攻撃でそれぞれ同じ意味を持つと考えると理解しやすいだろう。魔法攻撃のダメージの判定は、攻撃側の魔力と防御側の魔防御によって行う。魔法攻撃によるダメージも、武器攻撃と同様に、大きく変動する。武器攻撃と同様、攻撃の威力と防御できる点数の両方を乱数によって決めていると思われる。魔力の総点(キャラクターの能力値そのもの+装備品の効果)は、一般に攻撃力の総点に比べかなり小さい。というのは、魔力の値はほとんどキャラクターの能力値そのものだからである。それにもかかわらず、強力な魔法では、同じレベルの武器攻撃と同等かそれを上回るダメージを出すことができる。すなわち、魔力の値を増幅しているのである。したがって、武器攻撃の攻撃力に比べ、魔力は1点が重要になってくる。


1.4 移動と狭路戦闘

このゲームにおいては、敵のいる場所だけではなく、移動の際に味方のいる場所を通ることもできない。したがって、狭い場所で戦闘を行う場合、強いキャラクターまたは経験値を得させたいキャラクターの進路を他のキャラクターがふさがないように配慮する必要がある。キャラクターが簡単に前後入れ替われないような狭い場所を「狭路」、そのような場所での戦闘を「狭路戦闘」と呼び、特に注意を促すことにする。このゲームにおいては、フィールドがそのまま戦闘の舞台となる。したがって、洞窟や迷宮は典型的な狭路である。さらに、平原を走る普通の街道でも、岩や木に挟まれた部分は狭路となる。したがって、このゲームにおいては、狭路戦闘は非常にしばしば発生する。

狭路戦闘をうまく行うためには、相対的に見て、各キャラクターがほぼ一定のタイミングで行動しなければならない。このためには、パーティのキャラクターの間で行動力の差が少ないことが必要である。その差が大きいと、行動のタイミングがずれてくる。そうなると、狭路戦闘においてはパーティ全体の移動速度や行動能力が減少する、狭路戦闘以外でも経験値を得る速度に大きな差が生じやすいなど、さまざまな問題を引き起こす。

狭路戦闘においては、経験値を得るという面で、前にいるキャラクターが非常に有利となる。パーティに比べ敵が強いなら、HPが高いキャラクター(主力戦士)を前に出さざるを得ないが、パーティに余力があれば、HPが低いキャラクターを前に出して積極的に経験値を得させることを狙うべきである。ザコ相手の戦闘においてその程度の余力もない場合は、もっと敵が弱い段階に戻って出直しを図ったほうがよい。

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2.魔法

2.1 黒魔法
2.2 召喚魔法
2.3 白魔法

このゲームでは、大きく分けて3系統の魔法がある。黒魔法、召喚魔法、白魔法である。魔法が全く使えないキャラクターもいるが、ほとんどのキャラクターはこれら3系統のうちどれかを使うことができる。一人のキャラクターが修得できる魔法は1系統だけである。また、召喚魔法は召喚する精獣の属性によりさらに4種類に大別されるが、一人のキャラクターが修得できるのはそのうち1種類だけである。


2.1 黒魔法

純粋な攻撃魔法である。黒魔法にはテーブルトークRPGを下地としない純粋なコンピュータRPGとしては珍しい「効果の拡大」の制度がある。効果の拡大には次の2種類がある。

対象数の拡大
このゲームにおける黒魔法は、高いレベルの魔法でも、基本的には単体を対象とするものである。ところが、2倍、3倍・・・のMPを消費することによって、2体、3体・・・の敵を一度に攻撃できるのである。
ダメージの拡大
1体の敵に2倍以上の攻撃を行うこともできる。その場合、消費するMPが大きくなる代わりに、ダメージも大きくなる。ただし、2倍のMPを消費したからといって、ダメージが2倍になるわけではない。
この両者を組み合わせることもできる。例えば、3倍のMPを消費して、1体の敵には1倍の、別の敵に2倍の攻撃を行うこともできる。拡大できる最大の倍率は、魔法ごとに定められている。MPがある限り何倍にでも拡大できるわけではない。


2.2 召喚魔法

精獣を召喚し、敵を攻撃させるものである。召喚魔法において、一人のキャラクターが同時に召喚できる精獣は1体だけである。ただし、精獣が敵の攻撃によって倒された場合、代わりの精獣を召喚することはできる。精獣は自動的に動かされる。精獣を操作することはできない。


2.3 白魔法

回復系の魔法である。白魔法は、全て同時に回復できるのは一人だけである。黒魔法のような効果の拡大もできない。また、魔法の効果範囲も術者または術者に隣接しているキャラクターに限られる。これは白魔法使いにとって非常に厳しい条件である。どのような意味で厳しいかは、次の章で説明する。

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3.キャラクターの成長

3.1 レベルアップと能力値の上昇
3.2 キャラクター育成の指針

このゲームにおいても、戦闘によって経験値を得て、経験値が一定の値に達するとレベルアップが起こり、レベルアップするとそれぞれの能力値が上昇するという成長の基本は、他のRPGと同じである。


3.1 レベルアップと能力値の上昇

このゲームの成長ルールの最大の特徴は、経験値・レベルが、武術と魔術の2分野に分かれていることである。武器攻撃によって武術経験値、魔法の使用によって魔術経験値が得られる。したがって、当然、経験値は、敵を倒した数によってキャラクターに均等に割り振られるのではなく、1回の攻撃あるいは魔法の使用ごとに計算している。それぞれ経験値1000ごとに1レベルアップである。武術レベルが上昇すると、HP・攻撃力・防御力・技能力が上昇する。魔術レベルが上昇すると、MP・魔力・魔防御・精神力が上昇する。行動力は、武術レベルおよび魔術レベルのうち、どちらか高いほうが上昇したときに上昇する。

すなわち、使ったキャラクター、使った能力しか強くならないシステムと言える。しかし、この表現ではなお十分ではない。より厳密に言えば、武器攻撃あるいは魔法の能力を使うことは、成長するための必要条件ではあるけれども、十分条件ではないのである。得られる経験値は、武器攻撃あるいは黒魔法の場合、相手に与えたダメージに比例する。もちろん、実際の経験値計算では、キャラクターのレベルと敵のレベルの差によって決まるファクタがダメージに掛け算され、キャラクターのレベルが上がれば、同じ敵に同じダメージを与えても得られる経験値は小さくなる。ところが、命中判定の節で述べたとおり、武器攻撃も攻撃魔法も相手に命中するという保証はない。技能力または精神力によってまず命中判定が行われる。まず命中しなければ、経験値も全く得られないのである。白魔法の場合は、HPを回復させた量に比例した経験値が得られる。毒回復、麻痺回復、戦闘不能からの回復を行った場合は、それぞれ経験値が別に定められている。この場合も、魔法を使ったキャラクターの魔術レベルによって定まるファクタが得られる経験値に掛け算される。

