2001年春の高校バレー観戦記

この年の高校生には、日本女子バレー史上類を見ないほど大型で将来を期待されるアタッカーが多く集まっていると言われた。その選手を見ることが主な目的でこの大会を見始めたわけだが、内容は私の想像をはるかに上回る充実したものだった。早いラウンドから強豪同士の対戦が組まれ、決勝戦が何試合もあるような熱い戦いが展開された。

1回戦・成徳学園対市立鹿屋女(3/20)

第3日(3/22)・Aコート
古川商業対成徳学園(3/22第1試合)
三田尻女対國學院栃木(3/22第2試合)
文京女大高対熊本信愛女学院(3/22第3試合)
九州文化学園対就実(3/22第4試合)
妹背牛商対養老女商(3/22第5試合)
市立船橋対豊橋中央(3/22第6試合)
誠修対京都橘(3/22第7試合)
氷上対市立橘(3/22第8試合)

準々決勝(3/24)

準決勝(3/25)
準決勝第1試合・三田尻女対古川商
準決勝第2試合・九州文化学園対八王子実践

決勝

最後に


1回戦・成徳学園対市立鹿屋女(3/20)

成徳は、将来全日本の柱となる可能性もある、185cmオーバーのレフト大山、センター荒木を擁する、今大会最も注目のチームの一つである。一方の鹿屋は初出場。

しかし、第1セットから、鹿屋がそれほど弱いとは感じられなかった。むしろ、最高到達点で数十センチの差がある荒木のスパイクに対し、よくワンタッチをとって拾っている、という印象である。しかし、第1セットは、大山のサーブが鹿屋を大きく崩し、差が広がった。
第2セットになると、鹿屋のサーブレシーブがしだいに安定、逆に、鹿屋のサーブが走る。16-10か11で成徳のリードから、サーブで崩し、荒木のスパイクミスを誘って鹿屋が連続得点、16-16の同点。この後、一時は鹿屋が先行する場面もあった。しかし最後は、荒木と大山の高いスパイクとブロックで連続得点、一気に勝負をつけられた。
成徳2 (25-14, 25-21) 0鹿屋

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第3日(3/22)・Aコート

今大会は、2回戦に有力校の対戦が多数組まれ、2回戦で優勝候補が半分になる感さえあった。しかもその対戦がこの第3日に集中。
そのため、大きな山場とはわかっていたけれども、期待に違わぬいや期待以上の好ゲームが続いた。朝からいきなり血も滴るような極上のステーキ2枚ぺろり。(厳密には半分サイズ×2?)さすがにげっぷが出る。

古川商対成徳学園(3/22第1試合)

ここ数年毎年ベスト4以上の古川と、大型エースの大山・荒木を擁する成徳。いきなり優勝候補の激突である。

成徳は、1番下村がサーブに下がったとき、ツインタワーが前衛にそろう。つまりこのローテが一番強いことになる。しかもその下村が横に曲がるなかなかやっかいなサーブを打つ。
第1セット、序盤と中盤の2度にわたって、成徳はそのサーブ順で狙い通り古川を崩してリード。しかし古川も少しずつ追い上げる。成徳は、大山のサーブも昨日に引き続き効果的である。そのサーブ順で19-17と成徳がまたリード。しかしその後、古川の4番上松の速攻が次々決まる。成徳には、サーブレシーブが乱れたり、お見合い気味にボールを落としたりというミスも出る。終盤一気に古川が突き放し、25-21古川。

第2セットに入り、第1セット大活躍の上松を成徳がシャットしたあたりから、成徳の流れになる。成徳では8番吉田がアタックとサーブの両方に活躍、一時は19-13成徳リードとなる。しかし、古川も引き下がらない。成徳ツインタワーが両方後衛のローテで、連続ブロックなどで、14-19から17-19まで追い上げる。それでも成徳はいったんは23-20まで突き放した。しかし、23-21から、成徳にサーブレシーブミス、さらに大山のスパイクミス、ついに同点。さらに吉田・荒木のスパイクが続けてシャットされ、ついに25-24古川マッチポイント。成徳は、このセット効果大の吉田のサーブがネットインとなり、28-27と再び先行。30-29の場面で、長いラリーになるものの、古川のフェイントが決まる。そしてその後、成徳にサーブレシーブの乱れもあり、大山のスパイクが連続シャットされた。32-30で激闘を古川が制した。

古川は飛び抜けた選手はいないけれども、平均的に高い。その高さで、速攻やコンビを自在に使いこなす。もちろんブロックや守備も堅い。
セット終盤に、成徳にミスが出たり、あるいは成徳の攻撃が次々ブロックにつかまったり、結局チームとしての完成度の差が出ての結果だったと思う。

..... 古川 - 成徳
........ 2 - 0
1st ... 25 - 21 . 21 min. 7-8 16-15 21-19
2nd ... 32 - 30 . 25 min. 7-8 12-16 19-21
Total . 57 - 51 . 46 min.

