Word The Damage
やんぐの衛生日記 | 壊れ物たち

Extensis Portfolio 3.0J 

 Aldus Fetchはどこへ行ったのだろうと思っていたら、Extensis Portfolioとなって復活した。
 一時期「Adobe Fetch」になっていたらしいがそれは知らない。
 とにかくExtensisは、もう忘れ去られていると思っていた我々Aldusユーザーにもアップグレードの案内を送ってくるというマメさにおいて優れている。
 さてPortfolio、使ってみたところ、PPCネイティブであるからして表示も速く、快適である。
 快適な速度というのは大事だ。しかしそれ以外にも大事なことがある。今後このソフトが洗練されていくか地に落ちるかわからないが問題点があまりにも気になったので書き留めることにする。

 ●邪魔な項目

 何かしら作業しようとして項目の羅列から一つを選ばなければならないとき、不要な項目が混ざっていると効率が悪いし不愉快でもある。何のことかというと、Macのみ、ウィンドウズのみというOSに準じた項目がいっしょくたに表示されているのである。クロスプラットフォームか何かしらないが無用どころか邪魔なんである。項目はそれぞれのOSに沿ったものにしておくか、削除できるか、せめて並び替えができるようになっていて欲しいものである。

 だがこんなことは些細な問題かもしれない。

 ●邪悪なクロスプラットフォーム

 余談だがクロスプラットフォームの何が駄目というと、要するに二つのOSの最低限共通できるところだけを共有する公約数的な立場であるという点だ。Macとウィンドウズでいうと、MacOSでしか使えない(あるいはウィンドウズでしか使えない、もしあればだが)優れた機能や使いやすい機能を最低限共通機能の原則でもって切り捨ててしまうということ。現状ではMac用に書かれたアプリケーションがクロスプラットフォームになったとたんにダサくて使いにくいものになる事が多い。

 ●機能がどれがどれだかよくわからない。

「カタログ設定」「カタログ管理」「アイテム設定」その他、一見意味がわかるようで開けてみると想像しているような機能ではなかったというダイアログというか設定ウィンドウというか、そういうののオンパレードで素直に使えない。例えば一般に「環境設定」とか呼ばれているアプリケーション自体の設定をしたいとき、上記のどれが相当するかわかる人がいるだろうか。答えは「環境設定」に相当する設定はいろんなところにばらばらに割当てられていて一筋縄では行かない、だ。フローティング状態にあってほしいパレット的なものとダイアログ的なものの区別も今一つで、便利寸前で不便というむず痒い思いにかられる。

 だがこれは些細な問題で、大騒ぎするほどの欠点ではないかもしれない。

 ●カスタムフィールドは使い物にならない

 カスタムフィールドが作れるというので期待したが、作ったフィールドに何かを入力しようとすると、「アイテム設定」-「フィールド」-「カスタムフィールド」-「編集」という具合に次々とクリックしてダイアログの海をを深く深く沈んでいかなくてはならない。アイテム一個づつについてだ。
 こんなんで何百とあるアイテムに情報を書き加えていけるわけがない。

 カスタムフィールドなど始めからないのだと思うことによってこれは些細な問題となる、かもしれない。

 ●データベースの癖にソートがちゃちである。

 カスタムフィールドとかを作成できるくらいの機能を持ってるのに、ソートできる項目が限定されているのはちょー不便。肝心のファイルサイズやクリエータでのソートができないとはどうなっておるのか。ファインダのリスト表示の方が賢いぞ。無意味な「拡張子ソート」はできるくせに。

 これは些細な問題ではない。ソートできないデータベースなど聞いたことがない。

 ●リファレンスのコピーができなくなった。

 フェッチではリファレンスのコピーを選ぶとアイテム情報とサムネイル画像がコピーできた。これが便利で使っていたのに、ポートフォリオではサムネイル画像をコピーしたり書き出したりできないんである。これはひどいダウングレードだ。だだだまされたー、って気分。

 ●検索するときすべてテキスト入力しなければならなくなった。

 しかもDrag and Dropに完全非対応なのでめちゃ不便。

 フェッチでは、少なくとも登録したアイテムのボリューム名がポップアップメニューで選べた。メニューをざっと見るだけでどのボリュームの画像がカタログ化してあるかわかったから便利だったのだが。

  さて、まだあるのである。

 ●キーワード抽出のレベルダウン

 データを登録するときに、何をキーワードにするかを選択するチェックボックスもなくなった。おおまかな3つぐらいの選択しかない。なな何と「フォルダ名だけ」をキーワードにデータベースを構築する、というようなことができなくなったのである。フォルダこそもっとも重要な整理概念だから、独立して抽出できないのは各ボリューム各フォルダに分散した画像を整理するカタログとして全く役に立たないということだ。

