Mishima

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なぜか日本で公開されなかった三島由紀夫の伝記映画。
三島由紀夫の短編４本と幼少期から割腹自殺するまでの伝記映画がオムニバス形式で構成されている。舞台美術を大胆に取り入れており、どこか鈴木清順を思わせる。特に「金閣寺」での舞台セットは注目に値する。主演映画の記者会見や、東大での大演説会など、有名なエピソードを数多く盛り込み、史実に基づいてしっかり描いているようだ。キャストも豪華な顔触れで、演技も素晴らしい。ハリウッド映画にありがちな日本人のステレオタイプも気にならず、また演出や美術の素晴らしさからいっても、どうして日本公開されなかったのか不思議でならない。
　天皇制や軍隊といった日本人が描きにくい内容を、アメリカ人監督が描ききったか、と言われると心もとないが、少なくとも他者の立場から、三島という人間を客観的に浮き彫りにすることで、それらをうまく表現することに成功している。
　また、クロノスクァルテットの音楽が独特で、映画自体のアートな雰囲気に彩りを添えていた。