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三田尻女対國學院栃木(3/22第2試合)

三田尻は、前年のインターハイ・国体で優勝しており、今大会も優勝候補筆頭と見られていた。一方の國學院栃木も、伝統の強豪、日本女子初(?)の190台センター河村のいる東九州龍谷に勝ってこの試合に進出している。しかし、準決勝クラスのカード2試合の間の試合で、記憶が消えかかってしまった。

國學院栃木は、特に第1セットは、サーブレシーブが乱れる場面が目立って、6番河津と2番宮本の両エースにボールが集まって単調な攻撃になったように感じられる。それに、栗原の攻撃を守ることを考えれば全体の高さが足りない。
第2セットには、國學院にサービスエースが出たり、栗原を初めてシャットしたりして、一時13-10國學院リードの場面があった。しかし、終盤になると、國學院の攻撃がことごとく決まらず、18-17三田尻リードから三田尻が6連続ブレーク、試合を決めた。
栗原はまだフルパワーでないと思うが、それでもほとんど決まっていたと思う。三田尻ではむしろセンターの2番高木の活躍が目立った。

... 三田尻 - 栃木
........ 2 - 0
1st ... 25 - 15 . 16 min. 8-3 16- 9 21-12
2nd ... 25 - 18 . 18 min. 8-6 16-15 21-17
Total . 50 - 33 . 34 min.

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文京女大高対熊本信愛女学院(3/22第3試合)

熊本信愛は、やはり毎年優勝候補に名前を連ねる。左利きで180cm、やはり将来全日本と目される絶対的エースの有田を擁する。センターの徳川も強力で、左右の大砲をそろえるチームである。
一方の文京女子は、今回初出場ながら、激戦区東京を勝ち抜き。それも、伝統校でエースの宮川のいる八王子実践、ツインタワーの成徳を、立て続けに予選で下し、東京第一代表としての出場だから、ただものではない。このチームの躍進の原動力がセッターの鶴岡、今大会最高のセッターと目される。東京予選の放送で一度見て、とにかく驚いた。トスが速くて正確ということももちろんそうだし、ジャンプトスのフォームがほれぼれするくらいきれいだ。セッターで勝っているチームと言っても過言ではない。
第1試合の古川対成徳と並ぶ、最も激しい潰し合いである。

第1セットは文京・鶴岡が期待通りのトスワークを見せてくれる。信愛がことごとく振り回され、ノーブロックになる場面が続出する。文京は確実にサイドアウトをとった上で、2番佐々木を中心に信愛をサーブで崩し、13-8と先行。その後信愛が何度か追い上げるものの、追いつきそうで追いつけない。24-21で文京のセットポイント。信愛はそこから3連続得点で24-24とついに追いついたものの、25-24から信愛のサーブレシーブが乱れ、26-24で文京がとった。それでもこのセットから、有田が打てばことごとく決まる。ブロックにもかかっていない。このセットは、有田が満足に打てる場面自体が少なかった。

第2セットも序盤は第1セット同様、佐々木、吉田などにサービスエースが出て10-6文京リード。しかしこの後、文京にサーブレシーブ、レシーブが乱れる場面が少しずつ出てくるようになる。さらに、信愛のブロックが鶴岡のトスワークについてきた。そうなると、ブロックでワンタッチをとってつないで、有田に打たせれば全部決まる。10-7から信愛は4ローテで9ブレーク、19-13と逆転。さらに終盤には、もう一つの核弾頭の徳川のブロードも炸裂。信愛が24-18でセットポイント。その後信愛にミスがあって、文京が3点を返すものの、25-21信愛。

