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ロゼッタ     1999

 

 

Rating: 4.1

Genre: ドラマ

I watched : in Theater

Country: ベルギー フランス

Cast:
エミリー・ドゥケンヌ

Directed by: ダルデンヌ兄弟

Music:

Comment:
 99年度カンヌ映画祭パルムドール受賞という鳴り物。しかし、内容はいたってシンプルで素朴な社会派映画。しかも手持ちカメラのぶれ方が何ともお粗末で、映像も決してきれいとは言えない。学生映画並(笑)。フランス映画といえば、女優と映像がきれい、という先入観はこの映画でもろくも崩れ去った。この監督、もともと労働者のドキュメンタリーばっかり撮ってた人で、なるほど映画的面白さはこの映画にはみじんもない。ただただ、ロゼッタの荒い息遣いとノーメイクのアップが、思いっきりブレたカメラで、淡々と撮られる。音楽もなければ、フェードイン・アウトもない。極めて粗削りな作品。
 ストーリーも、アル中の母親を抱えたロゼッタが、不当に解雇されて、ワッフル店に雇われるが、またクビになりそうになり、親切にしてくれる仕事仲間を裏切って、仕事を奪ったりもするが、結局、生活は楽にならない、という救いのないもの。
 このロゼッタという女性、身勝手で、クビにされてもおかしくない。私は上映中、ずっとロゼッタにむかついていた。しかし、見終わった後、なんとも言えないむなしさと、怒りの対象がロゼッタから何か別のもの(例えば社会(?))に移っているのが感じ取れた。ただただ2時間、つまらない映像を見せられていたかと思いきや、しっかりメッセージを伝えている。この手法には驚いた。
 なかなか撮れないすごい作品であるのは確かだが、もう一度見る気にはなれない。
 思えば、この映画、映画の原点に立ち返っているのかもしれない。カンヌ映画祭審査委員長のグローネンバーグ監督が、他の、映像に凝りに凝った作品群を押しのけて選出した意図も、何となく分かるような気がする。

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