伝之参・田村麻呂再び
“真夜中の大惨事”というニュースから話は始まる。だが、何とも救いようのない少年のニュースは報道されても、ミサイルが発射されたことはどうでもいいらしい。
阿弖流為様は、「こんなつまらん奴を写すためにたくさんの電飾を使うとは、無駄なことをしよる」とご立腹の模様。
だた、その後の黒沢さんご一行の銃乱射事件には関心がある模様。
そして、TV放送に興味をもったのか、「よし、出陣じゃあ!!」といきなりTV局へ直行!
阿弖流為来襲という被害に遭ったTV局はお台場のタカテレビである。
嫌そうな表情をしながら現れた菊池プロデューサーは、阿弖流為(神上助教授モード)を見て、
「こ、神上助教授!!」と驚いた(頭の中は「こりゃ〜、特ダネだ〜!!」と思っていたと思われる)
阿弖流為はいきなり、「うむ、それでね、ちょっとTVに出たいんだがね。緊急特番にしてくれたまえ」とあっさり言ってのける。
さすがに、視聴率の鬼である菊池プロデューサーは、「えっ、そ、そうですねえ。しかし急に言われても。我々も仕事ですから視聴率のことを考えないと・・・。視聴率ドカーンとアップするネタがないと・・・」とプロらしい発言。しかし、そんなことで躊躇する阿弖流為様ではない。
いきなり、手をかざし、「では、見るがいい・・・」と、またもや過去の映像を見せつけることに。
まずは、やむをえず地球に不時着せざるをえないと語る宇宙人の姿がある。
そして、その中の一人は「わしは必ず故郷に帰るぞ」と誓う宇宙人(田村麻呂)が。
その後、故郷に帰る者と、残る者との間で、“龍”をめぐる戦が始まったのである…
そして、場面は8世紀。阿弖流為と田村麻呂との全面対決が行われようとしている時であった。
田村麻呂「さもなくば、捕虜となった蝦夷どもの命はない」
捕虜「阿弖流為様、私達の命よりも“龍”を、“龍”をお守りください!龍が奪われたらこの世は滅ぶのです!」
田村麻呂「黙れぇーい!!」と叫び捕虜(推定8名)の首を一度に切って捨てた。
阿弖流為「皆の者!!おのれ〜田村麻呂ォ〜」
幾万の死をのりこえ、そして阿弖流為自らの死とともに、龍は守られてきた(だったら、阿弖流為が切腹すれば終わりだったのでわ?)。だが、一二〇〇年たった今再び龍は奪われる危機を迎えたのだ!!
と、そのようなイメージを見せられた菊池プロデューサーは「たっ、大変だーっ、これは大変だあー!!(直訳:「よっしゃ〜、これなら視聴率がドカーンとアップするぞ〜!!)特番だ、緊急特番だーっ!!」と狂喜乱舞!
一方、黒沢さんは脂汗を流しながら任務の失敗を田村麻呂に報告していた。
帰りたい……
帰りたい、帰りたぁーい!!
と、田村麻呂は悲痛な想いを叫びにして露にしていた。
この叫びに動揺しまくる黒沢さん。いつもの冷静さはまったく消えうせており、「今しばらくお時間を・・・早急に阿弖流為を見つけだし……」と小無沢元総理並みの答弁しかできず。
そして、TV画面には『奇跡の生還、神上龍一助教授緊急会見!!』の模様が放送されていた。
しかし、TV画面の阿弖流為は「まずっ、なんだこれ、牛乳と替えてくれ」と用意されていた飲み物にケチをつけたり、出された牛乳を片手に「やっぱりこれだな!牛乳!!」と、かつてはガルベスをCMキャラクターにしたこともある牛乳普及委員会が泣いて喜びそうな行為をするなど、どう考えても傍若無人なことばかりをしている(神上教授を知っている人がみたら「この人偽者です」とかTV局に電話しそうな気がするのだが・・・)。
横で、牛乳をチューチュ−ゾゾと音を立てながら飲んでいる阿弖流為を見て、さすがに、アナウンサーもこりゃまずいと思ったのか、質問に入る。
アナ「おほん、あ、あの先生…あの悲惨な事故にあう前に、何でも、世紀の大発見をなされたとか!?」
「そーおなんです」とASAYAN調に答える阿弖流為。横では武蔵坊が笑いを殺しているぞ!
阿弖流為「わしは、人類史上もっとも重大な遺跡を発掘したのだ…」(どう考えても神上であることを無視しているようなしゃべり方なんですけど・・・)
阿弖流為「東北のある今や失われし種族が、征夷大将軍坂上田村麻呂について書き残した……非常に重大な文章である。わしはついにこの解読に成功しました」
アナ「ほ、本当ですか、これは歴史的快挙じゃないですか。で、何と書かれてあったのですか!?」
阿弖流為「え〜いいですか、田村麻呂の・・・」
アナ「たっ、田村麻呂の・・・」
阿弖流為「バカ・・・」
アナ「は!?今、何と!?」
阿弖流為「おう、田村麻呂ーっ、見てるかーっ!!お前は……帰れない!!」
ここで、テレビ画面は「しばらくお待ちください」の画面に切り替わる。
病室で見ていた田村麻呂は「うなに!?」と動揺を表し、心拍数を上げつつ
か、帰れな…い!?
帰れなぁあぁあ〜いいぃ??!!△×□
あほぉう〜っ・・・
と舌を出しっぱなしにして大暴れ!
「たっ、田村麻呂様ーっ!」と黒沢さんも驚きだ!
後がなくなった田村麻呂は、「俺の拳が光って唸るっ!!」と叫んだわけではないのだが、まるで、シャ○ニングフィンガーのような技を黒沢さんにぶちかました!
そして、田村麻呂は黒沢さんの身体を奪い、自ら阿弖流為を始末しに向かうのであった。
なお、TV局から出た阿弖流為様は、美雪の「一体あんなことをして何の意味があるっていうの!? わかったわ。敵の大将を誘い出す作戦ね!」
という問いに、
「いや・・・、からかっただけだ!!」
と、公共の電波を私物化したことを認める発言をした。
伝之三終わり
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