第3セット、序盤点数は離れなかったものの、半分以上信愛のミスで文京に点が入っていただけ。中盤以降、有田のスパイク、さらに信愛にシャットが続き、一方的に点差が離れる。しかし、マッチポイントの場面にいたって、文京が有田を初めてシャット。次のプレーでも信愛にミス、さらにその次のラリーも有田は決まらない。信愛は勝ちを急いだか、有田にボールが集中、単調な攻撃になった。最後は長いラリーを信愛7番松野が決めた。25-19信愛。24-16まで点差が開いていたので、今のルールでは逆転はあり得ないけれども、昔のサイドアウト制なら浮き足立ちかねないパターンだった。

文京を見た人は誰もが思うだろう、これはNECレッドロケッツのバレーであり、すなわち世界の壁に阻まれた全日本のバレーだと。
文京には悲しいくらい高さがないし、攻撃力もない。レシーブがそれほど悪いとは思えないけれども、有田のスパイクがことごとくノーブロックで抜けてきては拾えない。
文京女子について、何とかしたかったと感じるのは、相手の高いブロックに対し素直に打ちすぎているように思えたことである。ブロックアウトをとるなり、フェイントをするなり、もう少し何とかならなかっただろうか。ただし、あの高速のトスをフェイントにするのもかなり難しいかも知れない。
もう一つの疑問は、有田のスパイクに対するブロックの指示である。第3セットセットポイントの場面までシャットは皆無、しかもほとんど全てブロックにさわりもせず抜けてきた。しかし、あの高さでは基本的に無理がある。ブロックの上を抜けるスパイクが極めて多かった。
全日本の竹下についても指摘されているとおり、いくら速くて正確なトスワークができても、リズムが同じでは読まれてしまう。かといって、文京に、大きいトスを打ち抜ける高さとパワーのある選手がいるかと言えば、残念ながら答えはNoである。文京にほかの選択肢はない。
高さにさほど差のない実践、あるいは大きくても荒っぽい成徳のような相手なら、あれで勝てるだろう。しかし、絶対的なエースがいてしかも守備に隙のない、三田尻・信愛レベルの相手は、あのバレーでは無理がある。

とはいえ、私にとっても文京が負けたのは悲しい。あれだけトスワークで魅了してくれるセッターは、世界中探しても見つけるのは難しいだろう。

それにしても信愛、これほど強いチームとは。三田尻と並んで優勝候補最上位、とこの時点では思われた。有田は身長は180だが、打点は今大会で最も高いように思える。相手が低いことも多分にあるのだろうが。

..... 文京 - 信愛
........ 1 - 2
1st ... 26 - 24 ..... 21 min. 8-4 16-14 21-19
2nd ... 21 - 25 ..... 20 min. 8-6 13-16 17-21
3rd ... 19 - 25 ..... 19 min. 7-8 11-16 13-21
Total . 66 - 74 . 1 h. 0 min.

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九州文化学園対就実(3/22第4試合)

前年優勝の九文が今大会初登場。しかし、この試合も印象が極めて薄い・・・
CS放送では試合と試合の間が極めて短い。したがって、文京対信愛の試合の余韻が全く抜けないまま、茫然と画面を眺めていた。

就実は、第1セット第2セットとも、セット序盤に、サーブレシーブの乱れが出て攻撃が単調になって、九文に一気に差を広げられたという印象。九文は、絶対的な選手はいないけれども、やはり崩れない。第2セットは、中盤以降、就実の両エース、10番の乙倉と9番のサウスポー橋本が活躍、少しずつ追い上げる場面もあったけれども、3ブレーク差止まり。

..... 九文 - 就実
........ 2 - 0
1st ... 25 - 17 . 17 min. 8-3 16- 8 21-15
2nd ... 25 - 20 . 18 min. 8-2 16-10 21-17
Total . 50 - 37 . 35 min.