 ●サムネイルを更新しない

 まだまだ驚いてはいけない。もっとすごいのは、サムネイルを更新しない、という点だ。オリジナル画像が変更されてもサムネイルに反映しなくなったのである。
 例えば「赤い絵」という名前の赤い絵をカタログに登録したあとに、気が変わって青い絵に変更したとしよう。ポートフォリオでは、赤い絵を選択して「更新」したあとも、サムネイルは赤い絵のままなのである。これはちょっと考えられないお粗末さだ。
 オリジナルを変更した項目は、いったんアイテムを削除してから新たに追加しなければ更新しない(更新と言えるのか)。削除せずに追加すると「赤い絵」は赤い絵と青い絵の二つのアイテムとして存在してしまう。
 「オリジナルが削除されたものを検索してリスト表示する」機能があるが、これには該当しないらしく、リストに何も上がらない。そこで、「なんだ。『赤い絵』はふたつあるのか。なら、古いほうの一個はいらないや」と、赤いほうの「赤い絵」を「オリジナル削除」してしまうと、もちろん最新の青い絵も削除されてしまい、あとには何も残らない。私はこの罠にはまって、大事な画像をいくつか失ってしまった。

 そんなバカなーっ。これでは、制作途中のプロジェクト全体をカタログ化して管理するなど不可能ではないか。もしやこれはバグか?

 ●アイデンテティ喪失?

 これもひょっとしたらバグかも知れないが、カタログを作って保存するとファイルがふたつできる。

 一つは鼓のような絵のついたファイルでもう一つは錠前の絵のついたファイルだ。一見錠前の絵のついたファイルが大事そうだが実はこれは容量が0kで、意味がない。で、削除してみたのだがいつの間にか復活するのである。もちろん「別名保存」や「書き出し」を行ったのではない。

 一回の保存で作成した一つのファイルと、出来上った二つのファイルが同一というのはどういうことか。それは宇宙の絶対原則であるところの「あるものはそれ自身と同一である」に反する。このソフトは自らのアイデンテティを破壊しているのである。

 ●リンクが切れる

 まだまだある。
 あってはならないことだが、頻繁にオリジナルの参照先を見失なってしまうのである。カタログソフトでありながらオリジナルの居場所を忘れてしまうというのはもはや使用価値なし。こんなソフトは全く使い物にならないのである。

 結論として、Extensis Portfolio3.0はバグだらけの未完成バージョン、バグではなく仕様だとすれば無価値な劣悪ソフトということになる。
 バグか仕様かは代理店に問い合わせてみるとわかる(かも知れない)ので、今の仕事が片付いたら聞いてみたいと思っている。

 思っていたがあまりにもひどいソフトなので聞く気もなくなった。
 いい画像データベースソフトないだろうか。

1998.5.12
1998.9.1更新


優れ物


Quickeys 3.5.2

 ようやくQuickeysの新しいバージョンを手に入れたのでResEditでは不可能だったショートカットの変更も簡単だ。

 これでIllustrator7のショートカットも変更できる。ロック、ロック解除、背面前面へ送る、隠すといった基本的な操作をすべて使い慣れたショートカットに変更してみたところ、多少使いやすくなった。カラー指定だけはどうしようもないが、それは仕方がない。

 Quickeysでのショートカット変更が楽なのは、同じキーが割当てられた場合の優先順位が決っているためコンフリクトを気にせず自分の都合だけでバンバン割当てていけるという点だ。

 新しいQuickeysでは作成したショートカットやシーケンスをツールバーにできる。ボタンの羅列が強要されるのは嫌いだが、ここぞというところでは役に立つ。

 Netscape Navigatorのウィンドウ上部についているボタンは便利だがちょっと邪魔。そこで「戻る」「進む」のみをQuickeysのツールボタンとして表示し、ウィンドウからはボタンを消す。これだけでけっこうすっきりした。

 Photoshopの「アクション」もフォントがでかくて邪魔なので小さなボタンにするとこれもけっこう良い。ただし、ボタンは2、3個以内にしておかないと本末転倒状態になるので注意が必要だ。ほとんどの場合わざわざボタンにするよりもメニュー内に表示するほうが良いが。

 Quickeysが本領を発揮するのはやはりシーケンスとバッチ処理だと思う。
 AppleScriptを使いこなすのは普通の人には無理なのでQuickeysは非常にありがたい。

 例えば私の目覚しはMacintoshからの電話だが、小さなテキストをeditorに入力してファックス送信を選んで送信先に電話と携帯を指定してオプションの送信時間入力画面を出すというここまでをシーケンスとして登録している。時刻を指定するだけで目覚しファクスが掛けられるのである。

 余談だがなぜこんなことをするかというと、目覚し時計程度では目を覚さないから。電話が鳴って「ふあい。もしもし」と、受話器を取ると「びーびーびー」という恐ろしい音が聞こえるので何とか起きられるのである。


Panasonic LF-3200

 230MO Driveが壊れた。わーい。
 書き込み禁止にしたディスクは問題なく使えるが、シャッターを塞いで書き込み可の状態にすると、LEDが変な点滅をして認識しない。えと。「しゃこしゃこしゃこ」という読み込んでいるみたいな音すらしない。
 読み込み専用の、MO-ROMになってしまったわけだ。

