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A.I.     2001

 

 

Rating: 4.4

Genre: アクション ドラマ

I watched : in Theater

Country: 米国

Cast:
ハーレイ・ジョエル・オスメント
ジュード・ロウ
フランシス・オコナー
サム・ロバーズ
ジェイク・トーマス
ブランダン・グリーソン
ウィリアム・ハート

Directed by: スティーブン・スピルバーグ

Music: ジョン・ウィリアムズ

Comment:
 キューブリックが20年、暖め続けたブライアン・オールディスの原作を、スピルバーグが最新のSFXを駆使して映画化。期待に胸躍って見た。
 惜しい。確かに、スピルバーグの言うとおり、キューブリック映画の中でも、もっともヒットしただろうスケールの大きな映画であった。だが、もっと時間をかけるべきだったのかもしれない。巨匠が悩み抜いたこの作品を、そもそも、スピルバーグがこれほど早々に映画化すべきであったのか。
 確かに、この映画を映画化できたのは、スピルバーグをおいて他になかった(キューブリック自らが依頼したほどだから)。SFXの使い方も、スピルバーグならではだろう。だが、キューブリックなら、許しただろうか。
 冒頭から中盤にかけて、キューブリックならこう作ったであろうシーンを、次々と丁寧に映像化していくスピルバーグの、巨匠への敬意・努力には感服する。実際に、キューブリックファンとして、素直に楽しめた。特に廃棄ロボットを回収するシーンは、何ともアイロニカルでキューブリック的。
 ところが、中盤以降、ストーリーが飛躍することもあり、急に力業でシーンの構成力に張りがなくなる。特に、キューブリックが最後まで悩んだラストはスピルバーグも苦労したようで、「2001年」のように謎を残すか、ハッピーエンドにするか、そのせめぎ合いが、ラストまではらはらさせる。だが、結果は、あまり成功してないようだ。
 この映画がキューブリックであれば、成功しただろうか?それも怪しいが、だが、スピルバーグはやはり急ぎすぎたのではないだろうか。Minority Reportや芸者映画に取りかかる前に、もう一度、この苦しい題材を、掘り下げて欲しかった。「フルメタル・ジャケット」や「突撃」を彷彿とさせる傑作「プライベートライアン」を映画化できたスピルバーグなのだから。
 久々の本格的なSF映画の登場に、SFファンの喉の渇きを癒すのには十分な大作であっただろう。泣かせるドラマとしても、スピルバーグの腕が存分に生かせた(スピルバーグ向きだとキューブリックが言ったというのもうなずける)。だが、完成度という点では、「ブレードランナー」や「2001年」に遠く及ばない。
 「未知との遭遇」以来、久々にスピルバーグ自らが書いた脚本に、問題があったのかもしれない。
 俳優達の演技も素晴らしかっただけに、本当に残念だ。再編集して、完全版として欲しい。

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Copyright © 2005 Hideto Miyai