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妹背牛商対養老女商(3/22第5試合)

養老は4番玉井と1番桐山の両センターエースに特徴があるチーム。この両選手が、速攻もオープントスも打ちこなし、しかもレフトやライトに回ることもあり、攻撃のほとんどをこなす。

第1セットは序盤養老が先行、中盤に妹背牛が追いついたものの、終盤は養老・玉井の攻撃が立て続けに決まり、一気に突き放す。第2セットも前半、妹背牛に、コンビの乱れあるいはサーブレシーブのミスが何本か出た。さらに、玉井のセンター攻撃はこのセットも止まらず、大差が付いた。
養老のセンター攻撃に対し、妹背牛のブロックがどうなっていたのかは、疑問が感じられる。(ブロックがばらける傾向があったけれども、それを修正する具体的な指示は聞こえなかった)高さとしては妹背牛のほうがむしろ高いし、養老のセンター攻撃は、栗原・有田・大山・荒木のような、わかっていても止められないほど威力のあるものではない。

... 妹背牛 - 養老
........ 0 - 2
1st ... 18 - 25 . 20 min. 7-8 15-16 17-21
2nd ... 14 - 25 . 19 min. 5-8 10-16 11-21
Total . 32 - 50 . 39 min.

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市立船橋対豊橋中央(3/22第6試合)

両チームともレシーブはよい。その一方、攻撃面では、市船のエースの3番今西がやや抜きん出ることを除けば、それほど目立つ特徴はない。とにかくラリーが長く続く場面が目立った。別の意味で極めて疲れる試合。

展開としては、第1セット、第2セットとも似ている。どちらのセットとも、序盤から中盤にかけては、豊橋がほぼ常時先行する。特に第2セット前半は、豊橋に好レシーブが続出、ポイントにつながった。しかし、終盤になると、豊橋の攻撃がエースに集中し、単調になったところを市船がブロックで捕まえて追いつき、逆転。第2セットは長いデュースになり、豊橋にもチャンスボールはあったものの、エースが決められず。最後は逆に市船のエース今西に決められた。
結局のところ、エースの今西の攻撃力と、高さで上回ることが、市船の勝ちにつながったという印象(身長で4cm、到達点で9cm市船が上回る)。豊橋は、もっと速攻を効果的に使いたかったと思う。それに、高さがあまりにもない。(地区予選はネットの高さが220cm、それが本戦では国際ルールと同じ224cmに高くなって、ぎりぎりというアタッカーがいるという。思わず頭を抱えたくなる。)

..... 市船 - 豊橋
........ 2 - 0
1st ... 25 - 23 . 21 min. 6-8 13-16 21-20
2nd ... 34 - 32 . 31 min. 4-8 12-16 17-21
Total . 59 - 55 . 52 min.

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誠修対京都橘(3/22第7試合)

いかに3セットマッチ、それもテレビ観戦で中断をはさんでいるとはいえ、7試合目ともなると、集中力もかなり途切れてくる。
* 第6試合の放送中に昼休み。当然ビデオに録画しておいて、後から見たわけである。

前の試合と比べて、スパイク1本で切れる場面がかなり多かったと思う。ラリーが続く場面は少なかった。本日の8試合の中でブレークの割合は最も少ない。

京都橘は188cmのセンターエース8番姜歓環(中国からの留学生)が中心のチーム。第1セット、その姜のスパイクは8本決められるものの、誠修は他の選手の攻撃はほとんど封じた。誠修は4番栗木と1番新藤のスパイクが目立ち、この両エースのスパイク、橘のアタックミスなどでリードを広げた。
第2セットに入ると、姜のフェイントがことごとく決まる。この選手、強打は長いコースが多いので、どうしてもレシーバーが後ろに構える。前が空いたところに落とされた。誠修のエースあるいは速攻がブロックされたり、サーブレシーブが乱れたりして、中盤以降橘がリードし逃げ切り。
第3セット、誠修は、前の2セットに比べ速攻やブロードを多用する。それまでは、栗木と新藤の両エースの攻撃が目立った。前半は誠修が先行するものの、中盤で誠修にスパイクミスやサーブレシーブのミスがあって橘が追いつき、19-21から3連続得点でついに逆転。しかし、22-22の場面、姜のスパイクは、微妙な判定、オーバーコールでラインを割った。誠修が先行したままデュースに入り、26-25からの長いラリー、誠修のエース1番のスパイクが決まって試合終了。

橘は、姜以外の選手にもう少し攻撃力があれば、と思われる。誠修は、攻撃面では栗木・新藤の両エース、また、随所でセッターの強気なトスワーク(ツー攻撃もあり)が目立った。

..... 誠修 - 京都橘
........ 2 - 1
1st ... 25 - 20 . 17 min. 8-7 16-14 21-16
2nd ... 19 - 25 . 16 min. 6-8 11-16 17-21
3rd ... 27 - 25 . 25 min. 8-6 16-14 21-19
Total . 71 - 70 . 58 min.

