第11回 本格的エールに挑戦
1.レシピを考える

 これまでいろいろ作ってきたが、キット缶にホップを加える、というのが基本路線である。次の一歩は何か。それは、特殊穀類(special grains)を使うことだろう。
 特殊穀類というのは、ビールにコクや風味を付けるために添加される穀類のことである。代表的なものは、クリスタルモルト(糖化した大麦を高温で乾かしたもの)、チョコレートモルト(基本的には同じだが、乾かすときの温度を上げて黒っぽくしたもの)などである。これらを材料に加えると、コク・風味が出て、泡立ちもよくなるらしい。しかし、特殊穀類はどの程度加えればいいのか。
 また未解決の課題は、加えるホップの量である。これまでは適当にやっていたが、苦すぎたり、物足りなかったりしたこともある。何か、手本はないのか。
 インターネットで探していたら、これまで何度か使ったBlackrockのキット缶を基本にして、ホップと特殊穀類、糖類を加えたレシピを発見した。これは、と思ったのだが、糖類の量が多すぎるなど、腑に落ちないところもある。そこで、助言を求めることにした。相談先は、NiftyserveのFDIYS、Homebrew専門館である。
 ありがたいことに、今年のHomebrewer世界一、あの有名な日野のわるさんが答えてくれた。"Great Beer from Kits"という本に、こんなレシピが載っているという。

6.6 lb Black Rock East India Pale Ale kit
2.2 lb Premier hopped malt extract
1/2 oz East kent Goldings hop plug for Aroma
1/2 oz East kent Goldings hop plug for dry hopping
1 packet Whitebread ale yeast
2/3 cup corn suger for priming

 今回は、これを基本に作ることにする。

2.仕込みと第1次発酵

 ただし、レシピに載っている材料がすべて手に入るわけではない。そこで、次のようにレシピを調整することにした。まず、Premier hopped malt extractは手に入らないので、かわりにホップなしのドライモルトを使う。その分、ホップが足りなくなるので、ビタリング用のホップを追加する。またドライホッピングは自信がないので、煮込みの最後にフィニッシング用ホップを多めに入れることにする。酵母は、キット付属のものを予備発酵させてから使う。また風味をよくするため、クリスタルモルトを追加する。使うモルト缶は1缶とし、全体の分量を半分にする。最終的なレシピは、次の通りである。

India Pale Ale (for 10L)

3.3 lb Black Rock East India Pale Ale kit
1 lb Dried amber malt extract
1/3 lb Cristal malt
1 tsp. Hop Extract for Bittering
1/3 oz Kent Goldings hop for Aroma
2/3 oz Kent Goldings hop for finishing
1 packet ale yeast

 気温は20度前後だったが、発酵は順調に進んだ。

3.瓶詰めと第2次発酵

 10日後、瓶詰めをする。全部で21本。ちょっと飲んでみると、香りがよく、スムーズな感じ。ただし、苦みはそれほど強くない。もともとBlackrockのキット缶には"medium hopping"と、IPAらしからぬことが書いてあった。ビタリングの量が不足だったかもしれない。(1998.11.17)

4.試飲

 瓶詰めから10日後、友人宅で試飲。香りがいい。色もきれいなアンバー。苦みは強くなく、普通のペールエールという感じ。しかしコクがあり、まろやかで、なかなかいける。友人の反応も上々。今のところ、大成功といっておこう。(1998.11.27)

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