すなわち、このゲームにおいては、結果を出さなければキャラクターは成長しないのである。経験値は、出した結果に比例して得られるのである。


3.2 キャラクター育成の指針

最も注意すべき点は、HPは武術レベルの上昇によってしか上昇しないことである。したがって、本業が魔法使いのキャラクターにとっても、武術レベルを上げることは不可欠である。特に、白魔法使いの場合、白魔法の効果は隣接するキャラクターのみなので、主力戦士のすぐ後ろについて行動することが多くなる。したがって、武器攻撃を受ける頻度も非常に高くなる。白魔法使いは、主力戦士と同等の武術レベルをもち、同等以上の技能力がなければつとまらないとさえ言ってもよいだろう。黒魔法使いまたは召喚魔法使いの場合、武器攻撃を受ける頻度は、白魔法使いに比べれば少ない。黒魔法もある程度の射程があり、召喚魔法は術者が直接敵を攻撃するものではないからである。しかし、黒魔法および白魔法については、敵も同じ魔法を使ってくる(召喚魔法を使う敵はいない。)。黒魔法のレベルが高くなると、「超長射程(射程6以上)・大打撃・多数攻撃」の魔法を次々修得できる。しかしそれは、その同じ魔法を使う敵がどんどん出現することも意味する。しかもそのような敵が同時に何体も出現するのである。すなわち、魔法攻撃を避けて通ることなど不可能なのである。本業が魔法使いのキャラクターでも、魔防御の値はそれほど高くないことが多い。魔法を使っていれば魔防御の値は上がるが、ダメージの決定の項目で述べたように、どれだけのダメージを防げるかは不確実性が大きい。HPが低ければ、防いだダメージが小さいときに即戦闘不能(HP0)となる可能性が大きい。このゲームでは、魔防御は高いがHPの低い魔法使いよりも、魔防御は低くてもHPの高い戦士のほうが魔法攻撃を多く持ちこたえられる、というのが普通である。したがって、黒魔法使いあるいは召喚魔法使いについても、武術レベルを上昇させる必要性は、白魔法使いと全く変わりがない。

魔法使いが武術レベルを上昇させなくてはならない理由はまだある。このゲームは、魔法の使用回数に対する制限が非常に厳しいのである。最近では、MPという概念がなく、魔法を使う回数に制限のないゲームも多い。また、MPという制限のあるゲームでも、HPを回復させるアイテムがあるのと同様、MPを回復させるアイテムもあるのが普通である(価格はHPを回復させるアイテムよりはるかに高いのが普通だが)。しかし、このゲームにはMPを回復させるアイテムは基本的にない。MPを回復させるためには、宿屋に泊まるかテントを使うしかない。宿屋に泊まると、全員のHPとMPが最大値まで回復し、毒や麻痺も全て消える。テントは、移動中のみ使うことができ、宿屋に泊まるのと同じ効果が得られるものである。テントはかなり高価なアイテムなので、特に序盤には簡単に手が出るものではない。また、このゲームでは、同一種類のアイテムは最大10個までしか持てないという制限がある。したがって、ザコ相手の戦闘で魔法に頼らなくてはならないようでは、先に進むことはできないと考えなくてはならない。どうしても、魔法は、強い敵との戦闘に温存しておく必要がある。つまり、攻撃魔法使いも、武器攻撃を普段の攻撃手段としなくてはならないのである。白魔法使いは、魔法で攻撃することは全くできないから、特にそうである。ゆえに、パーティのメンバー全員がある程度の武器攻撃能力を持たなくてはならないのである。

さて、それでは、戦士は魔術レベルを上昇させなくてよいのだろうか。答えは否である。魔術レベルを上昇させなければ、魔法に対する防御能力は上昇しない。しかし、戦士の場合、武器攻撃を行っていればHPが上昇していくから、それでもよいように思える。しかし、それでよいのは序盤だけの話である。中盤以降、敵の魔法によるダメージは急激に大きくなる。さらに、先ほども述べたとおり、後半になれば長射程・大打撃・多数攻撃の魔法を使う敵が次々出現し、その攻撃を避けて通ることなど不可能である。戦士は、真っ先に敵の真ん中に突っ込んでいかなくてはならないのだから、なおさらのこと多く魔法攻撃を浴びることになる。そのときに、魔防御を上昇させる装備品を身につけていることはもちろん、魔防御や精神力が十分に上がっていなければ、いくらHPがあっても足りるものではない。

すなわち、戦士と魔法使いとを問わず、得意分野をのばすと同時に、苦手分野を訓練し欠点をなくすことがそれ以上に必要なのである。

経験値が武術と魔術の2分野に分かれていることは、苦手分野を鍛えるためには、とりもなおさずその苦手な能力を使わなくてはならないことを意味する。苦手な能力を使って戦闘を行うことは、非常に大きな危険を伴うことである。敵を倒すのに時間がかかるから、その間に受けるダメージは当然増える。HPの低い魔法使いが前線で武器攻撃をうかつに行えば、すぐにHPが0となる危険もある。さらに、敵の生命力が小さくなってからとどめを刺すまでにも時間がかかるから、敵に逃げられる可能性も大きくなる。しかし、危険が大きいから、手間がかかるからといって、これを怠ってはならない。これをせずに先に進めば、さらに敵が強くなるから、苦手分野の能力を使う余裕はますますなくなり、弱点は弱点のままになってしまう。そうなれば、シナリオが中盤ないし終盤にさしかかり敵の攻撃が厳しくなってきたときに、必ず行き詰まることになる。

苦手分野の強化を行うためには、敵がなかなか倒れずピンチに陥ったような場合に、すぐに敵を倒すことができることが必要である。つまり、得意分野で高い能力を身につけてはじめて、苦手分野の強化を行うことができるということである。ここまでは、苦手分野の強化の必要性を述べてきたが、得意分野をのばすことはその前提となっているのである。

