ヴァイツェンビールとは、小麦の麦芽を主原料にした、バナナのようにフルーティな香りのするビールである。私はヴァイツェンビールが好きで、地ビールの店でヴァイツェンを見つけると、必ず注文することにしている。とくに川越にある小江戸ブルワリーのヴァイツェンは香りがたいへん強く、私のお気に入りである。しかし、これを作るためには専用の酵母が必要である。
では、酵母をどうやって手に入れるか。個人輸入という方法もあるが、実はもっと手軽に手に入る。地ビールにはヴァイツェンビールがいくつかある。そしてその中には、酵母入りのものも少なくない。これを使えばいいわけだ。今回使うのは、「銀河高原ビール」の酵母である。まず、近所で買った「銀河高原ビール」を冷蔵庫に立てて、しばらくおく。もちろん、酵母を瓶の底に沈澱させるためである。次に中身を飲む(笑)。底に沈んだ酵母を乱さないように、静かに注ぐのがポイントである。底に3センチほど残ったところで瓶を軽く振り、残りのビールと酵母が混ざったところで、砂糖水を投入。ラップで蓋をして、暖かいところにおいておく。1時間もすると酵母は発酵をはじめ、活発に気泡が出るようになった。酵母の準備は完了である。
2.仕込みから瓶詰めまで
今回も、パーシャルマッシングを行なう。ただし、今回使うAlexander Wheat Malt Extract は650gと量が少ないので、これを補うために小麦粉を200g加えることにした。レシピは、次の通りである。
まず、小麦粉を水で溶いて、火にかける。熱されたデンプンがα化して糊状になったところで、温度を確認し、ペールモルトを加える。糊状のデンプンは麦芽中の酵素によって分解され、見る見るうちに粘度が低下していく。Weitzen 11L
Alexander Wheat Malt Extract 650g
Pale malt 600g
Flour 200g
Saatz Ext.5cc 30min.
Tettnanger 14g 30min.
銀河高原ビール酵母
3.試飲
瓶詰め3日目に試飲。色は濁った明るい金色。香りも、明らかにヴァイツェンである。しかし、薄い。マッシュの収率が、相当悪かったようだ。暖かい季節なら、のどの渇きを癒やす飲料としていいかもしれないが、寒い季節にじっくり飲むビールではない。
瓶詰めから3週間。薄いのはあいかわらずだが、熟成によってコクが増してきた。これなら、十分いける。下手な地ビールのヴァイツェンより、よほどうまい。近いうちに、麦汁の濃度に気をつけて、再挑戦してみたい。(1999.2.7)