伝之壱:阿弖流為、転生


時代は今を遡ること千二百年余り−
まだ大和に都がありし頃陸の奥に蝦夷という自由の民がいた。
ある時、その陸奥に“黄金の龍”見つかりて帝、これを欲せんと蝦夷を“鬼”と蔑み討伐を命ず。
時同じくして、蝦夷に英雄豪傑が現れ頭領となりこれに抵抗。
二十余年の長きにわたり朝廷の大軍を退けたが、
坂上田村麻呂の軍勢を前についに凄絶なる投降の時来たれり。

その誇り高き蝦夷の頭領の名は・・・
阿弖流為!
この者、実は邪悪な破壊神から“龍”を守り隠す守護神であった。
この蝦夷と朝廷の抗争の裏には“龍”をめぐる聖と邪に分かれた神々の熾烈な戦いがあったのである!

その“龍”とは・・・神がこの世を消し去り天空に舞い戻らんがための大いなる力の源なのだ・・・・・・



扉絵の次のページで、いきなり平安時代の蝦夷の頭領阿弖流為が、自らの首を切るシーンから始まる。なんで、首が胴体から離れても手で首を持ちつつ
「この首を持ってゆけ、・・・そして都に巣食う邪悪な破壊神どもに伝えよ!この阿弖流為が蘇らぬ限り“龍”は永久に手に入らぬとな!」
とまぁ、長い台詞をしゃべるのかは秘密である(しかも笑顔でしゃべっているし)。


自分の生首を持つ阿弖流為
なんと活きのいい生首なんでしょうか・・・。



そして、いきなり時代は現代へ。
岩手県の早池峰山にて、龍一が“龍”の発掘に成功したことをメールで美雪に知らせた後、現場に戻るとそこでは、他の発掘チームの面々が射殺されるシーンを見ることに。
あわてて、逃げる龍一の前には、発掘チームに発砲していた黒ずくめの男(内閣調査室の方々)が!
いったい、いつのまに来たんだ!とツッコミの一つでも入れたくなるようなシーンである。
そして、あっさり銃殺されてしまう龍一・・・。
証拠隠滅のため、石碑を爆発して、なおかつ「遺跡の発見は最高極秘機密だから、
アレを見たものは抹殺しなければならない」ということで、龍一がメールを送信した美雪も抹殺しに行くのだが、だったらなぜ龍一が持っている剣(龍一はこれを“龍”と言っている)を処分もしくは押収しないのか不思議である。

龍一が美雪のことを思いつつ死んでしまうと、いきなり背中の剣が光り出す。
そして、ゾンビのごとく蘇った龍一(阿弖流為)は、
そこらへんにいた釣り人の低脂肪乳(って、思いっきり加工乳なんですけど・・・)を奪い取り、「うむ、うまい。乳は久しいのお」と釣り人が唖然としている横で平然と語る。

すると、青森にいたはずの八百比丘尼ご一行が現れる。
あんたら、どうやって来た!
そして、阿弖流為は「奴らはなぜ、この星の人々を愛せぬ・・・」と低脂肪乳を強奪した男には似合わない台詞を言ってのけ、
「よし、出陣いたす!この時代の具足をもてい!!」とスーツを持ってこさせる。きっと、洋服の青○あたりでマッチョ坊主が調達したのであろう。

場所は変わって、美雪の勤務先である華蔦出版の週刊ボストン(小学館が出版している週刊ポストが元と思われる)編集部では、龍一がF−15の墜落事故に巻き込まれて死んだというニュースの話題で持ちきりであった。F−15があの現場に飛んでいたという描写はないのだが・・・(写っていたのはヘリ3機)。いくらなんでも、ここまで無茶苦茶なプロパガンダはないと思うぞよ。

しかし、超常現象に造詣が深い考古学者として多くの人に親しまれていたって・・・、
TVタッ○ルで大槻教授らにた○出版の編集長共々いじめられていたのか?

