その1 黒猫ニャンチューがやってきた!
今から13年前・・・。某大型スーパーに家族で行ったときのこと、屋上駐車場車に車を止めて店に入ろうとすると、テニスコートの半面ほどある店のエアコン吹き出し機械設備の柵の中から、か細い声で「ニャーニャー」と子猫の声が・・・。
もともと大の猫好きな我々家族はこのまま放ってはおけません。場所が駐車場だけに車に轢かれたら大変!!直ちに救出に向かうものの、柵の中からなかなか出てきくれません。カミさんに頼んで食品売り場からソーセージを買ってきてもらい、匂いでつって何とか無事保護完了!
※画像はフリー素材から頂いたイメージです・・本人(本猫)ではありません
かねてから猫を飼いたいとは思いつつ、家も新築したばかりだし・・・。壁紙やふすまで爪研ぎ・・・なんてことになると家はボロボロに・・・ そんなことを考えていたのでなかなか猫を飼う生活に踏み切れずにいたのですが、車に乗せて家に連れてくるともうそんな迷いは吹っ飛んでしまいました。小学1年生の息子が帰りの車の中でなぜかわかりませんが、「ニャンチュー、ニャンチュー」と呼んでいたので名前は自然に「ニャンチュー」に決定しました。
その2 ニャンチューとの別れ
ニャンチューとの生活が始まり、3ヶ月がたった頃、ちっちゃかった体も成猫の大きさになり、外と家の両方を行ったり来たりの生活になりました。こうなると、お年頃の女の子は不妊の手術が必要になります。昔、実家で飼っていた猫や、これまた猫好きの姉の家で飼われたいた歴代の猫たちはすべて某大学の獣医学部にお願いして無料で手術をしてもらいました。(学生の実習で手術をするため、万一のことがあっても責任は持たない、というものですが、今まで失敗されたことはありませんでした)ですから、当然ニャンチューもそこへ入院、手術という運びになりました。
ところが手術が終わって2週間。手術の傷も治り、剃ったおなかの毛も生えてきた頃、今まで猫のトイレでころころと転がっていたうんちが見当たりません。何度もトイレには入るのですが、どうも下痢をしているらしく、トイレも異様なにおいがします。最初は変なものでも食べたのかと思って気にしていませんでしたが、1週間以上そのような状態が続き獣医さんに診てもらいました。しかし、原因は不明。可能性として手術の時に何かのミスがあり、感染症、または傷口と腸壁との癒着等もあり得るとのことでした。さらに確かめるにはおなかを切開して調べなければならないとのこと。治療費も十数万円はかかるとか・・。ほとほと困りました。でもニャンチューの命には代えられません。ただ、まだ手術から日がたっていないのでもう少し様子を見ようということになりました。
元気な時のニャンチューです
そんな状態でニャンチューを見守りながらさらに1ヶ月がたちました。保護したのが9月のまだ暑さの残る季節でしたが、もう年も明けて1月。北海道は真冬です。雪が降ると、雪かき(除雪)に出なくてはならなく、多いときには半日以上かかります。ニャンチューは外の遠いところに遊びに行っていても雪かきをしていると必ずどこからともなく近寄ってきて近くの白樺の木に登ったり転がる雪玉にじゃれついたりして遊んでいたものです。
その日はたまたま数日前からカミさんと子供たちが本州の実家に帰っており、ニャンチューと2人で過ごしておりました。夜にお腹がすいてインスタントラーメンを作って食べているとニャンチューが食べたそうによってきて「ニャー」と・・・。ニャンチューはインスタントラーメンが好きでよく一緒に食べていました、しかしこの日は(理由は忘れましたけれど)何かがあって「お前なんかにあげないよ!」と言って意地悪をした記憶があります。ニャンチューとの最後の夜になるとも知らずに・・・・・・。
次の日の朝、4時頃、外に遊びに行きたいと私のベッドの脇でニャーニャー鳴いておりました。冬の朝4時と言えばまだまだ真っ暗な夜中です。しかもその日は仕事が休みでゆっくり寝ていられる貴重な日。4時から起こされていたのではたまりません。しばらくは無視していたのですが、あんまりニャーニャーうるさいものですから仕方なしに玄関までニャンチューを連れて行きドア少しだけ開けてあげました。いつもならすぐにそこから外に飛び出すのですが、その日に限って躊躇してなかなか外に出ようとしません。起こされてムッとしていたことと、早く寝直したいことで軽くニャンチューのおしりを足で押し(決して蹴ったのではありませんよ)外に出して、またベッドに戻って再び眠りにつきました。
次に目が覚めたのはなんとお昼の12時。ずいぶん寝たものだと思いカーテンを開けてびっくり!!なんと外は大雪で、1m以上の雪が積もっているではありませんか。これは大変と、すぐに雪かきをしに外に出ましたが、休日と言うこともあって除雪車も入っておらず道も人が歩けないほどの深い雪になっていました。唯一、車の通った後だけが轍となって人や散歩の犬たちの通路になっていました。
当日はこの5倍以上の雪がありました
雪かきをはじめて1時間ほどたったとき、ふとニャンチューのことが気になり出しました。「いつもなら、雪かきをはじめると必ず現れるのに今日はよってこないな」「こんな大雪の中、よく確かめもせずに外に出してしまって大丈夫だったろうか・・。」
結局雪かきは3時過ぎまでかかり、作業を終えて家で一休みするも、最後までニャンチューは帰ってきませんでした。さすがに心配になって、夕方から近所の家や町内を探しに出かけましたが、どこにもいません。夜になっても帰ってこず、その日は夜中の11時頃まで1時間おきくらいに捜索に出かけましたが、手がかりは全く得られませんでした。
次の朝、6時頃から再び捜索を開始しましたが、やはり見つからず、捜索範囲を広げましたが、手がかりなし、目撃情報もありません。その日も十数回捜索に出かけましたが見つけることはできませんでした。夏ならばそれほど心配しませんが、厳寒期ですので夜はマイナス10℃以下になります。間違って外のどこかに閉じ込められてでもいたら、凍死してしまうかもしれません。
そんな捜索が1週間ほど続き、カミさんや子供たちも帰ってきたので一緒に探しに出かけましたが、ニャンチューはどこにもいません。ちょうど1週間目に「探し猫」のポスターを作ってあちこちの電信柱に貼ることにしました。
ポスターを貼った次の日に100mほどはなれた町内の方からお電話をいただきました。「うちの車庫で死んでいたよ」と・・・。その方の話によるとニャンチューがいなくなった日の昼すぎに、すでに車庫の中で倒れていたそうです。おそらく車の轍を歩いていて車がきても雪が深くて逃げられず、そのままにはねられて、瀕死の状態で暖かいところを求めて車庫に入りそこで息絶えたのではないかと思われます。残念ながら亡骸は清掃業者に渡してしまったとのことで、会うことはできませんでした。ニャンチューが生きている一縷の望みが絶たれたことは、耐え難い悲しみでしたが、寒い所で今も凍えているんじゃないかという心配がなくなった分、少しほっとしたことも事実でした。あの時、無理して外にださなければ・・・・。もっと雪の状態を確認していれば・・・・。と後悔は常に頭を過ぎりますが、考え方によっては、病気になってあまり長く生きられない、または飼い主の我々に迷惑がかかる、と感じ取って死んでいったのかな、なんて思ったりもします。
ごめんねニャンチュー!!!そして短かったけどいっぱい幸せをもらいました!ありがとう、ニャンチュー!!!!