アトランタ五輪世界最終予選

試合結果は、日本の楽勝だった。日本は6人で試合をやっているけれども、クロアチアはイエリッチ1人で戦っているという感じだった。クロアチアは、あくまで素人目にではあるが、あれでは「チーム」といえるのかどうか本当にあやしい。とにかくイエリッチしか打ってこないのだから。

男子ならともかく、女子バレーボールではバックアタックはそれほど多くはない。例えば、第3回Vリーグ女子では、1チームの例外(当然デンソーエアリービーズ!)を除けばバックアタックの割合は5〜10%程度である。ところが、このクロアチアチーム(?)の場合、バーバラが後衛に下がったときでも、必ずバーバラがバックアタックをしてくる。それしかないといってよいくらいである。さすがにアナウンサーもあきれていた。「それにしても、徹底してイエリッチだけですね。フォワードの選手がいるのですからねえ・・・。」
私がビデオに録画した部分(第2セット全部と第3セットの一部)で、クロアチアのアタックの決定本数は20本と少し(素人が数えたものだから、たぶん数え間違いがある)である。そのうちバーバラ以外が打ったものはわずか1本(!)である。絶対このチームは壊れているとしか思えない。しかも、これは日本との試合だけではないらしい。例えば、日本チームのエースである大林選手の場合、世界最終予選で1試合あたり打ったのは40〜50本である。それに対し、イエリッチはその倍に近い1試合平均約80本である。いかに攻撃を彼女一人に頼りきっているかわかる。ところで、このチームの監督は、バーバラの父親である。もう少し他の選手も使ったほうがええんとちゃうか、と言いたくなる。いいかげんにせんと、娘はこの大会だけでつぶれてしまうぞ。

しかしバーバラは本当にイカしていた。名前くらいは当然事前に聞いたことがあったが、あれほどキテる選手とは思わなかった。スパイクとバックアタックは強烈である。フェイントもうまい。ブロックによるポイントも多いらしい。第1セットを見ているうちに、本当に「しびれた」。第1セットの間は、ぼうっとして、動けなくなっていた。「全身に電撃が走る」ということがどのようなことなのか、このとき初めてわかった。その対象が誰であるかは、全く違ったとしても。そのような感覚は、このときまで感じたことはなかったし、それ以降感じたこともない。もちろん、第2セットから、大慌てでビデオに録画した。しかし、第2セット以降はあまりよいシーンはなかった。日本が一方的な試合をしたからである。おい、日本、勝ったのはいいが、これではあまりにも勝ち方がひどすぎるではないか。クロアチアチームは、結局オリンピックへの出場権を獲得できなかった。それも、ぎりぎり出場のチームと勝敗では並びながら、得失セット率で出場を逃したのである。世界最終予選には8チームが参加し、1回戦総当たりのリーグ戦で行われた。上位3チームがオリンピックに出場することができた。結局、オリンピックに出場できたのは、日本・オランダ(以上6勝1敗)・ウクライナ(5勝2敗)である。クロアチアも5勝2敗だった。しかし、得失セットは、ウクライナが17対8だったのに対し、クロアチアが15対11。この差が運命を分けた。

これほど熱い選手を見られないなんて・・・いったい何のためのオリンピックなんだ!!

しかし、まあ、日本チームはまだ悪くない。ウクライナもクロアチアも公平にストレートで粉砕したわけだから。一番いかんのは、クロアチアをストレートで破っておきながら、ウクライナには負けたオランダである。なんかむちゃくちゃなことを言っているな。

しかも、この弱体チームを一人で支える大エースが、まだ19歳だというのである。バレーボールの場合でも、世界の超一流選手は、16歳くらいでナショナルチームに加わる例も少なくない。しかし、チームに加わっても、主力として活躍することはなかなかない。しかし彼女はそんなものではない。少なくとも、95年のワールドカップですでに代表チームに加わっており(しかも、このとき、日本チームは彼女一人にやられたと言っている)、19歳の時点ではチームの攻撃をほぼ一手に引き受けている。

上で「弱体」と書いてしまったが、クロアチアは結構強いチームのはずである。しかし、日本との試合を見る限り、もしバーバラがいなければ、このチームはものすごく弱いとしか思えない。ほかの選手が打ったところをほとんど見ない(!)ので、ほかの選手の実力がどの程度のものかよくはわからない。しかし、もしバーバラに準ずる力のある選手がいるのなら、彼女一人にあれほどボールを集めるようなまねはするはずがない。ボールを分散すれば、相手にとっては誰が打ってくるかわかりにくくなり、それだけ守りにくくなるはずだからだ。誰か一人しか打ってこないとなれば、相手はそれだけ守りやすいはずである。それにもかかわらずあえてバーバラ一人にボールを集めているということは、彼女の力がチームの中で飛び抜けている、逆に言えば、彼女以外に強い選手がいないからだ、と考えるしかないだろう。

