野球関連書籍(その1)
スカウト:講談社・後藤正治著・ISBN4−06−209420−7 定価:1800+消費税
広島東洋カープ・大洋ホエールズ・オリックス・日本ハムで40年以上スカウトを続けてきた名スカウト木庭教さんについて書かれた本。
広島時代は、その手腕で衣笠・達川・大野・三村・池谷・川口・高橋・長嶋・正田・金城基泰らを発掘した。
本書では、様々なエピソードを中心に構成される。
序章「夏」
オリックスのスカウトとして、中野渡(横浜)を見た翌日に山村(近鉄)・五島(オリックス)を見に山梨へ行く。
その際、山村よりも五島の方に魅力を感じていたらしいが、登板する予定がなかったので見れずしまい。
1章「薬売りのごとく」
広島のスカウトとして地方をドサ回りする話。その中には南海入りが有力視されていた山本浩二の入団までの経緯などが書かれている
2章「重いバット」
阪急のスカウトであった丸尾氏とのやりとりや、高橋一三事件、衣笠獲得のエピソードが書かれています。
3章「怪童を生んだ時代」
ドラフトの話、東映のエース尾崎についての話、近鉄のスカウト河西さんの話、三村獲得・五島指名のエピソードなどが書かれています
4章「二人だけのパレード」
古葉監督の談話、金城投手獲得の話が書かれています。
5章「ワンプレーによって」
日本ハムのスカウトとなった木庭さん。オリックス時代の頃イチローを獲得するかどうかで三輪田氏とのやりとりが印象的。
また、巨人のスカウトになるのは「自分が入れた選手の出番がない可能性が一番高いチームなので入れた選手に責任が持てない」という理由でご免というコメントも。
星野(西武)を見に四日市まで行く話や、高橋慶彦獲得のエピソード。そして、木庭さんではないが、ロッテのスカウト三宅氏の落合獲得のエピソードなどが綴られている。
6章「もうひとつの仕事」
ドラフト会議で、自分が目をつけた選手を球団が指名しなかったことについて
「ハムが取らなくても、将来、他球団で活躍してくれれば自分の眼が間違っていなかったことがわかる。自分自身ではそれで満たされるってところがあるんですよ」と、コメント。
なお、ドラフトの目玉であった福留が近鉄を蹴ったことには
「近鉄にいくいかないはもちろん本人の自由だけれども、
もしプロでやるんだという気持ちがあるなら考えものだと思うね。
社会人で過ごす三年間とプロで過ごす三年間は質が違うわけだし、
三年後に同じ評価をされているかどうかはわからない。小池の例だってあったでしょう」
と、入団拒否をした選手を指名しないというポリシーも持った人らしいコメント。
また、逆指名で枠が埋まり、単独指名が厳しくなった沼田獲得には、若い木村氏が「腕があがらない」と三味線を使ったり、
「行方不明」にして他球団との接触を避けるという手段を使ったことを明かに。
裏金の使用には否定的だが、この手の行為はスカウトとしては「通常業務」とのこと。
また、芽が出なかった選手のエピソードや福永トレーナーのエピソードも書かれています。
7章「スカウト仁義」
大野・川口・達川獲得のエピソードや藤田(阪急→巨人)獲得失敗のエピソード。
巨人の辣腕スカウトであった伊藤氏については、桑田事件と絡めて書かれている。
8章「加州の目利き」
社会人野球観戦のエピソード、牧野(オリックス)獲得の際の話、幕田(中日)・アキラ(元ヤクルト)・神田(横浜)の話、
そして、フィーバー平山(元・広島在米スカウト)氏の話が。
9章「番手買い」
甲子園大会にて、アキラ・高塚(近鉄)の故障を知り、今の若い投手が投げないことを嘆く。
また、同年代のスカウトである河西氏が辞める雰囲気であることに、自分も潮時を感じ始める。
木庭氏は「番手買い(競輪で二番人気以外の車券を買うこと)」の人と呼ばれていたが、それを象徴するのが
紀藤(広島→中日)・正田・長嶋の三名であった。
終章「雨」
山陰地方を駆けずり回る木庭さんのエピソード。
ベンチ裏の人間学:日本経済新聞社 浜田昭八著 定価1500+消費税 ISBN4−532−16307−2
7人の監督達の人間像と哀歓を活写した書籍。
登場する監督は、
1・長嶋茂雄 「ミスター監督」への道けわし
2・仰木彬 魔術を嫌う「魔術師」の後継者
3・星野仙一 クールなケンカ野球
4・大沢啓二 現場とフロントを往復して
5・川上哲治 重かった常勝の十字架
6・藤田元司 セーブのつかない救援監督
7・鶴岡一人 最多勝は球史のかなたへ
の7名です。
野村ノートの読み方:光文社 角 みつ(変換する漢字忘れました)男著 定価819+税 ISBN4−334−00678−7
ヤクルトのコーチをしていたことから、野村監督の教えていたことをノートに纏めた内容。
普段の巨人色の強い解説者というイメージからは想像できないぐらい、野村監督をほめている内容。
また、巨人へのツッコミもあったりします。
大阪学特別講座I−阪神タイガース学ー ザ・マサダ 大谷晃一著 定価1500+税金 ISBN4−915977−98−6
独自の視点で客観的に書きつつ、学者臭い観念語や抽象語を使わずに大阪について書いた大阪学(新潮文庫)の著者が、「大阪学的な観点から阪神タイガースについて書いて欲しい」という依頼を受けて書かれた書籍。
表紙の野村監督が新庄に水をやっている中山ラマダ氏のイラストが今ではなんとも言えない・・・。
内容は以下の九章となっています。
第一章:阪神ファン―負けを楽しんで何が悪いんや
第二章:大阪タイガース―東京?ナンボのもんじゃい!