さて、ここまでは、キャラクターに一人一人に注目して苦手をなくす必要性を述べてきたけれども、パーティ全体を考えた場合も、各キャラクターができる限り同じ速度で成長するようにする必要がある。魔術レベルについては魔法の種類により事情が異なってくるので一概にいうことはできないけれども、武術レベルについては、意図的に弱いキャラクターを鍛えるようにしなければ、強いキャラクターだけが成長し、弱いキャラクターはいつまでたっても強くならない。パーティ編成については具体的には次章で説明するけれども、パーティを編成した初期段階では、必ず武器攻撃能力には差がある。これは、キャラクターの役割が異なるのだから当然のことである。しかし、従来のように全キャラクターに経験値が頭割りで配分されるのなら、武器戦闘能力に差があっても、レベルの差は自然と解消に向かうはずである。なぜなら、キャラクター間にレベルの差があったとしても、高いレベルのキャラクターのほうが成長が遅くなるからである。このゲームでも、同様になると考えられるかもしれない。しかし、実際にはそうはならない。なぜなら、自然に戦った場合、武器戦闘能力の高いキャラクターが圧倒的に多くのダメージを与え、武器戦闘能力の低いキャラクターはなかなかダメージを与える機会がない。したがって、強いキャラクターが先にレベルアップすることになる。そして、強いキャラクターがレベルアップすればするほど、ダメージを与える機会を弱いキャラクターから奪う現象は顕著になり、弱いキャラクターが経験値を得る機会はなくなってしまう。したがって、少なくとも武術レベルについては、弱いキャラクターが敵にダメージを与えて経験値を得られるようにありとあらゆる手を尽くさなくてはならない。弱いキャラクターに強い装備品、強いキャラクターには弱い装備品を装備させて、能力の差を小さくすることはもちろんである。それだけではなく、一段敵の弱い場所に戻り、武器戦闘能力の弱いキャラクターだけで戦わせることも必要となろう。

先に進むのは、HPの低いキャラクターまで含めて、武器攻撃のみで楽に敵に勝てるようになってからと心得るべきである。ただし、幸いなことに、このゲームは、シナリオのほとんどを通じて、敵の弱い地域に戻ることは自由にできるようになっている。ゲームスタートの地点に戻ることさえできる。だから、敵が強すぎると感じたら、すぐに戻って弱点の強化からやり直さなくてはならない。

結果が出た分しか成長しないこと、使った能力しか成長しないことをここまで説明した。この二つの原則のために、このゲームは、キャラクターの強化に関して従来のほとんどのRPGとは全く異なる取り組みを要求するものとなっている。しかしながら、このゲームにも、一つだけ抜け道がある。それは召喚魔法である。召喚魔法は、精獣を召喚した時点で経験値が入る。その経験値は、召喚した精獣の種類と魔法を使ったキャラクターのレベルによってのみ決まり、精獣がその後どれだけの敵を倒そうと無関係である。すなわち、召喚魔法だけは、結果と全く無関係に経験値が得られるのである。

さて、最近では、平面シミュレーション型の戦闘はRPG全体の流れになっている。フィールドの移動も街での会話などもなく、ゲームのほとんど全てがマップの上での戦闘というゲームさえある。それでは、RPGと戦術シミュレーションとの違いはどこにあるのだろうか。私は、それは戦術の基本となる考え方の違いであると考える。戦術シミュレーションにおいては、戦術の基本となる考え方は、いかに味方の損害を少なくし敵に多くの損害を与えるかということである。しかし、RPGにおいては、味方のダメージを少なくすることはもちろん大切だが、それだけでRPGをクリアすることはできない。なぜならRPGにはもっと重要な原則があるからである。それはキャラクターの成長である。RPGにおいても、目標は最終ボスとの戦闘に勝つことである。しかし、そのためには、計画を立ててキャラクターを強くしていくことが要求される。

キャラクターを育てるという原則は、ダメージを少なくするという原則とはしばしば相反するものである。例えば、ダメージを少なくすることばかり心がけていれば、回復魔法を使うキャラクターは成長しなくなってしまう。特に、このゲームでは、苦手分野を強化することが求められる。このゲームにおいては、キャラクターを強くするために、積極的にダメージの大きい危険な戦い方を強いるようになっているとさえ言えるだろう。キャラクター育成に王道はない。結局、苦労を積み重ね手間暇をかけなければ、優秀なキャラクターは育ち得ない。しかし、漠然と遊んでいるだけでは、時間の無駄遣いに終わる可能性が大きい。単純作業の繰り返しと思われる中に、考えることが要求される。それがキャラクターを育てるゲームの本来のあり方であると私は考える。それゆえ、英雄伝説IVは、キャラクターを育てることに非常に重点がおかれたゲームと言え、その観点からは非常に優れたゲームであると考えられるのである。この講義でこのゲームを取り上げた理由もまさにこの点にある。

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4.パーティの編成

4.1 主人公の方向性
4.2 仲間
4.3 オープンシナリオ
4.4 ボーナスと能力値クラス

このゲームの一つの特徴は、パーティのメンバーを何人かのキャラクターの中から自由に選択できることである。主人公を含め最大4人のパーティのうち、2人は自由に選択できる。なお、主人公を除く3人のうち1人は、イベントによりパーティに加わるキャラクターであり、このキャラクターを変更することはできない。また、このゲームでは、オープニング時の選択により主人公をどのようなキャラクターにするか自由に変えることができる。ここでは、主人公の方向性との関係から、パーティ編成のあり方を考察する。


4.1 主人公の方向性

このゲームのオープニングは、主人公の少年時代から始まる。このときの選択によって、主人公の得意分野・苦手分野、各能力値の初期値と成長速度、使用できる魔法の種類が決まる。このゲームのマニュアルには、「何を選択するか正解はありません。どのようなアヴィンにするか、それは全くの自由です。」と書いてある(アヴィンとは主人公の名前)。しかし、この後のゲーム展開を楽にするという点からみる限り、これはかなり嘘である。確かに、4人のパーティのうち2人が自由に選択できるので、主人公をどのようなキャラクターにしても、その2人の選択によってパーティのバランスをとることができる。問題は、ゲームを開始してすぐに4人のパーティが組めるわけではないことである。