 さて、このMOというもの。もはや世界中でこんなものを使っているのは日本以外にないそうで、たしかにMacOS8でMOをサポートしなくなったというのも頷ける。
 だからDVD-RAMが出るまではCD-Rも買わずにJAZZも買わずに我慢してきたわけで、この中途半端な時期にMO Driveがイカレるのは甚だ都合が悪い。
 安くなったとはいえ、この先、使う事のあまりないMO Driveを買うというのは厭で、かといって壊れたままではもちろん不便。
 やな感じ。

Panasonic LF-3200その後

簡単なことに気付かなかった。修理に出せば良いのだ。
さすがはナショナル、時間はかかったが数千円で直ってしまった。
わははは。いやあ。

Word The Damage

photoshop5のsRGB

何だかやな感じ、と漠然と思っていたPhotoshop5のデフォルトカラースペース。sRGBとはなんだろか。以前のバージョンで作成したファイルを開くと「カラー変換中」という怪しげな表示が現れるのはどういうことか。read meを読んでも、「ファイルが破損することはない」とわざわざ書いてあるので、これは「ファイルは破損しないが重大な変更が行われる」という意味であろう。また、「これが標準になります」とのことだが、「標準」などという言葉を信用するやつは馬鹿なのでこれも怪しいと思うのがまともな人間なら当然だ。
 要するに各ハード固有の仕様に左右されない色情報をファイルに含め、これを参照しながら表示しようという考え方に基づいた技術らしい。この考え方自体は悪くないと思う。だがまてよ。
 ということは例の、悪のクラスプラットホームの法則が頭をよぎる。あるひとが100の仕事ができて、ある人が5の仕事ができるとすれば、「共通化」の名の元にみんなが5の仕事に合わせるという法則だ。「最低共通文化」という言葉を発明したのは「美藝公」の筒井康隆氏だが、同じような意味である。
 余談だが「クロスプラットフォーム」や「標準」という掛け声とともに、どんどん退化していくデザインや使い勝手にがっくりきているのは決して私一人ではあるまい。ソフトウェア製品のデザインや使い勝手の改悪は目を覆うばかり、惨憺たる現状である。

 案の定、ちらりほらりとsRGBについてのコラムを眼にするようになった。
 やはり懸案通り、これはろくでもない「標準」であるようだ。
 sRGBとは、まさに「最低最悪のOSと超安っぽいモニタ」でも再現できるカラースペースの規格であり、「最低共通文化」の権化なのである。
 以前からAppleRGBが優れた色域を持っていることは知られていた。ウインドーズがグラフィックに向いていないと言われてるのには訳があったのだが、恐ろしいことに分け隔てなくこの劣った環境でも再現できるカラースペースを標準にしてしまえというのがsRGBの発想だ。

 例えてみれば、音楽CDの44kHzという劣った環境に合わせ、マスタリングや録音の基準を44kHzに合わせましょうと言っているのに等しい。いやそれどこか、5800円のラジカセでも表現できる音域に合わせた音域でオリジナルを録音しましょうと言っているようなものだ。

 このsRGBカラースペースをAdobeがphotoshopでデフォルトにした意味は重大だ。Adobeは、Photoshopを優れたマスタリングを行うプロフェッショナルなソフトから、広く浅く低い大きな市場にばらまくためのソフトウェアに変革させようというのである。これはハリウッド映画と同じ発想であり、客を「クリエーター」から「愚衆」に切り替えようということのあらわれである。
 ただし、このデフォルトは簡単に変更できるので「クリエーター」向けにちゃんと逃げ道も用意している。だがそれこそ、デフォルトのまま使用する客を馬鹿扱いしている証拠でもある。

 またもや余談だが、Appleが8で用意した各種設定や「ブラウザ」などの自動化スクリプト、使いにくいインストーラも客を馬鹿にしたシステムだと思う。客を馬鹿にして意味不明のシステムを用意した結果、かえって煩雑で難しいものになったと思っているのは私一人ではないと思うのだが。

 話をもどしてPhotoshop5のカラースペースだが、カラー設定を速やかに「AppleRGB」か「モニタRGB」その他幅の広いものに変更し、モニタ補正のチェックを外す、それからプロファイル設定で「初期設定プロファイル」の「RGB」を「なし」、処理を「無視」に設定、これで魔のsRGBの呪縛から逃れることが出来るので是非そうするようお勧めしたい。
 sRGBこそ標準で平等なカラースペースであるという主張もある意味では理解できるが、だからといってツールの標準にするべきではないと私は思いますがいかがですか。

http://www.zdnet.co.jp/macweek/9804/28/n_pshop.html

http://www.zdnet.co.jp/macweek/9807/06/n_pshop5.html

http://www.zdnet.co.jp/macweek/9804/10/c_gamut.html

http://www.adobe.co.jp/support/qa/photoshop5_m.html

http://www.zdnet.co.jp/macweek/9808/05/c_gamut.html

http://infofarm.cc.affrc.go.jp/~mtoyokaw/akiyama/mac/News/arc/98-7-9.html

 98.8.3

実はsRGBとは、単に「ガンマ2.2のウィンドウズ用安物モニタ」を基準とするカラースペースだとか。
馬鹿馬鹿しい。