第10回 カスケード・ピルス
1.次は香りの淡色ビール

 前回のところで書いたように、淡色ビール2回、濃色ビール1回を繰り返す3バッチのサイクルを目指すならば、今回は淡色ビールである。同じことを繰り返すのも芸がない。少し工夫することにする。第1のポイントは、ホップにCascadeを使うこと。華やかな香りの淡色ビールを目指すのである。第2のポイントは、ワートを1時間以上煮込むこと。そうすると、澄んだ味わいになるという。大きな進歩とはいいかねるが、まあ、焦らずゆっくりと新しいことをやってみよう。

2.仕込みと第1次発酵

 モルトエキスには、BLACKROCKのPilsnerを使う。今回は6リットルほどの鍋に4リットルのお湯を沸かし、ここにモルトエキスを投入。かなりぎりぎりの容量だが、これで1時間煮込むことにする。煮込んでいるうちに、液の中を細かいゴミのようなものがただよいはじめる。これがたぶん、煮込んだときに出る澱というやつなのだろう。1時間経ったところで、ナイロン袋に入れたCascade(0.7ozくらい)を入れ、3分間煮込む。そのあと、鍋ごと水で冷やす。
 今回は、水に少々ぜいたくすることにした。2リットルのミネラルウォーターを4本用意する。3本は国産の軟水。1本は輸入物の硬水。いずれも冷蔵庫で冷やしておき、うち2本分をあらかじめ発酵容器に入れておく。ここに煮込んだワートを入れ、次にホップをすすいだお湯をいれ、さらに残りのミネラルウォーターを注いで適量にする。今回の仕込み総量は11.5リットルである。
 ここに予備発酵させておいた酵母を投入。4時間後には表面に泡が浮かび始めた。発酵は順調である。

3.瓶詰めと第2次発酵

 ちょうど一週間後、瓶詰めをする。ちょっと飲んでみると、程良い苦みと果実のような香りで、かなり期待できそうだ。ただ、思ったより甘い。泡が消えて2日以上経っているし、液はかなり済んでいたから、大丈夫だとは思うのだが。容器を傾けて取った濁りビールを含めて、23本だった。(1998.10.19)

4.試飲

 瓶詰めから2週間くらいまでは平凡な淡色エールという感じだったのだが、3週間目に入ったところで明らかにおいしくなってきた。九州のビール好きの友人にも送ったのだが、「めちゃうま、飲むのが惜しいくらい」という反応。今までの最高傑作といってよい。やはり、煮込み時間を長くしたこと、そしてCascadeの力だろうか。(1998.11.28)

 

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