ゲームを開始した時点では主人公一人だけだが、すぐにもう一人(名前はマイルという。主人公の親友である)がパーティに加わり、パーティは2人になる。仲間にできるキャラクターのいる最初の都市(フィルディンという)には、ゲーム開始してまもなく到着することができる。しかし、そのキャラクターを仲間にするには重大な問題がある。一つは、契約金が高いことである。この都市には仲間にできるキャラクターは2人いるが、仲間にするためには500または1000ロゼ(このゲーム世界では、通貨の単位はロゼと呼ばれる)の契約金が必要となる。得られるお金は敵1匹倒すごとにわずか5ロゼ(正しくは、敵を倒すとピスカと呼ばれるものが手に入り、これを武器屋あるいは道具屋でロゼに換金する。ゲーム最初の敵は1匹1ピスカで、1ピスカ=5ロゼのため、結局敵1匹あたり5ロゼの換算になる。)。しかも、駆け出しのパーティにとって、遭遇した敵を全て倒すのは不可能である。2、3割程度は逃げられることを覚悟しなければならない。宿屋の代金(1人1泊10ロゼ)、あるいは装備費も必要なことを考えれば、この契約金がすぐに出せるお金でないことは容易に理解されよう。もう一つは、仲間の装備品である。仲間にできるキャラクターのほとんどは最低限の装備品しか持っていない。前線ですぐに活躍させるためには、まともな装備品を購入する必要がある。仲間をパーティに加えるためには、契約金でなく、装備品の費用まで計算に入れて、その必要な費用の準備ができていなくてはならない。

仲間にできるキャラクターのいる次の都市(都市名ニューボルン)には、契約金なしで仲間にできるキャラクターもいる。しかし、装備品の問題はある。さらに、この都市とフィルディンの間の街道には、スタート時点とフィルディンの間よりも一段強い敵が出る。ここを無事に往復できるようになるには、かなりのレベルが要求される。パーティが2人なら6レベルがだいたいの目安だが、ここで言う6レベルとは、優れた戦士の6レベルに相当するという意味であり、それに相当する攻撃能力がなければ、もっと高いレベルが必要となる。いずれにせよ、2人で戦わなければならない時期は相当長いと覚悟しなければならない。

したがって、主人公アヴィンとマイルで戦力のバランスが一通りとれるようにしないと、序盤で相当の苦戦を強いられることになる。マイルは、ブーメランを武器とする白魔法使いである。ブーメランは、遠隔攻撃ができるという利点はあるものの、攻撃力が非常に低い。マイルの攻撃能力は非常に弱いと考えなくてはならない。したがって、アヴィンが強力な攻撃能力を持たなければ、パーティ自体の攻撃能力が非常に弱くなってしまう。アヴィンの本業が白魔法使いという選択はこの時点で消える。さて、本業が黒魔法使いまたは召喚魔法使いという選択にも問題がある。どのような選択をしても、アヴィンのスタート時点のHPとMPの和は99になる。HPとのバランスを考えれば、MPはせいぜい60と少しである。これは最低レベルの黒魔法15回、召喚魔法なら6回分に当たる。つまり、一度宿屋に泊まってから次に宿屋に泊まるまで、これだけの回数しか魔法を使えないことを意味する。1レベルの主人公が黒魔法一撃で敵を倒せるとは到底考えられない。召喚魔法なら、一度召喚すれば倒されない限りどれだけでも攻撃させることができるが、6度の戦闘で得られる金など高が知れている。敵に逃げられることを考慮すれば、100ロゼ(20ピスカ)もいけばいい線であろう。本業を魔法使いとすることの重大な問題はもう一つある。武器攻撃の機会が少なく、ダメージも小さければ、もともと低い主人公のHPの上昇が遅れ、その結果、いつまでたっても先に進めないという事態を招きかねないのである。もちろん、本業が魔法使いでも、武器によって敵を攻撃することができないわけではない。しかし、パーティに強いキャラクターがいて、HPが低いキャラクターが敵に囲まれたような場合に確実に敵を倒すことができるのならともかく、そのようなキャラクターがいない状況で本業が魔法使いのキャラクターが武器攻撃を行うことは危険が大きすぎる。前の章で、苦手分野を鍛えることが必要であることは説明したが、これは、得意分野の能力を使えばいつでも簡単に敵を倒すことができる、あるいは、すぐに敵を蹴散らすことができる強いキャラクターが後ろに控えているという前提があってはじめてできることである。

これらの点を考慮すれば、アヴィンが戦士になるのは必然に近いとさえ言える。また、仲間にできるキャラクターの能力値から見ても、アヴィンは戦士になるのが望ましいと言える。仲間にできるキャラクターのうち本業が戦士のキャラクターは2人いるが、そのうち一人は攻撃力・防御力が低いうえ魔法が全く使えない(したがって魔法に対する防御能力も上昇しない)、もう一人は防御・技能力が低いと、重大な問題を抱えている。MPの概念のないゲームなら、武器攻撃と魔法攻撃は完全に対等の手段である。しかし、このゲームにはMPという制限がある。そうである以上、攻撃の基本は武器攻撃であり、戦士はパーティの大黒柱と言える。大黒柱が軟弱では簡単に家は崩れてしまう。パーティも同じことである。パーティが危機を迎えたとき、最後に頼りになるのは戦士である。
それに対し、魔法使い本業で仲間にできるキャラクターは、魔法関連の能力値(魔力・魔防御・精神力)はほとんど全て高い値を持つ。さらに、魔法関連以外でも上がりやすい能力値が多かったり、行動力に大きなボーナスがついていたりするなど、素質のよいキャラクターが少なくない。
さらに、アヴィンを戦士仕様にした場合極めて強力なキャラクターになるのに対し、魔法使い向けにした場合、魔法関連の能力値どれかが低くなったり、飛び抜けて優れた能力値が一つもなかったりするなど、素質のよいキャラクターにするのは容易ではない。

アヴィンを戦士にするという前提のもとで、どの魔法を選択するのがよいか考えてみよう。まずはっきり言えるのは、黒魔法はやめたほうがよいということである。黒魔法は、与えたダメージに比例して経験値が得られる。しかし、精神力が低いから、まず魔法が命中しない確率が極めて大きい。また、かりに命中したとしても、魔力も小さいから、ダメージも小さい。戦士で黒魔法選択にしてしまった場合、魔術レベルを上昇させるのは至難の業である。

