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トリコロール 青の愛     1994

 

 

Rating: 5.0

Genre: ドラマ

I watched : on TV or Video

Country: フランス ポーランド スイス

Cast:
ジュリエット・ビノシュ
ブレア・レジャン

Directed by: クシシュトフ・キェシロフスキー

Music: ズビグニェフ・プレイスネル

Comment:
 事故によって夫と娘を失ったジュリーは夫の残した欧州統合に向けての交響曲を、完成させる・・・。
 クシシェトフ・キェシロフスキーの作品ははじめて見た。プロットはシンプルなようで、微妙な機微が折り込まれていて、重層的。ジュリーは、当初、大作曲家の夫の残したスコアを破棄してしまうのだが、事故の目撃者の少年、友人でジュリーに思いを寄せるオリヴィエ、アパートの住人の娼婦、通りで一人不思議な曲を奏でるフルート奏者、そして夫の子を宿した愛人、さまざまな人物の登場に心動かされながら、夫の意志を継ごうと試みる。この非常に複雑な役どころをジュリエット・ビノシュが好演。一種、何を考えているのか分からない白い表情の中に、激しい感情を秘めた姿を、キャメラが美しく、しかも大胆にとらえる。監督の演出も冴え渡っており、タイトルにもあるような青のトーンが、冷たくもつややかな美しさを定着させていて、見るものの心を掴む。キタノブルーにも似た色合いかもしれない。また興味深いのが、シーンの転機に、一言、印象的な言葉が吐かれ、突如激しい旋律が流れて、暗転する。そして何事もなかったように画面が戻る、といった非常に派手で大胆な画が挿入されることだ。しっとりした中に、大胆な演出が施されていて飽きさせないのが、この監督の持ち味かもしれない。忘れてならないのが、音楽。この交響曲は、激しさ、優しさ、悲しさ、嬉しさ、など複雑な旋律を内包していて、この映画のテーマにしっくり来ている。
 ともかくも初めてのキェシロフスキを堪能した。
 ヴェネツィア映画祭、金獅子賞、主演女優賞、撮影賞受賞

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