〜 国際理解教育におけるメディアの活用 〜
6.研修題目設定の理由
(1) 実態把握
ア、「英語」の社会的ニーズ
ESLに関する著書はそのほとんどが英語を日常使用する状況での理論に立って書かれている。日本の場合は環境的に米国のHispanic系のような生活に密着したニーズが感じられない現状にある。 特に学習者の英語のニーズは受験体制に対応し「教科としての英語」であり、そこに実用性は余り感じられない。
イ、「教科」としての英語
週3乃至4時間では英語を「習慣形成」的に "Natural acquisition"というのは時間的・量的に無理ではないだろうか。"Basic personal communication skills" だけではなく、"Academic learning skills"も中・高レベルでは行わなければならない。学習は「知識・技能・情意面」で成立し、いずれかが焦点化されたにしてもそれらの3つから成り立つことに変わりはない。「知識偏重」から「技能・情意偏重」の時代だが、知識面の学習が成されなくても良いのだろうか。
ウ、「英語科」開始年齢
言語習得における「臨界期」については12歳前後というのが定説である。成人に近づくほど「理論的」に言語を「学習」した方が良いと言われている。中学1年生から入門期英語として開始した生徒は本当にCommunication活動を通した習慣形成だけで自然に英語力が身につくのだろうか。
エ、「英語」の社会的ニーズを調査(平成8年7月〜12月迄の半年間、インターネット上でア
ンケ―ト調査を実施。国内、海外より100人の回答を抽出して集計している。)
(詳細: http://www.asahi-net.or.jp/~ge9m-mtmt/Mydoc3/index.htm..にて公開している。)
上図のように4つの視点が中学英語教育に望まれた、4技能で言えばまず「Listening能
力」である。 結論から言うと、英語教育のねらいは「トータルな英語力」であり、入門
期においてはゴールに向かって弛まぬ努力をしていけるように「情意面」を育成していく
ことに意義があるとの回答が主流であった。
(2)上記等の理由及び中教審第一次答申・第三部(二章・三章)からの考察より研究の遅れている「国際理解教育」をテーマ に、生徒の「情意面育成」を図る手だて、指導法を研究することとし冒頭の主題を設定している。
7.研究経過
(1)大学院における講義・演習
学校教育総論A 学校教育総論B 英語教育基礎論 英語教育学特論A 英語教育学演習A
英語教育学特論B 英語教育学演習B 英語学演習A 英語学特論B 英米文学演習A
課題研究T 総合講義G国際化と教育 総合講義E情報処理U(前・後) 情報技術基礎論
英会話Ta / Tb 合計34単位
(2)主な学会・研究会等の参加
LLA学会関東支部大会(戸山高校) 埼玉県立北教育センター調査研究発表会
100校プロジェクト中間報告会(内田洋行東京ショールーム) LLA学会全国大会(拓殖大学)
全国英語教育学会仙台大会(東北学院大学) 関東甲信越英語教育学会全国大会(東松山紫雲閣、「国際理解教育」について発表) 100校プロジェクト関東発表会(全日空ホテル)
英語科研究発表大会(新座第五中学校) パネルディスカッション「〜日本人の英語はこれでよいか〜」(Erec会館) Microsoft社Site Builder Meeting参加(幕張メッセ) 3Dプログラミング講習会(People)
その他(Sure, Links英語関連サークル参加。 上智大、慶応大等の講義、講演、研修会参加。
県内100校プロジェクト校視察、浦和市立高校、越谷総合技術高校、大宮大成中学校。)
8.研修内容
1.Communicative method等の指導法についての研究
ア、大学講義から学ぶ理論。Natural approachの詳細、英語教育史の変遷、4技能全般等。
イ、レポート作成。中学英語教育に関する諸問題の解決策等。
2.情報教育についての研究
ア、100校プロジェクト等のインターネット活用学習プロジェクトについての研究。
イ、100校プロジェクト校を視察してその実践を研究。
ウ、ネット上で活用できるActiveX,Vbscript, Javascript 等を用いた簡易英語教材ソフトの制作。
エ、校内LANについての研究。
オ、CAIについての研究。StudyTimeをもちいたCAI研修会参加。主催)EcoNews〜筑波大学術情報センター〜 於)高萩北中学校
カ、CALLL等の新しい英語教室の研究。
キ、CU-SEE ME, NetMeeting, 海外E-mail交換等新しい英語コミュニケーションの在り方研究。
ク、国内英語教育メーリングリストに参加、全国の先進校の実践を探る
ケ、Web上のNet newsに英語教育関係で投稿、中学英語教育に関して様々な人と論議。
コ、メディアと中学英語の関連を研究。メディアの活用の研究。
3.国際理解教育についての研究
ア、国際理解に関する講義を受講。関連書物読書。
イ、ニュースダイジェスト、TV等からアジアの中の日本を調査。国際理解教育の方向性を研究。
ウ、韓国メールリストに投稿、韓国人とのメール意見交換。
エ、国際理解教育と英語学習の関連性をまとめる。
9.今後の研修予定
ア、国際理解教育の研究、講義、書物、メディアを通して。
イ、情報教育の研究。メディアが中学英語教育を変えられるか、導入の方法等研究。
ウ、教材分析と教材開発、メディア(aviファイル等)を使って。
エ、発達段階に応じた国際理解教育、4技能指導等についての研究。講義、研修会等を通じて。
オ、研究仮説のための仮説実験授業の実施、授業の入念な準備。