自然のめぐみが人々の心をうるおし、感動させ、豊かな詩情を育んでくれます。こうした自然がかもし出す＜あめつち＞の ドラマを求めて、長い年月箱根の自然と取り組んできました。
私の箱根の写真に対しての概念は、小さい部分を寄せ集めて、一つの箱根、私の箱根を表現したいという観点から 成り立っています。大部分の人たちが抱く箱根のイメージは、もう長い間固定されています。
それはそれでよいと思います。私の目で見、心で感じる箱根は、当然私だけのものです。
静寂の一景に心を動かされ、残照の輝きの中に、過ぎ去った日々の懐かしさや、慕わしさ、遠き日々への想いなどが 潜んでいて、それに感触去れ知らず知らずのうちにカメラを向けています。
人の自然との関わりがいかに親しく深いものか、自然のきらめきの中にそれを見いだし、これから撮り続けて いきたいと思います。

辻満　芳雄