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氷上対市立橘(3/22第8試合)

観戦する側にとっても、8試合目は気力の限界。もうぼろぼろです。

第1セットは両チームにミスが目立ち荒っぽい展開。中盤までは橘のエース4番吉益の健闘が目立つ。それでも後半以降、氷上がエースの3番上川と4番藤坂の強打で何とかねじ伏せる。
第2セットは、橘が速攻を多用するようになる。それでも、ラリーが続くと、氷上が高さや攻撃力に優り、氷上がブロックしたり、橘のミスになったりして、氷上が序盤から中盤にかけて先行。終盤、橘がやはり速攻を有効に使って5連続得点、20-20に追いつく。その次のプレー、ラリーが長く続いたけれども、橘に痛恨のタッチネット。これが試合最大の山場。直後に氷上にサービスエース。23-21からも橘がサーブレシーブミスから失点。

氷上は、内容は決して満足できるものでないとは思うけれども、結局上川と藤坂のエースの攻撃力の分だけ勝ったような印象。

..... 氷上 - 市立橘
........ 2 - 0
1st ... 25 - 23 . 21 min. 7-8 15-16 21-19
2nd ... 25 - 21 . 24 min. 8-6 16-11 21-20
Total . 50 - 44 . 45 min.

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準々決勝(3/24)

放送時間を間違えたため、見たのは第1試合の第2セットから。
それにしても、試合を見た気分がほとんどしない。第3日の激闘を見てしまっているだけに。

... 三田尻 - 高松
........ 2 - 0
1st ... 25 - 10 . 16 min. -  -   -
2nd ... 25 - 14 . 20 min. 7-8 16-10 21-12
Total . 50 - 24 . 36 min.
(第1セットの所要時間は推定)

高松北はよく拾う、というのが第一印象。点数の割に所要時間が長いのは、ラリーが続いた証拠である。
特に第2セット序盤の粘りは驚異的で、長いラリーで三田尻のミスを誘い、9-8高松北リードという場面もあった。しかしその後、高松北のサーブレシーブが乱れたこともあり、栗原一人で5連続ブレークなどで大差がついてしまった。
欲を言えば、高松北は、全くさわれずにコートに落としたボールはほとんどないので、その次のつなぎをもう少し何とかしたかった。また、ラリー中にBクイックを何度か使ったけれども、ほとんど空振りになっていたように見えた。しかし、基本的には決め手があまりにもない。

..... 古川 - 長崎
........ 2 - 0
1st ... 25 - 11 . 14 min. 8-3 16- 6 21- 9
2nd ... 25 - 9 . 13 min. 8-4 16- 5 21- 8
Total . 50 - 20 . 27 min.

古川は強かった、という以外にコメントのしようがない。さすがに。

..... 信愛 - 実践
........ 0 - 2
1st ... 21 - 25 . 19 min. 7-8 13-16 19-21
2nd ... 11 - 25 . 13 min. 7-8 8-16 11-21
Total . 32 - 50 . 32 min.

今回準々決勝のメインイベントのはずだったけれども、これほど簡単に終わってしまうとは予想外。
実践は、有田の攻撃を完璧に守っていた。サマーはようやくエンジン全開。一方の信愛は、有田が決まらなかったことに加え、センター攻撃がほとんどなく単調に感じられた。
センターの大砲の徳川が抜けたことがいかに大きなダメージだったか、改めてはっきりしてしまった。徳川は、前日の試合の第2セットで負傷、足首が曲がってはならない方向に完全に曲がっているのが見えた。もちろんこの試合も出場できなかった。右足の脱臼で全治2ヶ月という情報しか伝わっていないけれども、五輪世界最終予選で同じような場面を見ている者としては、脱臼だけですめばよいが、と思う。(五輪予選のラマーレのときは、まともに靱帯断裂だった)

実践の試合をきちんと見たのは今大会初めてだが、高さはさほどでもないがどの選手もパワーのあるスパイクを打つという印象。陸も、飛び抜けて高いとか速いとは感じられなかったが、なにげにスパイクもブロックも決まっている。(ブロードは、どたどたという感じに見えてしまうのだが)

..... 九文 - 養老
........ 2 - 0
1st ... 25 - 13 . 15 min. 8-4 16-12 21-13
2nd ... 25 - 18 . 17 min. 8-5 16-12 21-14
Total . 50 - 31 . 32 min.

