ヘソ本リポーター、田村麻呂に突撃インタビュー

ヘソ本専用車の中にで・・・
「・・・と、いうわけで、是非ともヘソ本さんのリポートが欲しいんですよ」
「ん〜、わかったーっ!! じゃあ、これから現場に行きますねーっ。どーもっ、恐縮でぇ〜す」
ヘソ本は、先程G県の業田開発のリゾート問題について取材を終えたばかりであったが、今の電話を受け、すぐに新たな事件の現場へ向かうこととなった。

「ヘソ本さん、大丈夫ですか? 最近オーバーワーク気味ですけど」
ヘソ本の車の運転手である古前田が心配そうにいう。
「だいじょ〜ぶ、だいじょ〜ぶ。リポーターは体力が資本ですから〜」
そうヘソ本は言う。周囲の人間からすれば過労死をしてもおかしくないぐらいに動いているはずなのに、
いつも、彼の返事は『これ』である
恐らくは、取材がうまくいっているから疲れを感じないのであって、取材が難航でもしたら、あっというまに疲労が襲いかかるに違いない。

「で、この車はどこに行けばよいのでしょうか?」
「タカテレビの近くらしいから、そこまでお願いしまぁ〜っす!!」
こうして、車は遠く離れたG県T市から猛スピードでお台場はタカテレビまで向かっていた・・・。
ちなみに、ヘソ本はなんだかんだいいながら仮眠を取っている模様。

お台場、タカテレビ前
「ヘソ本さん、到着しましたよ」
「んー!リポーター仲間がたくさん集まっているね〜。これは凄いニュースになるかもしれないね〜。
じゃあ、僕は行ってくるね」

車を降りたヘソ本が見たのは、謎の男の元へ猛ダッシュするリポーター達の姿であった。
ヘソ本は焦らずにゆっくりと歩を進めていた。

「みんな、リポートの仕方がなっていないなぁ・・・。ここは、私がやるとしますか」
そう思いつつ、前に進んで行く。


「ちょっと待ったぁーっ!!」
田村麻呂なる人物が姿を表したことによって、他のマスコミ達の目もそちらに向いていた。
だが、このヘソ本の一声で、周囲のリポーター達は一斉にヘソ本の動きに注目するようになる。

「恐縮でぇーす。いやー遅くなっちゃったーっ。最近事件が多くてねー」
ヘソ本がこういえば、各社のリポーターは誰一人として逆らうことなくヘソ本にスクープを譲るために道を開ける。
たとえ、タカテレビの筒井であろうが、天下のNNTだろうがヘソ本よりも先にスクープを手にすることは許されないのだから。

「あっ、ヘソ本さんご苦労さまです」
タカテレビの若手が、すぐにヘソ本の機嫌を取るために挨拶をする。
「ん!!(うれしいなぁ、こういうのって) ぼくのポジションどこ?」
ヘソ本が状況を聞くのも無理はない。なぜなら、途中でこっそり仮眠を取っていて詳しい情報を入手していないからだ。
超一流の男が、超一流の仕事をするためには、やはり正確な情報は必要であるのだ。

「こちらです。今、これこれこーいった状況で」
タカテレビの若手はヘソ本に超一流の仕事をしてもらうべく、自分の知る限りの情報をヘソ本に懇切丁寧に伝えた。
「ん!ん!んー!」

凡人には理解できないかもしれないが、これでもヘソ本は若手リポーターの話を理解しているのだ!
「んー!わかったーっ!」

これは、完全に理解したことを示すヘソ本が出すサインである。

(そうだろう、そうだろう、やはり私がいないとリポートは始まらないんだな)そう思いつつ、ヘソ本は田村麻呂へアタックをかけた
どーもォ恐縮でぇ〜す!!田村麻呂さん、一言お願いできますか!」

「(関わりたくないような表情をしつつ)……帰りたい
「(ぬぅ、この男さっそく取材拒否の姿勢らしい。しかし、ここで引き下がってはリポーターとして失格だ!)!?帰りたい…!?」
どうやら、帰りたいという言葉を取材拒否の意思の現われと見ているようだ。
「あの、どちらに帰りたいのですかねー!? たしか先程の放送では神上先生は帰れないとおっしゃってましたが…」

「わしは帰る!」物凄く不愉快そうに言い放ち、ヘソ本にショルダーアタックをかます。
「あいて!!」
さすがに、暴行をされたのではヘソ本も我慢できなくなったらしい(寝不足も原因であるが)、次第に語気が荒くなっていく。
あのねえ、こっちだって帰っていないんだよ。大事件つづきで寝てないんだよー、こっちだってぇ!! 恐縮でぇ〜す!!
怒りを露にするヘソ本。しかし、語尾にはしっかりと「恐縮でぇ〜す」が残っているのはさすがか。
だが、田村麻呂も怒りを堪え切れずついに行動にでた。

「だいたい、あんたね…」
ヘソ本がさらに怒りをぶつけようとした瞬間、田村麻呂の手刀がヘソ本を襲った・・・。
そして、その瞬間ヘソ本の首は地面へと転がっていた。
「私だって帰りた…た、た、た、たふ…」
それが最後の言葉であった。

業界第一人者のリポーターヘソ本、ここに眠る・・・。

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