夜中の酔っぱらい文学「チェルノブイリのビビビ男」

第1部「猛烈ガイガー」のあらすじ

謎のプロレスラー[ガイガー三菱]は、実はロシア人のスパイだった。ある夏の夜、箱崎の居酒屋で飲んでいたガイガーに、いちゃもんをつけたのは片腕の男。ガイガーは相手にしないが、男は「おまえさんの顔はネズミそっくりだねぇ」とからかう。実はネズミの血が流れているガイガー。かっとなって、生まれ故郷のコーカサス地方に伝わる秘技「コーカサス熊投げ」で男を殺してしまう。駆けつけるパトカー。なぜか顔中に傷のある警官、にやりと笑って「タワリシチ」。実はこの警官、エリチン大統領の失脚を狙う《チャイカ陰謀組合》の手先だったのである。ガイガーはアエロフロート特別便Tu-666に乗せられシベリアの孤島[コモソモーレツ島]に幽閉されてしまった。果てしない使役。骨身にしみる極寒の地シベリア。そうして6年の歳月が過ぎていった。ある日、強制収容所所長オパーリンはウオトカをしたたかに飲んだ勢いで、ついつい秘密事項を全収容所に放送してしまう。「実はここ10年前に核実験やったのビッチ。きみたちみんな汚染されてるのブイリ。もうシャバには絶対もどれないんだもんねコフ。ざまあみろスラフヴィトウス」
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©Kunio Yoshikawa 1996,2004