96題 在日の女性差別

 

「女の子は高校ぐらいまでは仕方ないが、大学なんかへ行くのは反対だ。女は学問をするもんではない。」

 

 これは在日二世の男性の言葉。女は家庭を守り子供を産み育てるのだから理屈を勉強する必要はない、学校なんか行かんでいい、というのは男系重視という封建的女性差別思想に基づくもので、朝鮮社会のそれは日本社会よりも厳しいものがある。そしてそれは、この男性のように解放後の数十年経った今の在日社会でも少なからず継承している。民闘連はこの問題には全く取り組むことがなかった。「差別、差別とよく言う人に限ってヨメさん大事にしていない。家の中で女性差別しとって、何が差別問題や。」と喝破した女性がいた。

 

 

「在日の封建的女性差別という古い体質は、在日が厳しい差別にさらされるなかで余儀なくされた。その差別は日本政府の差別政策によるものであって、その日本政府を支えるあなた方日本国民も責任がある。」

 

 これは従軍慰安婦問題に取り組む在日二世の女性活動家が集会で講演したのを、私が直接聞いたものである。私は何とアホな人だろうと思ったが、これを聞いた日本人のなかには、わが日本が差別をやめれば在日の封建的女性差別はなくなると素直に信じた人がいるかもしれない。

 在日の女性差別は在日自身の課題であるべきものだ。

 

(追記)

自費出版『「民族差別と闘う」には疑問がある』(1993年)の一節の再録。

 

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