おはよう[プログラマーズ·リファレンス]君。この夏、モスクワではテロが相次いでいる。
たとえば7月20日にはロシノールスキー通りに面したパゴダ国際通信のショールームにマッピルマからカラシニコフを持ったギャング七人が乱入し、客を含む四人が死亡、六人が重軽傷を負った。27日にはゲーム機製造メーカー[タイテンナムガ·エリクソン]の日系ロシア人経営者であるセルゲイ高見沢氏が連帯ホショーニン通りの自宅の車庫で何者かによって絞殺されている。さらに31日、こんどはバラゾフ通りの自宅でドイツ人のクルト·ウント·モーケル氏(ミュンヘン札幌ミルウォーキー銀行モスクワ支店長代理)が殺害され時価90万マルクに及ぶ宝石貴金属が盗まれた。
8月1日には国際事務機株式会社のパンチ·ホレリス代表が宿泊先のテルミン国家英雄ホテルで全身を百ヶ所以上刺されて死亡。隣室にいた日本ニコモ社営業本部長の大川タケシ氏、CNC日本コドモ社外商部長の荒川ワタル氏、イタロ·ポモドーロ通信機器社のジャコモ·ロトーラ技師、米国リタージェント社代表ブルース·シーダー氏の四人も、一酸化炭素中毒と酸素欠乏症により死亡し、現金51,200ドル(推測)と象牙細工一式が盗まれた。
要人ビジネスマンが次々と殺されている背景について、モスクワ市警察当局は明確なコメントを控えているが、エリチン大統領の失脚を狙う《チャイカ陰謀組合》の仕業であることは明らかだ。
そこで君の使命だが、チャイカのアジトを捜し、首謀者を突き止め、暗殺してもらいたい。幸い、例のカブレノフ·ウルシガツキーが、日本から帰ったあと無闇に散財して金に困っているようだ。丸め込めばいいだろう。成功を祈る。なお、このテープをレンタルしたり許可なく複製した者は法律により罰せられる。
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©Kunio Yoshikawa 1996,2004