前年優勝校の九文、3/22の試合で一応見ているけれども、このときは直前の文京対信愛の印象があまりにも強かったためこれといった印象はなかった。実質的には、この試合で初めてじっくりと見られた。
九文の林田は、今大会屈指のセッターである。特に切り返しのクイックの速さとリズム感が目立ち、この速攻をラリー中でも多少無理な体勢でもどんどん使う。(それに対し、文京の鶴岡は、サイドへの速いトスに特徴があると思う。)養老はもともとセンターエース2人が軸のチームで、両チームともセンターでの得点が極めて目立つ試合となった。
高さの差はもともと歴然、それで速いクイックを打ち込まれたら、養老にとっては対処のしようがない。九文をサーブで簡単に崩せるはずもない。高さで劣る養老のセンター線も、軟攻を効果的に使って粘ったと思うが。

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準決勝

三田尻女対古川商(準決勝第1試合)

第1セット、立ち上がりは古川の動きが固いように感じられ、三田尻先行。しかし三田尻もサーブミスが出て突き放せず、中盤にはスパイクミス、サーブレシーブの乱れが出て15-15同点になる。そして22-22から、三田尻にまたもサーブミス、さらに古川に実質上の連続サービスエース。終盤の集中の差で一気に古川がセットをとった。

第2セット、前半は古川の動きがよくなったように見え、古川先行。しかし、中盤に、三田尻がサーブで前衛にいる2番平山を狙い、逆転。その後も、古川にサーブレシーブのミスやスパイクミスなどが出て、差が広がった。

第3セットは、古川のセッターにトスミスが出て、速攻もうまく使えない。また、第1セットから、三田尻がライトに速いトスを流すとほぼノーマークになる場面が目に付いたところ、三田尻もそれに気がついたらしく、ライト攻撃を多用。一方的三田尻リードになった。

第4セット、序盤は古川にスパイクミスなどがあり三田尻先行。しかし、セットの中盤から、古川の動きが見違えるようによくなる。攻撃では、5番田中が獅子奮迅の活躍。途中、栗原のスパイクとブロックで一人で3連続ブレークを食らいながら、19-15と古川リード。しかし、終盤は古川にミスが出て三田尻が追い上げる。それでも、古川は、栗原が後衛のところで裏エースをシャットして何とかしのぎ、ツーでフェイントを落とし24-22として、逃げ切り。

最終セットも、中盤までは古川に好レシーブが続く。5-5からの長いラリーを平山が決めて流れをつかみ、4連続得点で9-5古川リードとした。しかし、9-6からブロックフォローのボールをお見合いして落としたところから、画面でもわかるほど古川が固くなる。11-11と三田尻が追いつく。栗原のスパイクミスで13-11と古川が再びリードしながら、三田尻1番白丸の時間差で13-13すぐに同点。ここから、古川は平山にボールが集まる。ここで速攻が使えれば、と思ったのだが。勢いは三田尻にあると思われたが、三田尻も詰めでミスが出て先行できず、16-16まではサイドアウトが続く。しかし、そこで三田尻2番高木が平山をついにシャット。そうなると流れは一気に三田尻。古川の上松のスパイクミスで、18-16三田尻。

古川は、セッターが・・・第4セットまでトスがミスあるいはぶれるのが何度かあったことと、終盤の勝負所で速攻が使えなかったこと。まだ1年生なので、経験の差が出たのか。

... 三田尻 - 古川
........ 3 - 2
1st ... 22 - 25 ...... 23 min. 8-6 16-15 21-20
2nd ... 25 - 19 ...... 23 min. 7-8 16-13 21-17
3rd ... 25 - 12 ...... 19 min. 8-2 16- 7 21- 9
4th ... 23 - 25 ...... 25 min. 8-5 14-16 19-21
5th ... 18 - 16 ...... 16 min. 4-5  8-10 11-12
Total .113 - 97 . 1 h. 46 min.

