男たちの好日の原作

元々は、こちらの記事から味の素の創業者を題材とした創作経済小説というべきものです。
鈴木三郎助・忠治兄弟はヨードカリなどを作っているものの、生まれた場所が湘南ということから、
むしろ杉井市兵衛のモデルなのでしょう。
でもって、杉井商店(日本電産)はこちらの会社(昭和電工)の年表を参考に作られたものだと思います。
(日本沃度(株)という名前などからしてそうだと思われます)

そして、日本経済新聞紙上に、1980年1月から8月に連載されたものに修正加筆を加えた内容がこの作品となっています。

全18章。375ページの量です。

書名:男達の好日 定価:本体価格552円 ISBN4-10-113320-4

作品説明:
外国製品に蹂躙されている昭和初年の日本に電気化学工業を興すことで「国の柱」になろうと邁進する牧。
しかし、苦心惨憺して開発した硫安やアルミ製造技術は、統制経済をとりはじめた国家によって公開を迫られ、
牧は国策会社の社長に祭りあげられてしまう。
国家を幸せにすることはあっても、国家によって幸せにされることのなかった男の生涯を通じ、
「男の好日」とは何かを問う長編。

昭和六十三年五月二十五日 発行
平成十三年六月十五日 六刷

(最近発覚したことなのですが、実は平成十三年四月発行の、
新潮社文庫目録には、この原作の名前がありませんでした(城山先生の作品の所で)
と、いうことはバンチで連載が始まらなければ、忘れ去られていた可能性大?)


漫画版との主な違い:
・牧みつはいきなり病死しています。死因となった病気も急性肺炎となっています。
・花野木がもっと活躍している
・かじめは本当にちょっとしか出てこない(戦争終わったらアウト)。
・岩源・黒須・西洋スーツなどが存在しておらず、ダム編はすぐに終了した。
・ダムは作ったものの、電力余りまくりで二割五分しか使っていないという事実。


などなど、ながい先生がいかにして膨らませているかがわかるので、
是非とも一読することをお勧めします。
(小さな書店ではまずないと思いますので、注文するといいでしょう)


つーか、原作を読んでもネタバレにならないと思いますし。

ここから下は、一応ネタバレ…になりそうな部分


玲睦は、杉井市兵衛が死去すると、代わりに社長になることに。
そして、選挙に出馬して見事当選!
玉岡も選挙をするが、自分は何もしないという豪快すぎる選挙運動を行なった(結果は不明)

出てくる主な物質:

玲睦は常に、「材料・道具を全て国産のもので」というポリシーを持っていたため、
作るにはかなり苦労しているものもあります。

かじめ:御存知「ドーヨ」。第一次世界大戦が終わると品がたぶつき、そのままフェードアウト
マッチ:これをめぐって、外国資本と激しい争いになり、あまりゼネもうけにならなかったような…。
硫安(硫化アンモニウム):肥料として使用。ダムの余剰電力で作る
アルミニウム:最初は全て国産で作ろうとするも、原料(現在の北朝鮮製)の質が悪く、
ボーキサイトだけは外国製のものを使用。

戻る

好日カウンター