毛利総理の呉竜府な一日

(この物語はフィクションです。実在の人物及び団体とは関係ないです)

某県のゴルフ場において毛利総理は数名の男達とゴルフを楽しんでいた。
が、プレーしている毛利総理の顔には冷や汗すら浮かんでいる。
「毛利君、例の件についてなんだが・・・。まだ、解決しておらんのかね」
あごひげを蓄えた初老の男が総理に話しかける。

「そ、それはですね、今部下の糠床前経済財政担当相や浦上前参院議員会長らが、ミスをしたために、正常に国会を進めることができず、例の件について手が回せないんです…」
初老の男に対して怯えつつ毛利総理はしゃべった。
「まったく…、そんなことで例の件が進まぬようではお前も小無沢と同じ運命を辿るぞ」
「そ、それだけは勘弁を。私だってまだやりたいことはいろいろあるんですから」

二人がそんな会話をしていると、一緒にラウンドを回っている男が見事にグリーンにボールを乗せていた。
「ナイスショット!」
思わず、大きな声で言ってしまう毛利総理。
「おや、総理? いつもは人がグリーンにオンしてもそんなに大きな声を出さないというのにどうしたんですか?
ちょっと今日の総理は変ですねぇ」
「いや、大丈夫だ気にしないでくれ」

こうしているうちに、このホールを全員終わらせて一時休憩ということになった。
クラブハウスに戻ると、初老の男と毛利総理は二人で部屋に閉じこもった。

「で、龍についてですが、あの飛龍眠土が沈んでからはなかなかその予兆がありません。新たに大学の連中に調査させようとしても、誰も引きうけてくれません」
「ぬぅ、『ものさがし大学』ができておれば、そこの連中に任せることができたのだが。岩原のほかに手ごわい男達がいようとは計算外であった。始末するにも、今の状況ではあらぬ疑いをかけられる」
「黒沢がいなくなった内閣調査室の立てなおしもまだ進んでいませんし…」
二人して思案に暮れる。

「とにかくだ、タムラマロがいなくなったとは言え、我々は一刻も早く母星へ帰りたいのだ。これ以上の猶予をやるような余裕は我々にはないことを肝に命ぜよ!」
「ははぁーっ!」
平伏する毛利総理。

こうして二人の会談は終わり、クラブハウスのロビーにでると、内閣調査室の者が現れた。
「毛利総理、我が国の船がアメリカの原子力潜水艦と衝突し沈んだ模様です。いかがいたしましょう?」
「放っておけ、今私はゴルフで忙しいのだ」
面倒臭そうに言い放つ。

「今総理がそのような行動を取られると、また国民から批判を浴びることになりますが…」
「ラウンドを一緒に回っているお方の機嫌を損ねたら、私の命が危ないじゃないか! だから、このゴルフを優先しないわけにはいかないのだよ」
「わ、わかりました」

こうして、毛利総理はゴルフを続け、終わった後にしばらく誰かと連絡をしていたらしい。
その相手とは前アメリカ大統領クリムトンであった。二人の会話が何であったかはわからない・・・。

当然のことながら翌日の国会では、
「衝突した相手が米原子力潜水艦だから、当然、政府としての対応、危機管理が求められる。それを知りながらか、気が付かないでゴルフを続けていたとすれば、日本の船長どころか、どのような団体のリーダーもとてもではないがふさわしくない」と厳しく批判され。
またも「首相の資質」を改めて問われるという状況に落ちこんだ。

これによって、ますますあの御方達の怒りを買うことは必定である…。

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