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ゴダールの映画史I
Histoire(s) du Cinema
    1998

 

 

Rating: 4.9?

Genre: アクション ホラー サスペンス ドラマ コメディー

I watched : in Theater

Country: フランス

Cast:
ジャン・リュック・ゴダール
ジュリー・デルピー

Directed by: ジャン・リュック・ゴダール

Music:

Comment:
 ゴダールが10年かけて作った壮大な映画史の前編。映画というより論文、歴史書である。映画(および映画史という歴史)を映画を用いて語るという非常に実験的な作品。映画、小説、絵画、戦争の映像、ゴダールのモノローグなどなど登場する映像は盛りだくさん。それをゴダールが思いつくままに並べて語るというコンセプト。ときおり、彼の打っているやかましいタイプライターの音がする。選曲は素晴らしい。
 残念なのは、そこに現れる映画は基本的にゴダール以前の欧米の映画ばかりであること。日本映画も数カット登場するが、基本的に彼のお気に入り映画。一般的な映画史ではなく、あくまで「ゴダールの」映画史。個人的なものである。
 プロットはなく、そこで語られることは相当難解。映画について、歴史について、美について、ペダンティックとも言える様々な作品の引用が続く。単調にモノローグと音楽と文字が表示されるので、眠りを誘う。しかし、わずか一瞬、知っている映画が登場すると、はっと心躍らされる。もっと映画や小説をたしなんでいれば、さらに楽しめるのだろう。
 全部で8章構成になっているが、この前半4章では、ジュリーデルピーが美しい2A「映画だけは」が特に良かった。
 難を言えば、過去のフランス人を過剰に称賛する面や、モノクロ映画への回帰など、懐古趣味がうるさく思われた。また、映画づくりのヒントになるようなものは見つからない(そもそもメッセージ性は弱い)。しかし、現在もなお、このような大作を作り続けるバイタリティには驚かされる。

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