横では、西田敏行似のおっちゃんが、「あんないたずらをするんじゃなかった〜。
牛乳を入れたカクテル(でも、絵はビールか発泡酒か忘れたけどブロ○だぞ〜)を飲ませたのがいけなかったんだ〜」と言い、しまいには「ぎゅ、牛乳ーっ牛乳がーっ!!牛乳がぁ!あうう・・・うぁー」と叫び床を力一杯叩く始末。同僚からはよさないかというツッコミは食らっているけど。
即刻病院に連れて行くことをお勧めします。

(確かに、龍一はアレルギーで病院に運ばれているけど、死因とはなんの関係もないわけだし・・・。あやまっていないだけでそこまで叫ばれると・・・)
美雪は美雪で、「うそ、でしょ・・・さっきメールが・・・」「
うそ!!帰ったら結婚しようって・・・結婚しようって言ったじゃない!!」と編集部内の人間が知らなかったことを大声で叫ぶ。
そして、編集部の外には内閣調査室の黒沢さんご一行が到着した。
が、なぜか編集部に先に姿を表したのは
阿弖流為のほうであった・・・。黒沢さんご一行は一刻も早く美雪を消そうとしているのだから、阿弖流為より遅く来るとは思えないのだが・・・。

龍一(阿弖流為)の姿を見た牛乳おやぢ(見る直前もブツブツと牛乳なんか飲ますんじゃなかったと呟いていた)は、驚きのあまり隣にいた男を
「ぎゅ、牛・・・ぎゅ」とパシパシ殴りつづける有様(ひどい・・・)
そして、阿弖流為は近くにあった牛乳を許可無く飲むという蛮行に出た!
牛乳おやぢのリアクションが出る前に、今度は黒沢さんご一行が編集部に突入。

美雪に同行を求めようとすると、横から阿弖流為が
「お早いご到着で・・・」と言う。早いのはお前の方だ〜どツッコミたい黒沢さんであったが、阿弖流為の「わしだよ、わからんかね!?」に反応して「転生したのか〜!?」と銃弾で返すのが精一杯であった。
が、阿弖流為は弾丸が迫ってくるのを見て、両脇のそれぞれ部屋の隅に編集者達をそれぞれ部屋の隅に突き飛ばし、美雪を抱えて黒沢さんご一行の背後へジャンプ! さらに、蹴りつつ別の黒服に膝蹴りを入れ、至近距離(ほぼ耳元)からの銃弾を避け背後からの踵落とし・・・(威力は、頭がくしゃおじさんみたいになるぐらい強力)。一体どれだけ素早いのかわからないエイリアンである。
で、逃亡・・・。抱きかかえられている美雪からすればパニックになるのも無理はないであろう。

そして、あっさり復帰した黒沢さん達から逃げるため、
6階から窓を割ってのダイビング。
「きゃああああ!!」と叫ぶ美雪の気持ちは当然であろう。だが、阿弖流為は「騒がしい女ごじゃ」と言うだけ。少なくとも、精神面で龍一の影響はうけていないことがうかがえる。

そして、道路では武蔵坊が2人乗りの旧型カウンタックに乗るよう促す。が、カウンタックって
成人三人が乗っても大丈夫なんでしょうか?特に武蔵坊と阿弖流為ってゴツイし・・・。
「これはウマより早いらしいでのぉ・・・」って、岩手からこのカウンタックで東京まで来たというのだろうか?
上から、黒沢さん達がダイブして地面に着地した瞬間、
「はいやーっ、はっはっ!!!」とモロに轢き逃げを敢行。美雪の悲鳴も一段と大きくなるのは仕方ないことであろう。なお、轢かれた黒沢さんはようやく剣に“龍”が隠されていたことに気がつく。って、遅すぎ。

逃亡するカウンタックの車内では美雪が龍一(阿弖流為)に「あなたに何があったの?」「さっきの人達は何?」と質問をするが、阿弖流為は
「ひとつだけ言えることは、わしはこの星が好きじゃ。そして、この星に住む人も好きじゃ、だから“龍”を守るためにやってきた」と、美雪の質問とは関係無いことを言う。
さすがに、美雪もこれはおかしいと思ったのか、「あなた誰?本当に龍一なの?」と言った。
すると、「そうじゃのォ、わしは龍一であって
(本当か?)、龍一にあらず阿弖流為・・・そう・・・阿弖流為2世とでも呼んでもらおうか」と美雪へのフィニッシュブローとなる言葉を言った。

ここで、場面はアメリカはネバダ州に移る。
三人ばかりのエイリアンが、龍の柩を前に、「“龍”が手に入ればこの柩が解き放たれる。この星の愚民どもが恐怖におののき、我らを崇めひれ伏しながら死んでいく様が目に浮かぶわ・・・」とまぁ、物騒なことしゃべって伝之壱は終わる。

戻る