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九州文化学園対八王子実践(準決勝第2試合)

両チームともサーブレシーブが乱れる場面はほとんどなく、連続得点が極めて少ない試合(両チームとも最大で4連続得点)となった。

第1セットは、九文のサービスエースなどで少しずつ差が開いて、そのまま逃げ切り。
第2セットも、立ち上がり九文がいきなり3連続ブレーク。この後、中盤に、実践に初めてのサービスエース、服部・白田のスパイクで追いつく。しかし、終盤に、実践の時間差攻撃をシャット、さらにサービスエースで、九文が突き放した。
第3セットは、中盤までほとんど点差がつかなかったけれども、終盤に白田・陸のライト攻撃をシャットしたのが決定打。白田にスパイクミスも出て、九文がストレート勝ち。

この試合は、九文のセッター林田がよい意味で目立っていたと思う。(セッターが目立ちすぎるのは、本当は問題がある。今回の決勝の相手三田尻にしても、世界一のキューバにしても、セッターのトスワークは目立たない。)
第1セット・第2セットと、セット序盤から中盤までクイックを多用(ほとんどクイックで点を取っているくらいに感じられる)、終盤になるとライト・レフトに速いトスを流す場面が増えた。セオリー通りと言えるトスワークである。第3セットは、勝負所でもクイックを連発していた。
それに比べると、実践はやはり、センターを使い切れていないと感じられた。特に陸が後衛のときはそうである。こちらのセッターも1年生なので、1年の差はそれだけ大きいのか。

また、九文は、セッター以外の選手がトスを上げるのもうまい。打てる二段トスが上がるだけでなく、セッター以外の選手が速攻のトスを上げたのには驚いた。世界ベスト8クラスの代表チームでも、九文のアタッカーよりトスの下手くそなセッターが少なからずいる。
決勝でも、九文のレシーブがきっちり返ってクイックを連発されると、三田尻は苦しくなると思われた。三田尻は、栗原を除くと意外と高さがないチームである。あのクイックを止めたり拾ったりすることは容易ではない。逆に、九文は、サーブレシーブが乱れると話にならない。

第2セット中盤だったと思うが、タイムアウトで、九文の監督が実践の1番白田のライト攻撃に対するブロックの指示を出していた。その直後、白田のライトをどんぴしゃでシャット。九文の監督の指示はわかりやすくてよい。

..... 九文 - 実践
........ 3 - 0
1st ... 25 - 20 ..... 20 min. 8-6 16-13 21-17
2nd ... 25 - 22 ..... 22 min. 8-5 16-15 21-19
3rd ... 25 - 22 ..... 20 min. 7-8 16-15 21-20
Total . 75 - 64 . 1 h. 2 min.

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決勝

第1セット前半は、九文が速攻を有効に使い、13-9とリード。しかし、三田尻は、1番白丸の時間差あるいはライト攻撃、3番近藤にサービスエースが出て、14-14同点。さらにその後、九文の1番岩永を狙ったサーブが効き、九文の4番松本バックアタックミス、3番林をシャットするなど、4連続ブレークで19-15と逆転。最後は栗原がライトから決めて25-21。

第2セットは、前半は連続得点もほとんどない展開。12,3点あたりから、サーブレシーブの乱れなどが出て少しずつ試合が動き始める。三田尻が16-14リードとしてTTOを迎えるけれども、そのTTO明け、九文は、林のスパイクで連続得点、さらにこれまでほとんど止まらなかった2番高木をシャット、17-16と逆転。さらに、18-17から、長いラリーを松本が決めて、さらに相手のエース栗原をシャットなど、3連続ブレークで21-17。後半の2度の連続得点で九文が突き放す、第1セットとほぼ逆の展開。最後も松本が決めて25-21九文。

第3セットは、14-14同点から、松本のスパイク、三田尻にサーブレシーブのミスもあり、九文が3連続ブレーク。松本が後衛に下がってからは対角の林が踏ん張り、6番山田の速攻でさらに1ブレーク。一時は22-18九文リードとしていた。しかし、そこから最も決定率の高いクイックが決まらなくなる。サーブレシーブが微妙に乱れたこともあり、山田のクイックがシャットされ、ライトの岩永に流したところこれもシャット。三田尻の4連続ブレークで23-22と逆転。それでも、九文は松本のスパイクで24-23と再逆転。しかし、24-24の栗原のサーブの場面で、九文がサーブレシーブしたボールをお見合い気味に落としてしまう。さらに、九文の2番権藤の速攻がホールディングをとられ、26-24。デュースに入ってからの痛恨の連続ミスで、九文はとれたセットを失った。