しかし、この選手を壁紙にしようなどとは、完全に非国民である。ただ単に、外国の選手をパチるから非国民だということではない。このバレーボールの試合は、完全に国対国の対戦である。しかも、この試合はそれまで1敗どうしのチームの対決で、もしこの試合に日本が敗れた場合、オリンピック出場が危うくなるという試合だったのである。その状況で、相手のチームの、しかもエースに「しびれて」しまうとは・・・どう考えても非国民である。

とにかく、彼女をキャプチャして、壁紙にはした。しかし、壁紙として見ているだけで頭の中がぐじゃぐじゃになる可能性があったので、ときおり使用を自粛していた(ときおり、どうしても見たいという気持ちをおさえきれずに、壁紙の設定を彼女に戻した。)。試合の翌日の買物のときも、2日後の授業や小テストのときも、まともな思考力が全くはたらいていないことが自分でもはっきりとわかった。それだけ彼女のことで頭が占拠されていたのだ。強烈なショック状態がおよそ1週間尾を引いた(以下検閲により削除)。彼女のスパイクとバックアタックは、日本チームの守りは突破しきれなかったようだが、私の頭の中のガードは確実に突き破った。私のCPUの回路に重大な損傷を及ぼし、RAMの内容を保持するためのレジュームの回路、あるいは、FATもいくらか壊れたようである。

私はものを書くのが趣味である。とはいっても、それは誰かに読んでもらうためではなく、自分自身のためである。だから、スポーツを見るときにも「物語」を求める。熱い物語の主人公になれる選手、それを探し続ける。
これほどすごい選手を見たことによって、その意欲が強烈に刺激されないはずはない。頭の中でもやもやしているものを一人の女性の設定の形にまとめるまでは、気持ちがとうてい落ち着きそうにないという状況だった。これだけ強い衝動を覚えたのは、2年前、このようなスポーツの見方をするきっかけとなったオクサナ・バイウルのとき以来である。そのときは、オリンピック以降1ヶ月以上にわたって、頭の中で少しずつ構想を温めていた。そして、実家に新しいノートパソコンが入ったこともきっかけとなり、その年の3月25日からわずか6日間で、3万文字に近い文章を一気にワープロで打った。しかし、ひょっとすると、この衝動は、そのときよりもっと激しいかもしれない。もう一度、実在の「バーバラ・イエリッチ」の要点を簡単にまとめると・・・

なんて熱い選手なんだ!!!!!

彼女には、書きたいと思わせるようなモチーフが山ほどある。ストーリーの元ネタとして、こんなにすばらしい選手は、見たことない、本当に。いや、ここまでくれば、すでに彼女自身、悲劇のヒロインと言っていい。この点では、オクサナ・バイウルよりもいい。ただし、モデルの段階ですでにこれだけすばらしい設定がそろっていると、自分で書き足す余地があまりないという問題はあるが・・・。それに、もう書くネタがあまりないんだよね。今までに、思い付くネタは(上であげたことも含めて)ほとんど使ってしまっているのだ・・・。とにかく、上記のような設定のキャラクターを既存の設定世界に組み込んだ。すると、組み込んだ先の設定もかなり書き換えを迫られる。当時私はあるゲームにひどくはまっており、バーバラを見る前は毎日最低3時間はプレイした。しかし、ショック症状はいくらか回復しても、そのゲームすらろくに手につかずぼうっとしていることが少なくなかった。

それにしても、どうしてこの人にこれほどはまってしまったのだろう。彼女と同じくらい高いところから威力のあるボールを打つ選手なら、ほかにもいる。もちろん、私自身の気持ちとしては、彼女が絶対に世界一だと思っている部分はある。そして、この選手を見れば見るほど、あるいは、彼女の様々な記録を知れば知るほど、それが私だけの思いこみでなく疑いない事実であることがはっきりしてくる。しかし、これほど「熱い」エースアタッカーが、ほかにいるだろうか?「熱い」というのは、世界最高水準の能力を持っているばかりでなく、彼女の所属するチーム、おかれた環境が「熱い」のである(所属するチームが「熱い」というのは、ほかに優れた選手がいないということである!)。オクサナ・バイウルもそうなのだが、私にとって、彼女がほかの選手では絶対にとってかわることのできない存在である理由は、そこにある。

私の場合、「強くてかっこよくてきれいで、そして熱い女王様」という理想像が常に頭の中にある。この一連の、スポーツ選手をパチるということも、基本的に根は同じだと思われる。そして、この選手は、私が頭の中で描いている「最強の女王」のイメージに、まさにぴたりと「はまった」のだ。

・・・いかん。うまく書けない。彼女のことを考えると、文章がぐじゃぐじゃになってしまう。・・・おかされとるとしか言いようがない。

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