69歳からのライフプラン(平成15年) 

 年代で見ると70歳を区切りとするのが順当であるが、私の場合これまでの歩みから
 次の期間は69歳から開始することにした。
 これまでも、期間の取り方には、それほど厳密に区分けしてきた訳ではないが、
 今回の場合、当初のプランを根底から見直し、再構築する必要を感じたからである。

 60歳からの第二の人生はライフプラン(生涯生活設計、ライフデザインとも言う)と
 共にあった。会社時代の生活からの継続ではなく、生まれ変わったような気持ちで、
 新しい再出発を決意した。
  第二の人生には道標としてのプランが必要であった。

  当初のプランをベースに、年度・四半期、そして日々へとプランを落とし込み、
 日々気概をもって実行してきた。これまでも、そして今も充実した生活を享受している。

 途中結果が出ずに悩んだこともあったが、今ではこれまでの取り組みに対する成果に
 満足している。

年度と四半期を軸にプランを更新してきたので、現在のプランは自分と同じように
 内容的に成長してきている。
 この為、何時しか当初から立派なプランを策定して来たのだという錯覚を持つように
 なった。
 改めて見直してみると、当初のものは幼稚なものであったと愕然とした。
 途中で脱落したテーマもある。
 これでよくスタートが切れたものだと冷や汗が出る。
  しかし、内容はさて置き、プランを練り上げて行く内に生活技術の向上が図られ、
 結果として成果が結実してきたのである。

 ライフプランがあったから今の自分があると自負している昨今である。

 当初のプランは健康と資金面から15年を展望したものであったが、この8年間で
 当初のプランで期待した成果が上がり、目的は達成したような実感がしだした。
 自分の健康面の変化もある。家庭環境も経済環境も激変してきている。
 しかし、一番変ったのは自己の哲学―人生観・世界観である。
 新しい価値観に基づいてこれまでのプランを見直し、次なるプランを構築する必要が
 生じた。

  表現を変えれば、更なる生活の充実や新しい成果の獲得には、これまでの枠組みの
 踏襲では限界があり、新しい発想と時代に対応した取り組みが必要であるとの意識を
 持つようになったということである。

 69歳からのライフプランを再構築しようと思い立った背景には、「今・ここ」の
 現実を直視し、これからの人生で求められている課題解決へのプランを急がなくては
 悔いを跡に残すという焦りが一方にあったことも事実である。


内容はさて置き、69歳からは、特に次の点を大事にしていきたいと考えている。

  @ 達成率や出来高よりも途中での「今・ここ」の中味を重視する。

  A プランは作ってもそれに捉われない。変化には柔軟に対応する。

  B 味合う姿勢を大事にし、内面の充実に重点を置く。

  C 形に表れる成果よりも心の豊かさを大事にする。

  D ありのままの自分を大事にする。真の自己の声に素直に耳を傾ける。

69歳からのライフプラン−続き−

 日々のアクションに結びつくプランは誕生日を過ぎてから完成した。

 中止、継続・充実、路線変更・新規という視点で全テーマを総点検をしたが、
 中止の決断と新規のテ−マの選択に戸惑った為である。
  例えば、あまり参加出来ていない会を退会する場合、「辞めればそれまで。
 二度と復活することはない」と考えるとこれまでの努力のことが思い出され、
 なかなか決断が出来なかった。

新しいテーマは予備調査と熟成に時間を要した。
 これまのアクションプランが日々の生活に直結するものであっただけに、
 「いつ・どこで・どのように」という条件を満たすまでに落とし込むのに大変な
 作業を要した。
 LCO・ネットの場合、誕生日までに入会したが、選定までにどれだけインターネット
 にアクセスしたことか。

 LCOネットワークに「西洋哲学・心理学・カウンセリング、放送大学生」を
 キーワードにして自己紹介記事を投稿したら、早速3人の方から激励と問い合わせの
 メールが来た。
 以来、新しい学習の交流が始まっている。選定に誤りがなかったと喜んでいる。


 思いついたテーマは、暫く、心の中で寝かせて置いた。
 深層心理に留めて置いて忘れたフリをしていると、ウォーキングの途中などで頭が
 カラッポになっている時に、「あれはどうするのか」と心が問いかけてくれた。
 そんな時に、取り組み方の閃きが得られたことも多い。
 人に誘われたのではなく、時間をかけて自分で選んだテーマには納得性がある。
 取り組みの姿勢も自ずと変ってくるものである。

 スローガンは、「ゆっくり・ゆったり・じっくり」とした。
 ゆっくりは心の動き、ゆったりは気分、じっくりは取り組み姿勢を主たる対象に
 描いて決めた。
 定年後のプランで60点主義を標榜し成果主義からの脱却を図る努力をしてきたが、
 せっかちな姿勢は変らなかった。成果よりも途中の心状態が大切と考えた次代である。


 前のプランの後半で、満足ということについて考えたことがある。
 カントは「これでよし」と言って死んだというが、凡人には、終生成果に満足すると
 いうことは困難であると悟り、以来満足は結果であって目標としないことにした。
  しかし、心の状態は自分である程度満足できるようにコントロールできると思う。
 この生き方が人格の安定・円熟を願うこれからの高齢期の生き方にも合致していると
 確信している。

  「深耕」・「地域」・「円熟」を新しいテーマを選択するときのキーワードとした。

 深耕はこれまで学習してきた内容の絞り込み、地域は行動の範囲の縮小と近郊地域の
 重視、円熟は交友の在り方など人としての人格の問題である。

インターネットの活用と学習で世界は大きく膨れ上がっていくが、忘れがちなのが
 近郊地域のことである。特に小生の場合、この視点が欠けていた。
 町内との付き合い、地域の生涯学習活動への参加、地域の歴史や文化の学習などを
 新しいテーマに加えた。

 新しいプランが動き出して1週間。秋晴れの日のような清清しさを感じる。

 秋は自然界も円熟の時。これからの第二の人生の秋を満喫したいものである。