召喚魔法選択または白魔法選択には、それぞれ利点と問題点があり、一概にどちらがよいということはできない。召喚魔法の利点は、他の魔法使いの魔術経験値稼ぎを妨げずに魔術経験値を得られることである。召喚魔法は、召喚した時点で経験値が入る。召喚した精獣がどれだけ敵にダメージを与えようと、経験値は変わらない。つまり、経験値を得るためだけなら、戦闘終了直前に、前線からはるか後ろに精獣を召喚すればよいのである。こうすれば、他のキャラクターが武術経験値または魔術経験値を得るのに全く影響を及ぼさずに、自らも魔術経験値を得ることができる。召喚魔法選択の問題点は二つある。一つは、黒魔法と同じく、魔力が低いと使いものにならないことである。魔力が少し違うだけでも、精獣の強さは確実に違ってくる。もう一つは、戦闘中にレベルアップするため、レベルアップが大変であることである。この意味はすぐには理解できない人が多いだろう。しかし、このようなゲームにおいては、レベルアップを確実に能力値の上昇に結び付けていく必要がある。戦士にとっては、魔術レベルの上昇の機会は少ないから、なおさらのことである。そうなれば、必要な能力値がレベルアップで上昇していないのなら、当然やり直しをしなければならない。それはおかしい、と思われる人もいるかもしれない。しかし、バランスが厳しく、しかもレベルアップの回数が限られているなら、レベルアップのたびにこの能力値はこれだけ上昇しなくてはならない、という条件が出てくるのはむしろ当然のことである。レベルアップの回数または敵を倒す数が限られているにもかかわらず、それが出てこないようなゲームは、逆に甘すぎることが多い。古いRPGでそのような条件が出てこないのは、

などの理由により、1回1回のレベルアップの質を問題にするより、多数回のレベルアップをしたほうがはるかに有利となるからである。「質より量」である。それに対し、最近のRPGの多くは、 ことにより、必然的にレベルアップの回数が制限されてしまう。量が制限されている以上、質が勝負となる。

白魔法選択の利点・問題点は、召喚魔法選択の利点・問題点の逆と言える。利点の一つは、白魔法は魔力・精神力が低くてもそれなりに使いものになることである。基本的な回復魔法は、回復する点数が魔力に比例する。しかし、これでも、「魔力に比例した威力から、相手の魔防御を引かれる」黒魔法や召喚魔法に比べれば、魔力が低くてもずいぶん役に立つ。そして、毒・麻痺・気絶からの回復、あるいはHPを全回復する魔法は、魔力が高くても低くても効果は全く同じである(ただし、本業が戦士のキャラクターがHP全回復や気絶からの回復の魔法を修得することは至難と思われるが。)。もう一つの利点は、白魔法は唯一戦闘時以外に経験値を得ることができることである。そのため、「少し前に戻る」コマンドをうまく使えば、数秒に一度レベルアップのやり直しができる。ほかの魔法のレベルアップあるいは武術のレベルアップは、戦闘中にしか起こらないので、やり直しには最低1分を覚悟しなければならない。そのため、やり直しの回数を多くでき、レベルアップを確実に必要な能力値の上昇に結び付けることができる。白魔法選択の問題点は、他の魔法使いの魔術経験値稼ぎと衝突することである。白魔法の経験値は、回復させた点数に比例する。したがって、パーティのほかの白魔法使いとは「同じ大きさのパイの奪い合い」となる(ここでは、アヴィンの本業が戦士であるという前提で話をしているから、ほかに白魔法使いがいないことは考えられない。)。また、パーティに黒魔法使いがいる場合、そのキャラクターが魔術経験値を得るため黒魔法を使うと、一般に敵が倒れるのが早くなり、それだけパーティの受けるダメージの総量が小さくなる。そうなれば、白魔法使いが得られる経験値は減少してしまう。つまり、白魔法選択にすると、経験値を得るという観点では黒魔法使いとも衝突することになる。

ここまでの解説を読んで、実際の戦闘で使いものにならなければ意味がないから、白魔法選択にしようと考える人がいるかもしれない。しかし、それは短絡的な考えである。前の章で述べたように、戦士が魔法を修得する意味は、それを実際に使うよりも、魔法に対する防御能力を高める意味合いのほうが強いからである。実用という考えを捨てるなら、召喚魔法選択のほうが望ましい点も多いのである。


4.2 仲間

次に、主人公の本業が戦士であるという仮定のもとで、パーティ編成の例を考えてみよう。前半、パーティが敵に比べ強くない時期は、「戦闘中に回復をしながら持ちこたえる」ことが重要となる。したがって、白魔法使いを一人仲間に加えることが望ましい。戦闘中に回復をしながら持ちこたえる場合は、一度の回復で大きく回復できること、つまり、魔力が高いことが要求される。白魔法使いがパーティの中に何人もいてもあまり役に立たないが、マイルでは魔力が低いため戦闘中に回復をかける役割としては難がある。前半で仲間にできるキャラクターの中に白魔法使いは一人しかいないので、このキャラクター(名前はアルチェムという)を仲間に加える可能性が非常に大きくなる。アルチェムは純然たる白魔法使いで、魔力の高さは飛び抜けている。

前半では、敵の魔法のレベルがそれほど高くないので、攻撃魔法使いの必要性は大きくない。残る一人の仲間としては、HPの高いキャラクターが望まれる。アルチェムのHPは極端に低いので、そうしないとパーティ全体としてHPが低くなり、強い敵との戦闘に持ちこたえられない恐れが出てくるからである。

ところが、後半に入ると状況がかなり変わる。敵の変化としては、大打撃・超長射程の魔法を使う敵が次々登場することである。ここでいう超長射程とは、具体的には射程6以上のことをさす。このような魔法を使われた場合、魔法が届くぎりぎりのところから魔法攻撃を受けたとすると、その次に主人公側の順番がきても敵が遠すぎて移動力をいっぱいに使っても武器攻撃が届かないことになる。実際には、多くの場合、敵は一度に複数のキャラクターを攻撃しようとするため前に出てくるので、次の順番で武器攻撃できるチャンスはあることが多いけれども、このような状況もしばしば発生する。また、大打撃・超長射程の魔法は、同時に多数を攻撃できる魔法でもある。このような魔法を使う敵に対しては、初めから回復魔法をかけながら持ちこたえるよりも、とにかく速攻で敵の数を減らすことが決め手となる。途中で回復魔法を使わなくてはならないとしても、キャラクターが倒れるぎりぎりまで攻撃を続ける必要がある(そのほうが受けるダメージの合計は少なくなる。なぜか考えてみよ。)。したがって、このような敵と戦う場合は、回復をしながら持ちこたえるよりも、強力な攻撃魔法使いの存在が不可欠となる。