第三章:野村阪神―データやない。野村は「合理的人間主義」や
第四章:虎の経済学・経営学―阪神の経営はホンマに理想的か?
第五章:虎の監督―誰がいちばん大阪人や?
第六章:外様学―阪神は外様監督で勝つんや
第七章:スター学―阪神のスター選手は、何んで不幸になるんや?
第八章:甲子園―阪神は高校野球なんや
第九章:虎のオマケ
元・巨人―ジャイアンツを去るということ ザ・マサダ 矢崎良一著 定価1400+税金 ISBN4−915977−79−X
巨人を出された男達が、「あの日」の葛藤と「それから」の人生を激白した内容。
1999年に書かれたものなので、大森や駒田の名前も。
取材された選手(コーチ)は、以下の6名です。
小林繁「“おい、オレかよ!”って思った。でも、同情はいらなかったね」
駒田徳広「使う監督にとっての“いい駒になる”。そればかり考えていました」
香田勲男「トレード通告が、僕に“転換期”を教えてくれたんです」
石毛博史「トレードに納得できないものがあった。だからすごく葛藤したんです」
吉岡雄二「調子がよくても試合に出られない。それが歯がゆかった」
大森剛「“巨人ドラフト1位”のプライドとトレード経験を生かしたいんです」
と、このコメントから、今も活躍している選手と、よくない選手がはっきり現れてます(苦笑)。
巨人に対する未練が強いとダメだったことがわかる本です。
プロ野球問題だらけの12球団ー2001年版 草思社 小関順二著 定価1400+税 ISBN4−7942−1038−8
「ドラフト会議倶楽部」を創設した小関氏が独自の戦力分析及び、ドラフト分析を記した書籍です。
今回は、2000年版と比べて「技術」という点に着目した内容です。
開幕前に読む物としては、秀逸と言えるでしょう。
カープ新世紀記念写真集 発行・株式会社アスリート(注文はカープの通販を使うのが一番でしょう) 定価3619+税
記念写真集だけあって、無茶苦茶サイズがデカイです。チーム創設以来の歴史がわかるような構成、
入団当初の金本がいかに細かったかもわかります(爆)。川口FA移籍のところが白黒というのはなんとも…。
また、コージ・慶彦・江夏のインタビューも掲載されています。
お笑いプロ野球殿堂ダメ監督列伝 史輝出版 テリ―伊藤著 定価1262+税 ISBN4−915731−94−4
サイコ巨人ファンとしてアンチ巨人から嫌われている「天才」テリー伊藤が21人の監督について書きまくった書籍。
そのターゲットは、
・鈴木啓示:三コメ主義で自滅した「スポ根の巨匠」監督
・村山実:敗者の美学に震える「涙腺ザトペック采配」監督
・中西太:アホの伝統を継ぎ、選手にアホ呼ばわりされた「一見豪快」監督
・田淵幸一:東京の自宅から通わせたかった「天才おぼっちゃま」監督
・中村勝広:気使う相手が多すぎた憂うつな「中間管理職」監督
・関根潤三:勝つ宿命を背負わなかったお気楽「プロ野球ニュース」監督
・別所毅彦:タフな選手たちを震撼させた「スパルタ軍人」監督
・有藤道世:人知れず革命の志が破れた「ロッテの王子様」監督
・安藤統夫:阪神一筋、過去を知りすぎた輪廻する「ぬるま湯」監督
・杉浦忠:貧乏球団根性が毛穴に染み込んだ「ダンディズム」監督
・土井正三:V9ブランドに憑依された哀しみの「黒子」監督
・八木沢荘六:戦いなき古典芸能野球を演出した「能面」監督
・稲尾和久:実はおかみさん野球だったエプロンの似合う「過保護愛」監督
・荒川博:「王」手形を連発しすぎて焦げついた「当て馬」監督
・金田正泰:ユニフォームがそらぞらしい「多重人格」監督
・秋山登:オーナーの過剰な愛に溺れた「性善説」監督
・土橋正幸:怒鳴れば格好がつく無法松な「顔面突撃」監督
・武上四郎:無理なハイテク采配で自家中毒をおこした「茶坊主」監督
・金田正一:人間扱いが誤解のもと「野人ターザン」監督
・根本陸夫:シミュレーションおたくを究めた「イメクラ」監督
・青田昇:熱すぎて一挙に燃えてしまった「野球少年」監督
と、まぁ無茶苦茶なネーミングをつけまくることこの上なしな本です。
タイトルにあるように、「お笑い」だと思って読むことを勧めます。
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