自家醸造する以上、絶対に避けて通れないものがある。どぶろくである。
なにしろ、日本固有の酒であり、密造酒、もとい、自家醸造酒のシンボル的存在である。しかも、自家醸造する以外には、飲む方法がない。近所の居酒屋でこっそり飲ませてもらったことはあるにはあるが、安定供給の方法は自家醸造しかない。ビールのように熟成期間をおく必要もないので、気軽である。次の目標は決まった。
2.仕込み
今回参考にしたのは、山田陽一著『台所でつくるシャンパン風ドブロク』(農山漁村文化協会)である。使う原料は、次の通り。
1.米3合。スーパーで買ったあきたこまち。
2.糀200グラム。スーパーで買ったみやここうじ。
3.酵母。今回はワイン酵母を使った。あらかじめ予備発酵させておく。
4.乳酸菌。近所にヨーグルトの種菌は売ってなかったので、薬局で買った「ビフィズス50億」を使う。
まず、よく研いだ米3合を2合分の水で炊く。半信半疑だったのだが、確かに蒸し器で蒸したような感じに仕上がった。そこに冷たいミネラルウォーターを0.9リットルほど注いでかき混ぜる。さらに崩した糀を加えてかき混ぜる。そして乳酸菌と酵母を入れてかき混ぜる。これで仕込みは完了。極めて簡単である。
3.発酵
仕込み直後は、米・糀がちょうど水に浸るくらいだったが、そのあと米が水を吸って、軟らかめのご飯のような状態になる。そのあと糖化と発酵が始まり、しだいに柔らかくなっていく。翌朝にはもう、発酵による炭酸ガスの発生が確認できた。経過は順調のようである。
4.試飲
4日後になると、もろみはかなり液体に近づき、米粒が液面と底面に二分した形になった。泡も少なくなり、発酵は終わりに近づいているようだ。そこでもろみを絞ることにした。けっこう苦労した。布巾で絞るのだが、市販の布巾は幅が狭い。力を入れて絞ると、横からはみ出したりする。苦労しながら、しかしあまり絞りすぎないように、500ミリ瓶2本を確保した。6時間ほどそのまま置き、冷蔵庫に入れる。2時間後、試飲。炭酸が思ったほど強くなく、乳酸の酸味がかなり強いが、けっこういける。そうか、自分で作ったどぶろくか、前田俊彦さん、やりました(笑)、と、ちょっと感激した。
もう一本は、さらに1日発酵させて、炭酸を強くしてみた。ちょうどシャンパンのように泡立って、さわやかである。酸味の強さも、充分に泡立っていると気にならないものだ。次回はもう少し涼しくなってから、やってみようと思う。(1998.9.9)