一方、主人公側にも重大な変化がある。それは、マイルが死んでしまい、代わりにルティスというキャラクターがパーティに加わることである。マイルが白魔法使いなのに対し、ルティスは黒魔法使いである。したがって、戦術の変化はあっても、アルチェムをパーティに加える必然性は、減少するどころかむしろ大きくなると言ってよい。ここで驚くべきことがある。ルティスがパーティに加わるときの能力値は、マイルが死んだときの能力値と全く同じになる。レベル・経験値・称号の位階も保存される。ストーリーの上では、もともと、ルティスは、主人公のパーティと敵対していたキャラクターである。ルティスはマイルの生まれ変わりなどということはあるはずがない。それにもかかわらず、キャラクターを育てるという面では、マイルとルティスは一人のキャラクターとみなすことができるのである。これも、このゲームが、いかにキャラクターを育てることを重視しているかの表れと言える。前半でマイルを育てた成果は無駄にはならないのである。そうなると、前半でマイルの魔術レベルと魔力を上昇させることが、後半の強力な魔法攻撃に対する最もまっとうかつ有効な対策と言える。

後半でルティスが主力魔法使いとして使えるようにするためには、マイルのレベルを上昇させることに加えて、前半に魔力にボーナスのある装備品を入手することが必要である。それほどこのキャラクターの魔力は低い。魔力にボーナスのある装備品は、武器屋では売っていない(純粋に魔力だけを上昇させるアイテムは別として。)。ソードギルドで勲章と引き替えに入手するか、宝物戦闘で入手することになる。これらについては装備品の章を参照せよ。

もし、ルティスが黒魔法使いとして十分レベルが高く魔力も大きければ、話は楽になる。ルティスが主力の黒魔法使い、アルチェムが主力の白魔法使いで、残る2人が主力戦士である。そのうち、一人が攻撃魔法使いを兼任、一人が白魔法使いを兼任または魔法を使えない戦士という形で、ほぼ理想的な戦力バランスになる。しかし、後半でルティスがすぐに主力の黒魔法使いとして使えるまで、前半でマイルの魔術レベルと魔力を上昇させることはかなり難しい。主人公が白魔法選択の場合はなおさらのことである。ルティスの魔法能力が不十分なら、主力の攻撃魔法使いを別にパーティに加える必要がある。すると、序盤のパーティ編成も考え直す必要がある。いったん戦士をパーティに加えておきながら、その戦士と分かれてHPの極度に低い魔法使いをパーティに加えることは問題がある。この場合は、パーティ全体のレベルはかなり上がっているはずである。また、戦士が使っていた装備品を使い回すことができる(武器については、キャラクターごとに使える武器の種類が決まっており、使える武器の種類が同じキャラクターでなければ使い回しはできない。武器以外の装備品についてはそのような制限はないので使い回しは自由にできる。)。したがって、同じ鍛えるにしても、序盤で行うよりはかなり楽なはずである。しかし、時間の無駄が大きいことには変わりはない。

主人公をどのようなキャラクターにしてどのキャラクターを仲間にするにせよ、理想のパーティを編成することはおそらくできないだろう。どのようにパーティを組むにせよ、パーティにはどこか欠点がある。それもこのゲームがよいゲームである証拠の一つである。理想のパーティが編成できる正解があっては面白くない。それより大切なことは、どのようなパーティ編成にするにせよ、それをなるべく早い段階で固定し、パーティの各キャラクターの強化を計画的に行うことである。
そのためには、ゲームの最初の段階から、最後までを見据えて、主人公がどのようなキャラクターだから、どのキャラクターを仲間にする、とはっきりと決めておく必要がある。そして、そのためにはどのような装備品を購入する必要があり、契約金とあわせてどれだけの費用が必要なのか。新しく加えたキャラクターの強化はどのような形で進めていくのか。その青写真が頭の中にできあがっていなくてはならない。


4.3 オープンシナリオ

このゲームには、メインシナリオ以外にも、斡旋所という施設で仕事を請け負うことができ、それをオープンシナリオと呼んでいる。オープンシナリオを達成するとシナリオごとに定められた報酬を得ることができる。おおよそ、仕事の難易度と報酬は比例すると考えてよい。オープンシナリオはメインシナリオに関係するものではない。つまり、オープンシナリオを解かなくても、このゲームを終了することができなくなるわけではない。

しかしながら、特に前半においては、オープンシナリオ、特に洞窟などで戦闘を行うものは全て解決するつもりで臨んだほうがよい。それによって、よい装備品を購入するお金も得られ、パーティのレベルも上がるからである。メインシナリオを先に進める実力をつけるためには、遠回りのように思えて、それが結局最も近道なのである。また、難しいオープンシナリオは、将来メインシナリオで起こる戦闘の予行演習ともなる。そのようなオープンシナリオに積極的に挑戦することによって、将来どのような能力、どのような戦術が要求されるかの見通しが立ち、パーティの強化すべき点もはっきりするのである。後半に入り、パーティが十分強くなれば、あまり簡単なシナリオをやることはお勧めできない。時間の無駄となるからである。十分強いパーティにとっては、自分たちの実力に見合った敵の出る場所で戦闘するほうが、多くのシナリオよりもはるかに早くお金を稼ぎ経験値を得ることができる。

オープンシナリオの中には、特定のキャラクターがパーティにいないと解くことができないものがある。そのキャラクターがパーティにいないキャラクターの場合、そのシナリオを解こうとするなら、誰か一人と一時的に別れて、必要なキャラクターをパーティに加えるという方法がある。このとき、防具やアイテムは一時的に別れるキャラクターのものを使い回し、シナリオが終了した後には取り上げてもとのキャラクターに返すことになる。難しいシナリオでは、一時的に加えるキャラクターはレベルが低いから戦力にならないと考えなくてはならない。したがって、一時的に別れるキャラクターを除く3人で、そのシナリオの戦闘をクリアできるだけの実力がなくてはならない。また、そのシナリオで得られる報酬は、必要なキャラクターをパーティに加えるための契約金と(必要なら)装備費より十分大きくなければならない。

行き来にテレポートの呪文が必要な洞窟は少なくないので注意を要する。テレポートの使えるキャラクターは仲間に一人いるだけである。そのようなシナリオはあきらめてしまうのももちろん手だが、解こうとするならそのキャラクター(名前はラエルという、黒魔法使い)を仲間に加える必要がある。そのようなシナリオも残さずクリアしようとするなら、ラエルは、一時的に仲間に加えるのではなく、おそらくパーティに固定する必要があるだろう。ところが、ラエルもHPが低いので、自由選択の二人をラエルとアルチェムにした場合、パーティ全体のHPが極度に低くなるという重大な問題が生じる。しかし、ルティスの魔術レベルと魔力が不十分の場合、主力の攻撃魔法使いの役割をラエルに担わせるのは有力な選択肢の一つである。


