第3部「恐竜の進化と調和」のあらすじ(だかなんだか)

時は正午。ここは常夏の島、コモド島の海岸である。日に焼けて真っ赤になったガイガーは砂に埋もれて昼寝の時間、茶碗風呂に氷を入れさせて涼んでいるのはアイボール墓場先生、間淵選外と妻の回転子は木陰でびろつき、トリケラトプスの奥さんは一人で草を食んでいる。静かだ。コモド島のコドモたちはどこかでお昼ごはんを食べているのだろう。コモドオオトカゲを探しに行った日本ニコモの男は、まだ帰ってきそうにない。「ねえみなさん、おなか空かない?」と、木陰から回転子が声をかけた。誰も答えない。「無駄だよ」と選外が言った。「ネズミ男は寝ている。妖怪目玉親父は腹が減らない。トリケラトプスの奥さんは食餌中だ」「じゃあ私たちだけでレストランでも行きましょうよ」「んなものは無いって、そ言ったろ?」ネムタゲな間淵選外。「ここにはそ〜ゆ〜ものはないんだよ。空港で貰った観光パンフレットを読んでみたんだが、まともな物を食うにはホテルへ行くしか手がないようだ」「でもホテルは満員なんでしょ?」「明日の朝まではなあ。ま、ニコモの橘和彦が何か持って帰ってくることに期待しよう」「全然たよりにならないじゃないの、あの人は」「しかたないだろ。あいつは英語が話せるってだけでガイドじゃないんだから。そもそもトリケラの奥さんのタマゴ探しに付き合おうなんて言いだしたのはお前じゃないか」「でもコモドドラゴンが怪しいなんて言いだしたのはあなたよ」「そうだったかなぁ」

「コモドドラゴンが怪しい」と言ったのは無責任な目玉親父だった。トリケラの奥さんは、即座に同意した。彼女には大脳新皮質がないので難しいことはわからないのであった。「私、タマゴ探しに行きます」「コモド島って、どこなの?」と回転子。「インドネシアだったかなぁ」と、ニコモの男がつぶやいた。「近いじゃないの。一緒に探しにいこうよ」「な、なんでそうなる」ガイガーは困惑した。「生傷男、待て〜」「彼はいずれ滅びるのだ。追いかける必要はないじゃろ。それよりこのトリケラ夫人のタマゴを盗んだ奴をつきとめるほうが大事じゃ」とアイボールが主張した。「か、勝手に優先順位を決めるな。わしは復讐したいぞ」とガイガー。「タマゴのほうが大事よ」と回転子が決めつけた。「人の命がかかってるのよ」「誰が人なんだ」さらに混乱するガイガー。そのとき、混乱に乗じて逃げ出したのは、もちろん[プログラマーズ·リファレンス]であった。生傷男をしつこく追いかけているガイガーは、コモド島に旅たつ直前に、[プログラマーズ·リファレンス]がCIAのスパイであることを突き止めていた。
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©Kunio Yoshikawa 1996,2004