ITに仕事取られて部署変わる                         

 今日のテーマはある日ウエブサーフィンをしていて目にとまった川柳だが、ITの進展は単なる仕事のIT化による自動化での省力化だけではない。 今やITは仕事のやり方そのものを変えてしまい、社会そのものの変革を要求するものとなっている。今まで部署変えで済んでいたIT化なのだが、IT化の更なる進展は日本から仕事が奪われる時代になってきたようだ。
 有名な話だが、アメリカではアメリカ人が寝ている間に、従来アメリカで行われていた仕事がインドで行われ、アメリカ人が目覚めたときには仕事の成果がインターネットを通して手元に届いていると言われている。仕事は物理的な境界線を越え、24時間休むことなく続けられる、そんな社会が実現されているようだ。
  従来、サービス業は輸入できない、と言われていたのだがそんなことはない。会計事務所の仕事だって輸入され得る時代になったようだ。アメリカの会計会社は顧客の要望を受け、資料をインターネットを通じてインド・バンガロールの事業所へ送る。 インドの事業所は必要なデータをインターネットを通じて入手し、日中に仕事を仕上げる。結果はインターネットを通してアメリカの会計事務所へ送られる。結果は翌日には顧客に報告される。会計士の仕事が輸入されているのである。
 日本でも同じような試みがなされている。建築会社が家屋の販売を行うときに、発注者の要望をかなえるために必要なのが間取り図等の設計書面だ。今や設計書面の作成は中国に依頼されようとしているらしい。中国の優秀な人材を安価に活用して仕事が外注される。仕事そのものが国内から消えてしまっている、そんな現象が起こっているのである。サービス業の競争相手は何も国内に限られることはなく、安価で優秀な人材を海外に求めて、世界市場化される時代なのだ。
 こんな時代だから、失業問題は深刻な問題になる。パソコンの使い方、英会話これらが転職支援のための教育講座のテーマだった。こんなスキルを持ったとしても今や国際的な市場での調達という視点から、国内での転職支援にはなりえないのだ。簡単に真似のできない仕事の創造に係るような仕事、そんなことを可能にするスキルを与えることにしか支援の意味がなくなってきている。時代は大きく変わろうとしていると言うことだ。
 電話交換手の仕事は自動交換機の出現で無くなったが、交換手は技能を生かしてテレフォンサービスという仕事に変わることが出来た。今やテレフォンサービスは国境を越えてなされている。サポートセンターが国境を越えて、より安価な費用で済むような形態をとろうとするようになっている。変わるべき部署がなくなっている、まさに革命が起こっていると言うことだ。
  こんな時代、「ゆとり教育」で育てられた若者たちが仕事に就けず、その日暮らしを余儀なくされている現実、これらがIT革命の結果であると受け止め、早急に教育の改革を行わなければ、変わるべき部署もなくなっているのだ。ここに深刻な問題が生じる原因がある。
 教育改革のテーマは愛国心の涵養などではない。急がれるのは創造的な仕事を実行できる人材を如何に育成してゆくのか、そんなことが重要なテーマなのだ。