第13回 普通のペールエール
1.日常的な飲み物としてのエール

 現在の私の設備では、作れるのはエールだけである。キットにはLagar,Pilsnerなどと記されていても、発酵温度は18-32度、エール酵母を使っているわけだから、実際には淡色エールである。だとしたら割り切って、いちばんありふれた日常的な飲み物としてのエール、個性的ではないけど飲み飽きないエールを作るというのが、ひとつの最終的な目標になるだろう。これまでもBitter、IPA、Stoutなど、個性のあるエールをいくつか作ってきたが、ありふれた普通のエール、というのはまだ作っていない。今回はここに目標をおくことにした。つまり、アルコール分は4-5%程度、アンバー色の、普通のペールエールである。

2.仕込みと第1次発酵

 モルトエキスには、BLACKROCKのEast India Pale Aleを使う。これはIPAとは言っても、ホップの量がそれほど多くないのは第11回で確認済みである。今回は、パーシャルマッシングを行なうことにする。ペールモルト1lb.を67度のお湯の中で糖化させる。時間は約60分。次にクリスタルモルト0.5lb.をスティーピング。これを煮込むと、何ともいえない甘くて魅惑的な香りがする。やはり、濃縮モルトエキスとは香りが違う。
 次に、キット缶の中身を投入。さらに今回は、ドライモルト(Amber)1bl.を加える。第11回はIPAだったので、ほぼ同じ糖分で全体を11リットルにしたが、今回は普通のエールだから13.5リットルにした。
 もう一つの試みは、酵母を変えてみたことである。いままで主にBlack Rockのキット缶を使ってきたが、気になることのひとつはどのビールも共通の香りがすること。これはおそらく、酵母が同じだからだろう。というわけで今回は、Muntonのエールイーストを使うことにした。1パックを予備発酵させ、量を増やした上で半分を使うことにした。

3.瓶詰めと第2次発酵

 9日目に瓶づめ。ちょっと飲んでみると、おだやかな味の中に、初めて経験するFuggleの香り。期待できそうだ。25本取れた。(1998.12.22)

4.試飲

 5日後に試飲。まだ5日目だというのに、バランスの取れたきれいなペールエールの味がする。まだ2次発酵が完了していないため、泡は少ないし、砂糖の甘みが残っているようにも思える。しかし、おいしい。これは傑作ビールになるかもしれない。今後も改良を加えながら、常用ビールのレシピとして確立させたいものだ。(1998.12.27)

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