第4セットは、序盤九文にサーブレシーブの乱れる場面があり、長いラリーになった最後に松本がミスするなど、8-5三田尻リード。この後も三田尻リードのまま16-13で2度目のTTOを迎える。さらにそのTTO明け、林のスパイクがミス。九文はタイムアウトをとるものの、その直後に権藤がクイックで2度目のホールディング、第2セット最後のポイントと全く同じミス。次のプレーでも権藤の速攻がミス、3連続ブレークで19-13三田尻リード。九文にミスが続き、三田尻優勝は決まりかと思われた。しかし、20-15の場面で栗原がシャットされると、流れが全く変わる。この後も、三田尻は栗原にボールを集めるものの、いずれも決まらず、九文の山田・白丸のスパイクなどで、4連続ブレーク、20-19まで追い上げる。その後、栗原がスパイクとブロックで3連続得点(2ブレーク)、23-19。これで勝負ありと、誰もが思っただろう。ところがその後、三田尻がサーブレシーブミスで失点すると、栗原が立て続けにスパイクミス、さらに九文林のサーブはエンドラインぎりぎりに落ちるノータッチエース。九文が4連続ブレーク、24-23と逆転。両チームが精神的に追いつめられているのが画面でもはっきりとわかる。そのため、1つのプレーで流れが一気に逆転する恐ろしいセットになった。しかし、三田尻がブロックで再逆転。そして、28-27から、林のスパイクがミス、29-27。2セット連続のデュースをいずれも三田尻がものにして、インターハイ・国体と合わせた三冠を達成した。

両チームに力の差はなかったと思う。第3セット、第4セットと、セットの詰めのところで、三田尻は九文の生命線のセンターの速攻をほとんど決めさせなかった。それが三田尻の勝利につながった大きな要因かもしれない。九文としては、第3セットを落としたのが全てだったような気がする。22-18リードから逆転されるとは。
前日の準決勝、九文の監督のタイムアウト中の指示について書いた。しかし、この決勝では、第3セット以降、技術的な指示はほとんどなくなり、選手を叱咤する場面ばかりだったと記憶している。それだけ監督にも余裕がなかったのかもしれない。

... 三田尻 - 九文
........ 3 - 1
1st ... 25 - 21 ...... 24 min. 6-8 16-15 21-18
2nd ... 21 - 25 ...... 21 min. 8-6 16-14 17-21
3rd ... 26 - 24 ...... 26 min. 7-8 14-16 17-21
4th ... 29 - 27 ...... 28 min. 8-5 16-13 21-19
Total .101 - 97 . 1 h. 39 min.

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最後に

今大会は、期待以上に内容の濃い試合、競った試合が多かった。決勝が3試合か4試合あったようなものだ。これで高校バレーのファンにもなってしまいそうだ。(身がもたないぞ>自分)
技術的な観点でも、セッターのトスワークをじっくり見られたのは大きな収穫だった。(しかし、文京の鶴岡とか九文の林田のトスワークをじっくり味わった後では、クロアチアの試合など腹が立って見ていられないかもしれない。グリゴロビッチを絞めたくなりそうだ。)

私はこれまで世界のバレーを中心に見てきて、今回初めての高校バレーの本格的観戦となる。それで気がついたことは、世界のバレーに期待するものと、高校バレーに期待するものとは、違いがあることである。

今大会、勝ち負けは別にして、最も興奮させてくれたチームは文京女子である。高校バレーであれば、あのサーカスバレーほど、見ていてわくわくするものはまずはない。
しかし、あれを日本代表で見たいとは思わない。というか、文京女子を全日本に見立てるとすれば、世界で戦う相手は、栗原・有田・大山・荒木クラスの怪物ばかりである。選りすぐりの怪物が束になってかかってくるわけである。だから、あのスタイルで世界で戦うのは、土台無理がある。

もちろん、世界大会でも高校のバレーでも、共通するものもある。それは飛び抜けたプレーを見たいということである。見る側としては、バレーボールを魔法に変えてくれる何かを求めるわけである。それが、バーバラのスパイクであっても、鶴岡のトスワークであっても、かまわない。

それでは、次の言葉で、今回レポートの締めくくりとしたい。
高校バレーが、これほど熱いものだとは、思わなかった。

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