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IC-1275


sorry photographs only


幻の名機IC−1275 1989年7月発売 、AC電源内蔵モデルは194,800円、DCモデルは179,800円と高価なリグであった。高安定基準水晶CR−263(0.5ppm)とCWナローフィルターFL83(500Hz)これだけは入手しておきたい。
保証認定 JARL登録番号I−121 現在では登録切れと思われるが、申請時に必要な送信機系統図は取り説にはなく別途 アイコムからA4版の送信機系統図を取り寄せてから変更申請の工事設計書に記載し総合通信局へ申請。
IC-1275の周波数調整
上ケース、下ケースはあらかじめ外しておく必要があります。(写真は略)

RF YGR(RFヤンガーユニット) 基板からPAユニットへ接続するコネクタ
ここがネックです。

回路図では間違いがありますが、黒帯側が受信ライン、帯なし(奥側)が送信ラインです。

調整の邪魔になるので、MAINユニットのスピーカーコネクタの嵌合も外しておきましょう。(写真はなし)
延長コネクタケーブルをつないで作業します。 TMP−K01X−A1(大宏電機)これに1.5D−QEV(50cmぐらい)特注J−J変換コネクタにて延長します。
PAユニットを取りはずして逃がし、ACC、AQSコネクタに近い側(正面から見て左側)のふたを外せば調整個所であるPLLユニットにたどりつく。

この写真はすでに大きなふたと、中にある小ふたをめくったところです。


X1 基準発振水晶の奥にあるシールドケースのふたを外すと調整個所にアクセスできる。

マニュアルによると、FMモードで送信し、周波数が高い方にずれている場合はL38で調整、低いほうにずれていればC155にて調整する。とあるがL38のコアが割れると保守部品がなさそうなのでC155で調整します。




IC-1275のAGC時定数変更 
IC-1275はとろい機械でありAGC SLOWの時定数が長すぎて使い物にならない。
+60dBの強い信号が入感した後、信号がなくなってSメータの振れがゼロに戻るのに10秒以上要する。
FASTのポジションでも他社のSLOWに相当する時定数の設定である。
もうちょっと短くなるように時定数を変更しました。

この無線機の時定数は
FAST時にはMAIN UNITのR25(2.2MΩ)とC19(1μF)にておよそ2sになっており、
SLOW時にはさらにC20(10μF)が加わり、20sを超える時定数になっています。
これを、FAST時には0.7s程度に、SLOW時には5s程度になるように抵抗とコンデンサの定数を変更します。
C19を1μFから0.33μFに、C20は10μFから2.2μF変更することにより、上記時定数を満足するであろうと考え値を変更しました。
AGC時定数変更箇所はMAIN UNIT 左端上部です。
C19を1μFから0.33μFに、C20は10μFから2.2μF変更する

実装密度が高い片面パターンの基板です。はんだ吸い取り器をあてるところを間違わないようにしましょう。


IC-1275のSSBスケルチ臨界点の変更 
次に馬鹿だなと思うのはSSBスケルチの臨界点です。
設計上FMモードからSSBモードに変更してもスケルチは閉じたままであり、わざわざスケルチつまみを左に回してしてやらないとなりません。(QUICK QSYができない)
SSB→FMに変更した場合にはザーとやかましくなります。
FMモードでもSSBモードでもスケルチの閉じるポイントはつまみ位置で10時の設定です。ここが妥当性評価のあまいところです。
これを解決するには、SSBモードではスケルチつまみを11時まで回さないと閉じないように変更すればよい。
これはスケルチつまみをおおよそ10時15分のところに設定し運用することにより、FMモードではスケルチが閉じていて、SSBモードではスケルチが開くようにしようというものです。
改造はMAIN UNITのSQL AMP(IC2 M5218L)のリファレンス電圧設定のための抵抗R18(33kΩ)の定数変更により可能である。
私の1275の場合にはカットアンドトライで求めた値68kΩに変更することで SSBスケルチはつまみ位置11時で閉じるようになりました。
SSBスケルチ臨界点を変更する抵抗R18

33kΩを外して68kΩに変更する。

改造ポイントは上記AGC回路のそばですので、いっしょに改造しましょう。


IC-1275の周波数拡張 
5600MHzトランスバータの親機として使うには40MHzのバンド幅ではリピーターシフトができません。
LOGICユニットのダイオードマトリクスに改造のヒントがあります。
LOGIC UNITのダイオードマトリクス(スライドスイッチS1付近)初期実装部品は、D26,D21,D22,D23の4つのみです。
ここにD20のみを追加すると1235〜1300MHzに拡大します。尚、まれに存在するはんこJマーク付きの機械では、IC3がSC-1089(※回路図ではSC-1079となっているが実装部品はSC-1089)からPROMにわざわざ取り替えてあり、その場合送信改造はできないようになっています。シリアル番号名板にJマーク不滅印が押してあるセットがそれです。
中古品を購入される場合には注意しましょう。
尚イニシャルリセット時(M-CLボタンを押しながら電源ON)にはリピーターオフセット周波数は35MHzになっていますので、その後に20MHzあるいは40MHzに設定しなおす必要があります(取り説参照)
ちなみにD24のみを追加すると、1260〜1300MHzで変わりなし。TONEはイニシャルリセット時に1750Hz連続音になります。リピーターオフセット周波数は確か20MHzだったと記憶しています。
D20とD24の両方追加したら、1235〜1300MHzでリピーターオフセット周波数は35MHzとなり、TONEはTONEボタンを押した立ち上がりでバースト信号になります。シンプレックスでのトーンエンコーダーは使えません。トーンスケルチは使えるが、実用性に乏しい。よくばって2個ともつけてしまった場合には、あとでD24だけを外してもD20のみの状態にはなりません。その場合はD20も外して出荷状態にしてリセットかけてから、D20を追加しましょう。
LOGICユニットは右側です
IC3がSC1089であれば送信改造ができます
D20を追加する。

オリジナルは1SS133ロームが採用されているようですが、スイッチングダイオードならば何でもいいでしょう。
1S1588東芝(すでに保守廃止品種ディスコンティニュー)を取り付け
超レアなJマーク付きIC−1275
IC3はPROM SC−1193にわざわざ交換してあり(手はんだ)改造はできない。


IC-1275のFM変調の音を改善 
アイコム製の無線機独特の硬い音。いやです。
変調回路を追っていくと、IDC回路(IC9 NJM4558D)手前のカップリングコンデンサC153が0.0022μF(222)である。 音声を通過するには小さすぎると思いませんか?
このコンデンサを1桁大きな値0.022μF(223)にすることで、低音が出てきます。
C153はこのあたりにあります。ノーマルは黄色です。
C153を0.0022μFから0.022μFに変更する

低域が少しだけ持ち上がる。


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