Shadowing / Repeating
その理論と実践(中学編)

98/11/30 23:02:26


シャドーウィングとは「影のようについていくこと」を意味している。英語が聞こえてきたらすぐその後について英語を繰り返す。分からない単語が出てきてもそれにこだわる必要はない。その単語を飛ばして先に進むようにする。シャドーウィングする際は、できるだけ話しての発音、リズム、イントネーションなどもまねするように心がける。それと同時に内容も把握するようにする。リスニングおよびスピーキングの能力を養うには効果的である。スクリプトを見ながらのシャドーウィングでもリズムはつかめる。.................「英語リピーティング入門」(岩村 圭南)

1.はじめに  

  音読指導は有効か?......1.2回の音読・オーラルリーディングは皆無の場合と相違ない(LLA全国研究論文より)

  リスニングStrategyの最善策は何か?........( think-aloud protocol )個々によって自分にあったStrategyをとる(LLA全国研究論文より)

  日本人学習者にもっとも求められる英語力とは何か?..........今こそ読解力である(全国英語教育学会紀要より)...............

 数多くの論文を見、学会に参加してくる中で常に頭をよぎるのが「本当にそうだろうか?うちの学校でも成り立つだろうか?」ということである。確かに各論文は信憑性があり、一つ一つが内容的にすばらしものばかりだがあまり中学校の現場(私の学校)で実践できた記憶がない。

 データ検証における被験者が大学生であったり、中学生でも私立や附属であったり、環境が一般中学と著しく異なる場合の被験者データであることがある。この場合データ検証・考察は正確でもその「汎用性」において狭義であることがある。つまり、A校もしくはA校に近い環境ならばその実証データは役立つが環境の悉く異なるB校ではまったく役に立たないのである。

 たとえばかつての「100校プロジェクト」「1000校プロジェクト」等Internet教育先進校の実践を見たところで、LANしていない学校の私にはまったく雲の上の話なのである。夏のLLA、東京国際大学のPictureTelのDemoではAustraliaとTV会議を中継したが、ひところ前のCU-Seemeのスライドではなく自然な動作であり、いとも簡単に低い回線で実現しているのである。驚くばかりである。その機材を導入できる学校は良い、しかし導入できない学校の私などはただ「へー、すごいなー」で終わるだけなのである。

 公立中学校の私自身としてはどこの学校でも実践できる「汎用性」がほしいのである。私の論文でも「Global 英語教育」をうたっているがそもそもGlobal Education自体が「授業環境全ての相互作用」を扱っているところに魅力があるのである。学習は学習者の器がなくてはだめだし、学習者間や教室環境の問題、教材教具のこともある。LLどころかVTRさえ満足に揃わない学校も経験した。

 以上のように「これだ!」という英語学習法があれば誰もがやっているわけで、指導者が右往左往しているのが現実である。それは指導法どれをとっても「汎用性」がほとんどないのである。私は「楽しみとしての英語(内発的モーティベーション高揚) と 技能習得の英語」とに完全分離してかんがえている(論文Topic-Centered-Teaching-Method)。学習者に学習意欲やその受け入れる器が無い場合は「英語を学ぶ楽しさや、必要性を異文化体験学習を通して伝える」に留まり、学習者にモーティベーションが育っている中ではSkill-Gettingに力を注ぎたいと思っている。そしてその均衡は学習者の「実態」に応じて変化するのである。異文化体験学習だけやっていて英語力がつくはずがない!Skill-Gettingだけで、毎日のDrillづけでは英語嫌いが増えるだけである。両者のバランスの見極めが難しい。生徒実態把握が最優先されるべきで、流行の指導法とか派手なDemoに惑わされることはない。"no single method could gurantee successful results"( a study 1923, USA)--半世紀以上も前に結論は出されているのである。

 英語学習への内発的モーティベーションが多少できた段階で実施したいのが「Repeating/Shadowing」である。気軽に状況に応じて変化させていくことができる点でも中学英語でぜひ取り入れていきたい。下記は私の"お手軽Repeating"の例ですm(_ _)m

(基本的に文法事項は単元をまとめてやり、理解から運用さらにコミュニケーション活動を済ませておく....できる限りであり時と場合によります)

1.スキーマを与える(ピクチャーカードで重要語をInputしておく)

2.テープをリスニングする→2-2.テープの後にScript(教科書)を見ながらリピートする(分からない単語にチェック!新出英単語の確認)

3.Scriptを見ずに(教科書を伏せて)テープをPause付きで(2〜3Word程度)リピートする→3-2.更にPauseを伸ばして(文の息継ぎ、意味のまとまり)リーピートする

4.テープを別の音声にして 3-2を繰り返す(テープはとりあえず"通し読みのNatural-speed"で「成人の男女読み」と「子供読み」の2つあります。更にAETに手伝ってもらって音声の異なるものを1.2作ってもらう予定です)

5.黒板にQue-wordを板書します。教師と一緒に暗唱に努めます。一緒に発声して覚えていきます。

6.最後にテープについてShadowingします(一緒に発声する)。

7.重要構文にアンダーラインし、英訳すると同時に全体の意味を明確にします。

8.暗唱を宿題にします。

                                                                                
    How many nights until .....    $$$$$$$$$$$                                  
                                 $$           $$                                
                               $$               $$                              
                             $$   $$$$$$          $$                            
       m(_ _)m  zzzzzz      $$$$$$      $$$$$$  $  $$                           
                          $$                  $ $$$$$                           
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