第14回 ライトエール
1.すっきり系の淡色エール

 私のいまの設備では、国産大手メーカーの定番商品のような、すっきりしたラガービールを作ることは不可能である。ラガービールは0度近くの低温で、長期間熟成させる必要があるからだ。それに、ちゃんとしたラガー酵母は、個人輸入しないと手に入らない。しかし、たまにはすっきりした淡色ビールも造りたい。
 そこで、こんなことを考えた。
 Black Rock のキット缶に、Dry Lagerというのがある。酵母の他に酵素がついていて、この酵素がデキストリンを分解するので、発酵度が上がるらしい。これを使えば、すっきりした淡色ビールが造れるのではないか。しかしエールには違いないので、ライトエールとでも呼ぶことにしよう。

2.仕込みと一次発酵・瓶詰め

 レシピは、次の通りである。

Light Ale(14.5L)
Black Rock Dry Lagar 1500g
Cristal malt 150g
Dried light malt extract 1lb.
Hallertauer Extract 5cc 60min.
Hallertauer 0.5oz. 15min.
Hallertauer 1oz. 3min.
Munton ale east

 一次発酵期間は、9日間。泡が消えてから、3-4日経過している。発酵終了とみなし、大晦日に瓶詰めした。26本取れた。ところが....。

3.試飲

 瓶詰め10日目、ニフティサーブのHOMEBREW専門館のミニオフで、茂助さん、なかさんといっしょに試飲。ホップが多すぎたのか、苦みが強すぎるが、けっこういける。なかさんは、「熟成させるとホップが落ち着いて、いい感じになるんじゃないか」と言っていた。ところが....。

 瓶詰め17日目。冷蔵庫で冷やしたものをグラスに注ぐ。泡がきわめて多い。静かに注いでも、8割が泡という状態。これは変だ。冷やしてないのを空けてみる。みるみるうちに泡が口から吹き出し、止まらない。発酵が終了していなかったのか。
 私の推定は、こうである。このキットには酵素が入っている。で、この酵素が、本来ビールにはあるはずの未発酵の糖類をゆっくりと分解し続けている。そのため、いったん発酵が終了したとみえても、実は発酵が続いていたのではないか。
 ともかく、このままでは爆発という惨事にもなりかねない。すべての瓶について、一瞬瓶を開けてガスを抜き、すぐ閉めるという作業をすることにした。

 瓶詰め31日目。炭酸はすっかり落ち着いている。ホップの刺激も角が取れてきた。しかし、もう少し熟成させた方が良さそうである。(99.2.1)

 ホップの苦みが強すぎる。比重を計ってみると、なんと1.002。薄いボディと苦みのバランスが悪い。やはり、酵素を入れるという邪道キットは要注意である。(99.2.16)

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