「さあさいらっしゃいらっしゃい恐竜だよ恐竜だよ。生きた恐竜が人間を食べちゃうよ。見ないと損だよ損だよ。恐竜が勢ぞろい、ぼっちゃんおじょうちゃんが大好きな恐竜勢ぞろい。さいらっしゃい入った入った。すごいだろうティランノサウルスだ。大きいだろう恐いだろう。こいつ人間の肉が好きなんだ。佐川君みたいな奴だぜ。それから、こいつはトリケラトプスだ。凄いだろう大きいだろ。トリケラトプスは普段はおとなしいけど、怒ると恐いんだ。コモドオオトカゲと対決して勝っちゃったんだ。恐いだろうおそろしいだろう」
ネズミ男ことガイガー三菱は、モスクワのボリショイサーカスで呼び込みのアルバイトをしていた。彼を誘ったのはプロレス仲間の[ザ·マンモス]ことオーチン·サノバビッチという百貫デブと、虎使いに転身した元日本漁船拿捕委員のザオーロフ·ゲレンデスキー。ガイガーが誘いに乗った最大の理由は、《チャイカ陰謀組合》の生傷男ことカブレノフ·ウルシガツキーに対する復讐心である。箱崎の居酒屋でカブレノフがモスクワに帰ったという噂を聞いたが、その噂を流したのは、[プログラマーズ·リファレンス]に誘われてCIA日本特派員候補に転身した橘和彦だった。
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©Kunio Yoshikawa 1996,2004