4.4 ボーナスと能力値クラス

これまでのパーティ編成の議論で、キャラクターの能力について議論する場面が多くあったけれども、単に優れたといってもどのような基準で優れたといっているのかはわからない。その目安となる考え方として、「能力値クラス」の概念を示す。

武術レベルまたは魔術レベルが一定レベル上昇するごとに、ソードギルドまたはマジックギルドから称号を与えられ、HP・MP・移動力を除く能力値どれか一つを上昇させることができる。このとき、どれだけ能力値を上昇させられるかは、キャラクターの1レベル時点(1レベル換算)の能力によって決まっている。そこで、このときにどれだけ能力値が上昇するかによって、そのキャラクターがその能力についてどれだけ素質があるかがわかる。キャラクターの各能力に関する素質をこの値で表したものを「能力値クラス」と呼ぶことにする。

能力値クラスの最低は2、最高は7までの例を確認している。しかし、ほとんどの場合、能力値クラスは3または4のいずれかになる。上がりにくいと感じる場合はクラスは3、そこそこ上がりやすいと感じる場合はたいてい4である。クラスが5というのは、その能力値に関して並外れた才能があることを意味する。主人公以外でクラス5が確認または推定されるのは、魔力で2例、技能力で2例のみである。

次の章で言う「優れた戦士」とは、攻撃力・防御力・技能力の3能力値についてクラス4以上であることを指す。できれば攻撃力はクラス5以上欲しいところである。行動力がクラス4なら非常に有利になる。しかし、仲間になる魔法使いには行動力のクラスが4のキャラクターは少ないので、パーティの同期がとりにくくなるという問題がある。

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5.装備品

計画的にキャラクターを強化することの必要性は、ここまで繰り返し述べてきた。ここで、計画を立てる必要があるのは、キャラクターの能力値についてだけではない。装備品についてもそうなのである。このゲームの一つの特徴として、どの街の武器屋でも、全ての種類の装備品を扱っていることがある。ほとんどのRPGでは、ゲームの進行に応じて、それぞれの街で売っている装備品の強さが決まってくる。そのようなゲームでは、それぞれの場所で売っている最もよい装備品を購入できることを目標とすれば、装備の更新もスムーズに進み、キャラクターのレベルも無理なく上げることができる。ところが、このゲームでは、どの街の武器屋でも最強の装備品まで扱っているのである。したがって、従来のような行きあたりばったりの方法ではなく、次はどの装備品を揃えるのか、どの段階までにその装備を整えなくてはならないのかをはっきりと決めて、金を貯めることが必要となる。

3.1節で、白魔法は回復させたダメージに比例して経験値が得られることは説明した。従来のRPGでは、お金が貯まったらすぐに弱いキャラクターから装備を更新していくのが常識だった。しかし、このルールは、その常識さえ通用しないことを意味する。白魔法使いの魔術レベルを上昇させるためには、それだけのダメージをパーティが受けなくてはならない。実際問題として、一つ間違えば気絶者が出るくらい厳しい戦いを続けなければ、白魔法使いの魔術レベルの上昇は遅れてしまう。そのためには、あえて弱い装備品で、パーティの攻撃力・防御力が弱いまま戦い続けることも必要になってくる。

もちろん、店で買う以外にも装備品を入手する方法はある。能力値クラスの項でも述べたが、武術レベルが規定の値だけ上昇するたびに、どれか一つの能力値を上昇させることができる。このとき、勲章も与えられる。勲章が与えられるのはソードギルド、つまり、武術レベルが上昇したときのみである。勲章が一定の数になると、それと引き替えに店では売っていないような装備品を入手することができる。勲章と引き替えに入手できる装備品は、武器または防具本来の効果は小さい代わりに、技能力、魔力、魔防御、精神力など、通常の武器・防具ではボーナスのつかないような能力値に大きなボーナスがある。ルティスの場合は、防御力は低くても他のキャラクターほど大きな問題にはならないので、特にこのような防具が有効である。ルティスの防御力がそれほど問題にならないのは、彼女は移動力が5(通常のキャラクターでは4)あるうえ、彼女の装備できる武器が遠隔攻撃が可能なので、敵に近づく必要性が低いからである。この特性もマイルと共通である(ルティスの能力値の特性はすべてマイルと同じである。使用できる武器の種類はナイフとブーメランという違いはあるが、この両者の実際の特性は全く同じである。)。しかし、マイルは白魔法使いなので、主力戦士の直後につく必要があり、そのためこの利点はかなり相殺されてしまう。ルティスは黒魔法使いなので、長射程の魔法を使えるようになると、敵との距離をさらに大きくとることができる。

洞窟に通じる山道あるいは洞窟の中に、行き止まりに宝箱があり、魔獣の大群がその宝箱を守っていることがある。このような戦闘を「宝物戦闘」と呼ぶことにする。宝箱を守っている敵は非常に強力であり、メインシナリオの終盤に出現する敵であることもある。これらの戦闘で勝つためには、もっとも敵が弱い例でも18レベル程度、ほとんどの場合は27〜30レベルが要求される。これらの戦闘に勝てるようになれば、メインシナリオの4分の3は無事にこなせると思ってもよい。宝物戦闘に出現する敵は桁違いに強いので、単にオープンシナリオをこなすためだけに山道または洞窟に入ったパーティがこのような敵を相手にすれば、全滅は確実である。ところが、宝物戦闘が設定されている場所は少なくない(宝物戦闘をすべてこなせば、ソードギルドで勲章と引き替えに入手できる装備品ほとんどすべてに加えて、宝物戦闘によってしか入手できない(勲章と引き替えに入手することもできない)装備品も多数入手できる。)。このような場所に入ってしまった場合に、全滅を避けるためには、とにかく即座に逃げるしかない。少しでもそれが遅れれば全滅につながる。宝物戦闘を見分ける基準としては、

この条件にすべて当てはまる場合は、まず宝物戦闘と思って間違いはない。即座に退却すべきである。しかし、このゲームでは、デザインが全く同じで強さの違う敵があるから、この見分けも難しい場合がある。また、相手との距離が近い場合、あるいは、大打撃・超長射程の魔法や遠隔攻撃を使う敵が相手の場合は、退却する間もなく全滅させられる可能性すらある。

勲章と引き替え、あるいは宝物戦闘で入手できる装備品は、魔力を上昇させたい、技能力が極端に低いなど、特殊な場合には非常に有効である。しかし、装備品本来の効果が強力なものは、店でしか入手できない。このゲームでは、最後に神と戦うことになる。ストーリー上、神を倒すためには、ある武器が必要ということになっている(その武器はイベントで自動的に入手できる。)。ところが、その武器を装備していなくても、神を倒すことができてしまう。しかも、その武器は、武器本来の効果は弱いので、強力な武器を持っているなら、その武器を装備したままのほうが有利に戦闘ができる。これは、ストーリー展開からいえばむちゃくちゃもいいところである。しかし、このことは、一方で、このゲームの方向性を明確に示している。このゲームにおいては、最強の装備品は、イベントで入手できるものではなく、特定の戦闘に勝つことによって得られるものでもなく、戦闘あるいはオープンシナリオをこなすことによってこつこつとお金を貯めて買うしかないのである。戦闘を繰り返すことによって、お金を貯めてよい装備品を購入することも、キャラクター成長の重要な一つの形態である。この点からも、このゲームは、戦闘を通してキャラクターを育てていくことに一貫して重点を置いたゲームといえる。

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まとめ

この講義では、「キャラクターを育てる」考え方を身につけるための題材として、英雄伝説IVを取り上げた。そのゲームのルールを紹介した後、キャラクターの成長、パーティー編成、装備品と各論を説明してきた。

まず、戦闘のルールにおいては、行動力が高いキャラクターほど同じ時間内に多く行動できること、攻撃の際にはまず命中判定があり、命中していればダメージ判定が行われ、さらに命中したか否かにかかわらず反撃の判定があることを説明した。
次に、キャラクターの成長ルールでは、出した結果に比例した経験値しか得られないことを説明し、弱点をなくす必要性を述べた。
パーティ編成については、具体例を挙げながら、主人公がどのようなキャラクターだからどのキャラクターを仲間にするという計画をはっきりと立てて、そのために資金をためる必要性を説明した。
装備品の章では、装備品についても計画的に強化を進める必要があること、武器・防具本来の効果が高いものは店で買うことでしか入手できないことを述べた。

ここで、このゲームに共通するキーワードを二つ挙げることができる。それは目的意識計画性である。

目的意識とは、何のために戦いをするのかということである。誰の、どの能力を鍛えるために戦うのか。あるいは、お金を貯めることを最優先するのか。常に目的をはっきり持ち、その目的を達成できるような戦い方をしなくてはならない。ただ漫然と戦っているだけでは、時間を無駄遣いするだけである。
これまでの各論で、計画を立てることの重要性は何度も述べてきた。パーティの編成、キャラクターの強化、装備品の強化、この全てにおいて計画性が求められる。そして、その計画は、できる限り長い先を見据えたものでなくてはならない。行き当たりばったり、あるいは近視眼的なプレイをすれば、そのつけは必ず後に回ってくる。このゲームは、正攻法しか受け付けないようにできている。その場しのぎ、付け焼き刃は決して通用しない。
そして、この二つは、別々のことではあり得ない。計画がなければ、目的意識も出てくるはずはないからである。

このゲームでは徹底して横綱相撲が求められていると言える。二段構え、三段構えで、弱いパーティは勝てないようになっている。本当に強いパーティしか先に進むことはできないのである。フロックは決してあり得ない。

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最後に

この講義はこれで終わりとする。このゲームに対する批判めいたことも書いたけれども、基本的には、私は、このゲームはキャラクターを育てるという観点ではまれに見る優れたゲームであると考えている。繰り返しになるが、強いキャラクターを育てるには、時間をかけ苦労を積み重ねるしかない。しかし、その中でも、漠然と遊ぶのではなく、どのようにすれば最も効率よく育成できるのか、最もバランスよくキャラクターを育てられるのかを常に考えながらプレイをする必要がある。特に、このゲームにおいては、まず将来要求されるものを見きわめた後、それにしたがって、パーティ編成・レベルと能力値・装備などについてきちんと計画を立てて、考えながら慎重にプレイを進めることが要求される。このような態度は、キャラクターを育てるゲームのみならず、他の多くの分野のゲームにも通用する能力であると考える。そのような基本的な態度を養成するためには、このゲームはまたとない絶好の素材といえる。

考えながら苦労しながらキャラクターを育てることによって、キャラクターへの感情移入も深まる。そして、それに手間がかかっていればいるほど、ゲームをクリアしたときの満足感も大きなものとなるはずである。それがキャラクターを育てるゲームの最大の喜びであると私は考える。

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成績評価

試験は行わない。以下の問いに対する答えをレポートとして提出してもらうことによって、RPGに関する基礎的な考え方がどの程度身に付いているかどうかを見ることにする。


レポート問題

第1問 RPGにおいては一般に武器攻撃に対する防御力より魔法攻撃に対する防御力(それを表す能力値があれば)が重要となることが多い。その理由として考えられるものをできる限り列挙せよ。

第2問 1回の行動ごとに経験値を計算するRPGにおいて、精霊を召喚して攻撃させる魔法を使った場合、経験値の計算法として次のようなものが考えられる。

このうちどちらで経験値を計算しているかはどのようにして判定できるか。ただし、1回の攻撃ごとに得た経験値は表示されないけれども、レベルアップしたことはその瞬間に表示されるものとする(もちろん、戦闘の前と後でステータス画面を見ることによって、その戦闘で得た経験値を調べることはできる。)。

第3問 1回の攻撃ごとに経験値を計算するRPGにおいて、その攻撃で敵を倒したときの経験値の計算法としては、次のようなものが考えられる。

これらのうちどの方法で経験値を計算しているか判定する方法を考えよ。ただし、1回の攻撃ごとに得た経験値は表示されないけれども、レベルアップしたことはその瞬間に表示されるものとする(もちろん、戦闘の前と後でステータス画面を見ることによって、その戦闘で得た経験値を調べることはできる。)。また、攻撃によるダメージはある程度ランダムに変動する要素があるとする。

第4問 あるRPGをクリアしたとき、それに要した時間をソフトが計算していない場合、それに要した時間を概算するにはどうすればよいか。その概算方法が使える根拠と共に示せ。

期限は特に設けない。合格点に達しているレポートが提出されれば、その採点が終わった時点で単位を認定する。

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